【あらすじ】
部族同士の戦いに明け暮れる戦国時代のモンゴル高原。キヤト氏族のリーダー、エスゲイの長男としてチンギスハーンは生まれた。多くの対立する部族を一つにまとめ上げ、全モンゴルの王となるまでの歴史を描く。
原作:たかし よいち 漫画:吉川 豊
連載:世界発掘物語(古代:猿人〜古墳時代まで)
【感想】
圧倒的な漫画の迫力。大河ドラマみたいな感じで、一気に読み切ってしまいました。モンゴル民族があっちこっちで戦いを繰り広げている歴史や、いろいろな周辺事情も無理なく分かるように工夫されているので、歴史に詳しくなくても十分に楽しめます。
物語導入部分に、全シリーズのナビゲーターをしてくれる4人が紹介されています。実に見事な前座です。演芸場や映画館で、シリーズ物の作品を楽しむような感覚で読書を楽しめました。
この本は、チンギスハーンの前半生を描いています。いろいろな英雄がえがかれますが、勝者と敗者の明暗がハッキリと、子ども向けの作品にしては容赦なく描かれているところが素晴らしいです。戦争は、結局、大勢の死者を出し、残酷なものであることをしっかり伝えてくれます。どうしても戦国時代の話は、どこの国の、どの時代のものであっても、凄惨を極めます。その事実を直視して、しかし、やりすぎない程度に調整して表現している絵が素晴らしい。
はやく続きが読みたい!
漫画の後、日本の古代史の話が分かりやすく書かれています。猿人から古墳時代まで、こちらは小泉澄夫さんのイラストで、やさしくまろやかなタッチで描かれています。物語風なので、読みやすかったです。