侍の早馬にはね飛ばされそうになった我が子を助け、母親の”お里さん”が亡くなってしまう。そこの光景を目の当たりにした風来坊は何もできなかった自分を悔んだ。そして「故郷の桜をもう一度見たかった」と言う”お里さん”の言葉を胸に、風来坊は鉈とノミを振るう。そして、………。
「何時の時代でも、自分たちの都合のために、人の命を何とも思わない人間がいる」と言うメッセージが込められた今回の風来坊には、ズッコケやドタバタ、笑いはありません。満開の桜の中を歩く表紙の風来坊と、”南無お里観世音”と書かれた祠が描かれている背表紙が印象的です。最後はいつもの走り去る後ろ姿。でも今回は、悲しすぎるぜ!
風来坊シリーズは、お父さんに是非読んで頂きたい作品です。風来坊の生き様が心を熱くさせます。
川端誠さん!風来坊シリーズ!次の作品にも期待しています。