30年以上前、私が物心ついたときには、この本が家にありました。母がよく読んでくれた本の1つです。「うえみればむしこ なかみればわたこ したみればゆきこ」とよく歌っていました。母は加古里子が好きだったようですが、この本はたぶん、故郷の福井県を思い出させるから好きだったのではないかと思います(「作者のことば」にも秋田、新潟、富山、福井地方の状況を参考にしたとある)。もんぺをはいたり、ちゃんちゃんこを着たりした雪国の子供たちが、生き生きと描かれています。ゆきがこいだとか、やさいをむろにしまうとか、うまにむしろをはかせるとか、私ですら見たことのない情景が多いですが、なぜか懐かしさを感じます。私の記憶にある福井県の母の故郷は、まだこの本のような雰囲気が残っていました。さて、私の子供たちはというと、まるで外国の絵本を見るように興味津々に見入っています。子供たちが楽しそうに遊び(ラジコンやゲームなんかではなく)、大人たちの手伝いをしている姿に共感するようです。子供はこうでなくっちゃ。