3歳の娘と読むには難しいかも知れないと思いながらも購入したのは、私自身がテレジン強制収容所を訪れたことがあり、その歴史についても知っていたからです。
ドイツ軍のプロパガンダのために利用された強制収容所で子どもたちが演じたオペラが題材となっていますが、その背景は後々、娘が成長していって少しずつ理解していってくれればいいと思います。
絵本という作品としてみれば、ページの上が舞台となり、読者はまさにお芝居を観るような臨場感で、セリフを読み、ストーリーが進行していきます。
すばらしい訳で、リズミカルな日本語になっているため、テンポよく読み進められるので、長いですが、3歳の子どもでも飽きずに最後まで聴いていられるようです。
300人の子どもたちが、主人公の兄妹を助けるために集まってきて、みなで歌う所は圧巻です。
そして、最後の見開き、ブルンディバールからのメッセージが劇場への招待券にの上に書かれていますが・・・これは、テレジン収容所の子どもたちが、ドイツ兵が捨てた紙きれや、空き箱など(これらは見つかれば処刑になるのを覚悟で、大人たちが命がけで集めたものです)に、絵や詩を書き残していた事実を思い起こさせられました。
この絵本をきっかけにテレジン収容所のことを知った方には、ぜひ、野村路子著「テレジンの小さな画家たち」(偕成社)を読んでいただきたいと思います。小学校中学年〜高学年から読めると思います。