表紙をめくると、カラフルな景色が現われます。
遠くに海や船や大きな町、丘があって、工場があって、小さな駅があって、その間を黄色い線路が走っていて…。
これから始まる物語の世界にワクワクします。
イラストは白黒なのに、躍動感があって、まるでカラーで読んだような印象を受けます。久しぶりにこの本を読んだ時「あー、このシーン!このシーンも!」と、子どもの頃に感じた、驚きとか恐怖とか嬉しさが、そのまま蘇りました。
ところで。
中盤から登場する「さいしんしきのきしゃ」。1930年代に電車はないだろうし、ましてや新幹線もない。あれ?一体、この列車は何?と気になり、英語版を聴いてみると、streamlinerと呼ばれている。ググったら、写真も出て来ました。
その名もThe Zephyr、通称streamlinerと呼ばれている当時の最新式のディーゼル車でした。
バージニアさんは、機関車好きな長男のためにこの本をかいたとのこと。今の子ども達が目を輝かせて「ドクターイエロー!」というように、昔の子ども達も「ゼファー!」と、ほっぺを赤くしていたのかな、とか…いろいろ想像してしまいました。
列車絵本としても、歴史や文化を知る絵本としても、そして何より、ワクワク楽しい絵本として、たくさんの子どもに触れてもらいたい一冊です。