ある死火山のすそ野に、稜(かど)のあるたくさんの石どもがいました。その中に、他の石に『ベゴ』と名付けられた、卵のような形をした石がありました。稜がないため馬鹿にされる毎日でした。また、その言葉が、ひとつひとつ心につき刺さるのです。でも、その石はいつも穏やかに笑っているだけ。おいおいそこまで言うか、くらいの罵詈雑言です。それが、石だけにとどまらず、蚊やコケにまで・・・
読んでいて辛い気持ちになりましたが、ひとりだけ形が違うその訳も分かったところで、新しい役目が訪れたのです。これは、望んでいたのでしょうか。コケたちは、彼が残してくれた歌を歌ってくれるのでしょうか。石たちの表情まで、見事に表しています。題名といい、作者の目の付け所が、なかなか風変わりで、じっくり時間をかけて、繰り返し読んでみたいと思いました。読むたびに、視野が広がりそうな気がします。