3月11日の大津波による大災害の後だから、とても重要に思える本でした。
あの災害の後だから、実話をもとに小泉八雲が『生き神さま』という話を書いた話を知りました。
『生き神さま』が教材『稲むらの火』が作成され、長い間小学校の教科書で扱われたことを知りました。
そして『津波!!命を救った稲むらの火』を知り読みました。
その中で釈然としていなかったことがこの本を見つけて得心できました。
『津波!!命を救った稲むらの火』に乏しかった現実感が、この『津波からみんなをすくえ!』では、より事実に近い認識として感じられたからです。
大地震のあとの津波。
梧陵さんは村人を高台に逃げるように呼びかけて村を回ります。
多くの人を救えたけれど、全員が逃げ切る前に津波は押し寄せてきたのです。
逃げ遅れた人を招くために稲むらに火をつけて目印にします。
その火は逃げ遅れた人々を勇気づけ、津波が去った後の行場所を教えます。
犠牲者がなかったわけではないけれど、多くの命を救った梧陵さんはその後の津波対策に私財をなげうって堤防を作ります。
今回の予想以上の大津波に対して堤防は完全ではありませんでした。
しかし、この本に書かれていることがとても重要なことは痛感できます。
この本には、津波に関する知識、対応が書かれています。
これだけの本が津波の後ではなく、5年前に出されていることにも意味を感じました。
多分、出版されたときに危機感を持って取り上げる人は自分自身も含め多くはなかったでしょう。
転ばぬ先の杖のような話は、難しいと思いながら、この本を取り上げることに遅いということはないと思っています。