小学生になる時期の「ぼく」の視線で、家族、特に姉のボリ、友達と自分の関係や自分への評価が綴られています。「ぼく」は姉に比べるといつも割を食っており、また両親から不当な評価しか受けていないと思っているようです。
大人は気付かないうちに子供が理不尽だと感じるような態度で接しているのかもしれません。そのことが皮肉っぽく書かれたこの絵本の内容は、大人が読んでドキリとするようなことばかりです。
ハンガリーの人気絵本のようですが、子供が読んでおもしろいのかどうかはわかりません。日本語の訳はもう少し高められるのではないかと感じました。特に「ボリはおこって「それよりもぼくのマッチ箱とどんぐりをすてよう』といった」という訳には違和感を覚えました。カギ括弧がついていることから、明らかにボリの発言なのに、主人公のことを指して「ぼく」と言うのは日本語の文章ではおかしいです。また、部分的に漢字が多用されており、どれくらいの年齢の子を意識して出版されたのかよくわかりませんでした。