交通事故で意識不明となったロビーのお話です。
病室で横になりながら、ロビーは周りのことを感じることができるのです。
お母さんの涙、お父さんの無骨な読み聞かせ、妹の無邪気な振る舞い。
両親が別居していることが分かります。
介助をしてくれる看護師のトレーシーさんの語りかけや、彼女の口ずさむジョン・レノンの歌に生きている喜びを見出しながら、コミュニケーションのとれない歯がゆさを感じます。
自分は生きているのに、周りからの見た目では、容体はだんだん悪くなっていきます。
この物語は、悲劇では終わりません。
素晴らしいハッピーエンド。
ロビーは家族のきずなを強いものにして、自ら復活します。
目が見えるようになって、頭の中で思い描いてたトレーシーさんは別人でした。
ユーモラスでありながら、読む者が熱くもなれる物語です。
そして、この本のキーワードでもある「Cool(クール)」。
日本語で言えば「いけてる」とか「すっげー」みたいなニュアンスの言葉でしょうか。
日本語とはニュアンスの違う若者言葉として連呼されます。
最初、お母さんはその言葉が嫌いだった。
最後に、とても素晴らしい言葉だと思い直します。
子どもたち、若者たちが交わす言葉で、ついていけない現代語。
その存在感も十分に表現していると思います。