日本最南端になる沖縄の波照間島で起こった戦争実話です。
しかし、この話に出てくる戦争はアメリカ軍との話ではありません。
島に赴任してきた日本兵で国民学校の先生となった人に強制疎開を命じられた子どもたちが、疎開した西表島でマラリアに罹って次々と死んでいった実話。
戦争マラリアと呼ばれているそうです。
日本兵の発言は、天皇の声でもあり、神の声でもあった…。
それにしても、なぜに多くの犠牲者を出さなければいけなかったのか。
戦争がおわっても、当事者の日本兵からその答は帰ってきませんでした。
「忘勿石」と刻まれた石は、歴史に対する怒りでしょうか。
作者自身の怒りは多少思想的ではあります。
しかし、このような埋もれた史実をも理解していなければ、やはり本当の意味での戦争を語れないのではないかと思いました。