ロバート・マンチの『Love You Forever』は、
既に『ラヴ・ユー・フォーエバー』という邦訳が出ていますが、
この作品は、その原作にカシの木を登場させ、さわやかな印象です。
生まれたばかりの赤ちゃんを抱いたお母さんの思いが綴られます。
その赤ちゃんはやがて大きくなり、いたずら期、反抗期、思春期を経て、
独立します。
でも、お母さんの思いは変わらないのですね。
やがて、年老いたお母さんと立場が逆転し、
我が子も親となり、同じ思いを抱くのです。
カシの木を登場させることで、その絆が印象的な存在となっています。
『ラヴ・ユー・フォーエバー』の原作も、とても共感できたのですが、
表現がストレートでやや抵抗があったので、
この作品でそのあたりがカシの木に置き換えられ、心に沁み入る仕上がりになっていると思います。
大好きないせひでこさんの絵は、カシの木を添えることで、
涼風のようなさわやかさを持つ幻想的で素敵な世界を描き出しています。
思春期の子どもたちにもそっと手渡したい作品です。
もちろん、子育て中や、もう終えた親世代にも共感してもらえると思います。