町の博物館の、大きなガラスの戸棚の中の一匹の蜂雀の剥製が、ひとりの少年に聞かせてくれたお話です。
ペムペルとネリのお話です。話を聞かせてくれながらも、時々黙ってしまい、時には死んだようになってしまう蜂雀の姿に気が気でならない少年。そして、すべてを察しているおじいさんの存在と、どれもこれも出来過ぎた構図の中でお話が進んでいきます。こんな素晴らしい作品を残した宮澤賢治さん、引き出しにはもっともっといろいろな素材が詰まっていたことでしょう。お話の展開とともに、画面ごとに変わる絵は、まるで画集を観ているようでした。この作品の趣にあった作家さんだと思いました。