「絵本・大草原の小さな家」の1冊です。「大草原」に移る前の「大きな森の小さな家」に住んでいた頃のお話は、1年のうち、3分の1は雪の中での暮らしとあって、冬のエピソードが多いのですが、今回は、夏のお話。
ローラたちは、短い夏を存分に楽しんでいます。でも、子牛や鶏にえさをやったり、卵を集めたり、チーズを作ったりと、かあさんのお手伝いも大事な日課です。
ある日、とうさんが、“ハチの木”を見つけて帰ってきました。馬車の荷台には、はちみつの滴り落ちるミツバチの巣がバケツに何杯も山盛り!ローラは、せっかく集めたはちみつをとられてしまったミツバチの心配をしていましたが、娘も、同じことを思ったようで、とうさんが、ミツバチの分も、ちゃんと残してきてくれたと知って、ほっとした表情を浮かべました。
ローラとメアリーが、ピーターソンさんからもらったクッキーを、ちょっとずつ、ちょっとずつ大事にかじりながら、ぴったり半分まで食べたところで、あとの半分は妹のキャリーにあげるために持ち帰る場面も、とても微笑ましく、娘が特に好きなページです。また、キャリーのことも、かわいいな、と思っている娘は、ローラたちが後片付けのお手伝いをしている横で、犬のジャックに手を伸ばして喜んでいるキャリーに、「きっとべたべたの指だよね」なんて言いながら、優しい眼差しを投げかけています。
この絵本を、今夜はパパに読んでもらったのですが、子どもの頃にヨーロッパの片田舎で育ったパパは、どの場面を読んでも、まるで自分の物語のように、子ども時代の楽しい思い出をたくさん織り交ぜながら聞かせてくれました。
「朝ごはんの前に、卵をもってくるのは、パパの仕事だったんだよ。卵は、とってもあったかくてね、その卵を鶏のおなかの下からそーっと取ると、コッコッコッコッコ〜って、鶏が怒るんだ。」
「おじいちゃんは、ミツバチもたくさん飼っていて、手袋もマスクもしないで、ミツバチの巣をとってくるんだよ。そうして、みんなで、あま〜いはちみつをおなかいっぱいになるまで食べ続けるんだ」
絵本の中のお話を、自分の言葉で語って聞かせられるって、本当に素晴らしいことだな、と羨ましくなりました。きっと娘には、パパの子ども時代のお話と結びついて、特別な1冊になることでしょう。