「おやすみなさい おつきさま」の温かさが大好きで、同じ作者のこの本を読みたくなりました。
「ぼくにげちゃうよ。」と言っているこうさぎも、冒険してみたい反面、かあさんうさぎが追いかけてきてくれることを期待しているのでしょう。かあさんうさぎは、とてもストレートに、「だって、おまえは とってもかわいい わたしのぼうやだもの」とぼうやに語りかけます。
訳文ならではの、素敵な言い方だと思いました。子どもを持つ母親なら、誰もがそんな気持ちを持っていると思いますが、日々の子育てに追われると、そんな温かい言葉を口にすることも、つい忘れがちに…。この本を読むときは必ず、子どもをひざにのせて、スキンシップを楽しみながら読むようになりました。かあさんうさぎが、愛情にあふれた母親の気持ちを代弁してくれているようで、読んでいる間、読み終わった後に、とても幸せな空気が流れました。
最後のシーンの挿絵では、作物のたくさん実る畑が近くに広がる、木のうろにある我が家で親子のうさぎがにんじんを食べています。暗い外の景色に比べ、明るくて暖かそうな我が家。「にげちゃうよ。」と言っていたこうさぎも、安心してくつろげる幸せな場所は、やっぱりかあさんうさぎのいる我が家なんでしょうね。