フランスの作曲家エリック・アルフレッド・レスリ・サティの生涯が描かれています。
「音楽界の異端児」、「音楽界の変わり者」などと言われましたが、西洋音楽の伝統に大きな扉を開いた革新者とみなされている人物です。
ドビュッシーやラヴェル、ストラビンスキーそしてジョン・ケイジなど、クラッシックやジャズの作曲家に影響を与えた作品を残しています。
最近では、『ジムノペディ』など代表作がCMに流れ聞くこともありますね。
若々しくもありながら、とても老成している音楽。
とても大胆なくせに内気な音楽。
中世の聖歌のようで、ミュージックホールのような型破りな音楽。
このような対極の特徴と、さらに両者が混じり合ったものが彼の音楽なのです。
この特徴を良く捉えた表現に頷いてばかりでした。
彼の生い立ちは、常人では耐えられぬような事の連続で、心と体をしっかりと落ち着けられなかった薄幸の幼少年時代でした。
癇癪持ちで、大人になりきれず、人付き合いが下手なのも、彼の幼少年時代に原因の一端があると思います。
彼のパーソナリティが曲に投影していると私的には解釈していましたが、人生の最後まで、彼の音楽そっくりの嬉し悲しの混在した状況を読み、悲しいまでに偉大な人だと思いました。
限りない自信に満ち、決まり事を破った「全く新しい音楽」を生み出すと、20歳でパリ音楽院を退学しますが、39歳に彼は気づきます。
決まり事を破るにはまず決まり事を知らなければならないと。
そして、学校に戻ります。
ここが彼にとってのターニングポイントだったのでしょうね。
この気づきこそが、非凡なる人の非凡なる由縁でしょうか。