1996年のスウェーデンの作品。
「今年もまた、南極に冬がやってきました」
という書き出しで始まります。
かあさんペンギンは、たまごを産むと魚を食べに出かけてしまい、産まれたばかりの卵をあたためるのはとうさんペンギンの仕事。
とうさんペンギンが、足の下に卵を挟んで暖めているのですが、それぞれが思い思いのことをしていて、結構笑えます。
でもどうにも退屈。
ヴィッレ、アーネ、ラッセ、ブルーノの4羽のとうさんペンギンは、演奏旅行にでかけることにするのです。
ジャズバンド“ペンギン・カルテット”を結成し、卵をかばんにつめていざニューヨーク。
名前もジャズに由来するもので、卵をかばんに詰めてというところが、実にユニーク。
飛行機に乗ってニューヨークに行って、とんとん拍子に演奏にこぎつけるのですが、展開以上にその絵が楽しませてくれます。
ホテルについたら、水槽の魚を食して、ホテルのおもてなしに勝手に感謝したり、ニューヨークの街をウッディ・アレンが歩いていたりと小技が非常に冴えていると思います。
ただ、このテイストが理解できるのは、やはり大人かなと思えるので、読み聞かせの絵本として対象年齢を捉えると、この面白さを伝えるのは難しいかも知れません。
絵はポップで楽しく、ストーリー展開も冒険心に溢れたもので、水準としては高いと思いますが、作り手の想いが何処まで聞き手に届くか?一寸疑問です。