グリム童話の「あかずきん」を下敷きにしたお話です。
時は現代、場所は大都会の裏町。赤いフード付きコートを着た女の子がおばあさんのお見舞いに行きます。途中には、誘惑や危険がいっぱい!
話の流れは同じですが、現代ならではの 人の欲望、貧富の差、すさんだ感じが、しっかりと描かれています。怖いです。小さな子どもさんと読む絵本ではないでしょう。また、絵本に可愛さや癒しを求める人もまず手にとらないでしょう。ですが、「絵本」という表現形式を使った一つの作品としての完成度は高いと思いました。細かく描かれた絵をじっくりと見ていくと、見ごたえがあります。
絵本の出だし、おばあさんの語り口には思わず引き込まれました。「さぁ、これから どんなおはなしが始まる?」「どんな 魔法に出会える?」と。そして、お話の冒頭、女の子が暮らす集合住宅をベランダ側から描いた絵は、そこに住む人々の暮らしぶり、人生が伺われ、どの部屋を取り上げても、また違うお話が始まりそうで、面白く感じました。