詩人工藤直子さんの代表作ともいえる『のはらうた』が刊行されて40年だという。
シリーズ累計の刊行数が100万部というから、
こういう作品をロングセラーというのだろう。
おそらく詩集としても稀有なことにちがいない。
だから、子供の頃に読んだ人も今やその子供、もしかしたら孫への贈り物になっているやもしれない。
どんな詩か。
工藤さんがこの世界のあらゆるものの気持ちになって、詩をうたっていく。
例えば、かまきりの詩「おれはかまきり」では、「かまきりりゅうじ」君がこんな詩をうたう。
「おう なつだぜ/おれは げんきだぜ/(中略)/かまを ふりかざす すがた/わくわくするほど/きまってるぜ」
きっとどこかで誰もが目にした生き物や風景を、
巧みにうたってみせたのが、工藤さんの『のはらうた』。
そして、その中から25篇の詩を選び出して、絵をつけたのが、
この『のはらうた絵本』。
絵(ここでは画となっています)を描いたのは、あべ弘士さん。
あべさんといえば、動物や自然の絵の全うさに定評がある絵本作家。
工藤さんの詩に絵をつけるとしたら、この人しかいないのではないでしょうか。
とっても贅沢な絵本。
「のはらうた」40周年の記念の一冊です。