『まほうつかいのでし』というタイトルだけで手に取ってしまった絵本。
ゲーテのバラードをモチーフにしているこのお話は、実にさまざまな世界でいろいろに展開していて、お話の中に出てくるホウキそのもののような気がします。
この絵本は音楽ものがたりというだけに、作曲家ポール・デュカの音楽をききながら書きあげたものでしょうか。
軽快で展開のあるお話になっています。(ウンゲラーの毒気はみじんにもありません)。
魔法使いの性格もよさそうだし、弟子にも仲間がいろいろいて楽しいお話。
いままで読んだ絵本の中で、一番若年層を対象にしているような気もしますが、多分ポール・デュカの音楽とセットで楽しみたい絵本なのだと思います。
音楽鑑賞絵本でしょうか。
音楽といえば、どうしてもディズニー映画の『ファンタジア』のミッキーマウスが演じた弟子の印象が強いので、この絵本より先にディズニー絵本を見てしまったら少しつらいところかもしれません。
そして、ウンゲラーの毒気ある皮肉たっぷりの絵本。柳原良平のアンクルトリス的世界の優等生的絵本。上田真而子の打楽器的リズム感と斎藤隆夫のフシギ絵的絵本。
見る絵本ごとに、別の魔法使いと弟子がいるので楽しいと思います。