外国暮らしが多い父と母子家庭状態の少年。
その母親が死んで、父が息子に作ったのは、他人行儀な甘口のカレー。
シチュエーションがたまりません。
父親として、息子と対峙する場面。
母親として彼女、妻としての彼女がいなくなった場面。
きっと父親が試される極限状況でしょう。
その息子から、妻が結婚前に吹いていた口笛のことを聞いた父親。
思わず私はシャルル・トレネの「ラ・メール」を探しました。
「ラ・メール」は軽やかでしゃれた愛の歌です。
長谷川さんの描く「大きな大きな船」の中に、夫婦のロマンがしっかりインプットされました。
哀しいお話ではあるけれど、父と子、夫と妻が航海していく人生の「大きな大きな船」を感じました。
でも…、父親としての自分を試されている絵本でした。