「森永事件」。もう、過去の話に埋もれてしまっている気もします。特に日本人って、自分に関係がないと、古い事件のことは、ドンドン忘れていきますよね?
わたしも、この絵本を読むまですっかり忘れていました。(だいたい森永事件そのものは、わたしの産まれるずっと前に起きたことで、あまり詳しくも知らないんですけど、粉ミルクの成分にヒ素が混じっていて、それを飲んだ子供に異常が出てしまった。らしいのです)
さて、この「はせがわくんきらいや」ですが、みんなに嫌われている長谷川君は、どうやらこの問題の粉ミルクを飲んでしまった為に、身体が弱く、普通の子と、ちょっと違う所が多いみたいなんです。
主人公の「ぼく」は、長谷川君のクラスメートで、昔でいうガキ大将みたいな子。ハッキリ、そこが嫌だとか、ここを直せというけれど、面倒見がよくて、つい長谷川君にかまってしまい、後で損したと後悔したりする。表裏のない、なかなかいい子なんです。
でも、ある日「ぼく」は長谷川君のお母さんにズバリと「なんで長谷川君 あんなに めちゃくちゃなんや」と聞き、その事情を説明され、なんだかよく分からないながらも、今まで以上に長谷川君にかまってしまう。
わたしはこの絵本を読んで、改めて「森永事件の」凄さを感じると共に、主人公の「ぼく」の人間性に魅力を感じました。こういう子がもっともっと増えたら、この国はもっと心が豊かになるでしょうね。