どうしたら、こんな霧が表現できるのでしょうか。
ロシアの絵本は初めて読みましたが、
幻想的な絵の世界に吸い込まれそうになります。
こぐまと一緒に星を数えようと、
野苺の蜂蜜煮を持って夜道を歩きだすはりねずみ。
途中で、深い霧に浮かぶ白馬を見つけ、
心配して霧の中に入っていきます。
ただの葉っぱに驚ろかされ、蜂蜜煮をなくして迷い・・・
いつもの道のりなのに、いつもとは違う様々な出来事と感情がはりねずみにふりかかります。
白い霧は、何もかもを霞ませて、異空間に変えてしまうような、
魔力でもあるかのように感じました。
印象的だったのは、こぐまの「はーりーねーずーみーくーん」という、こぐまの声が聞こえる場面。
見えないけれど、声は聞こえる。
焦燥感と、会いたい気持ち。
やっと会えたこぐまは、自分のことばかり話して、子どもっぽい感じ。
霧の中で、様々な体験をしたはりねずみが
少し大人に感じるからかもしれません。
それでも並んだ二人の背中は、心和むものでした。
「こぐまくんといっしょはいいな」
それまでのひたひたとした冷たい空気と感情が
ランタンの灯りでじんわりと暖まるようです。
抽象的なエピソードをつないだようなお話で
息子達にはピンとこなかったようでしたが
それでも、絵には引き込まれるものがあったようでした。
大人の方におすすめですが
子どもたちにも触れさせてあげたい、美しい絵本です。