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パパ’s絵本プロジェクト


安藤パパ
安藤哲也


1962年東京生まれ。明治大学卒業後、出版社3社に勤務。書店営業で全国1500軒の書店を歩く。94年、書店員に鞍替え。96年、東京・千駄木の往来堂書店をプロデュース。初代店長を務める。00年にはオンライン書店bk1へ移籍。02年まで店長。03年、NTTドコモの電子書店M−stage bookへ。 
044月より楽天ブックス店長に就任。著書に『本屋はサイコー!』(新潮OH!文庫)がある。
★好きなもの ;A・ローベル、荒井良二、スティーリー・ダン、リチャード・ボナ、船戸与一、ラジオ、あんず、女性が本を読む姿、
Guitar、道草。
東京・文京区在住

安藤パパのおすすめ絵本リスト
 

安藤パパの育児日記 update 6/9                 >>> この前の日記も読んでみて!(バックナンバー)

5月7日(金

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6時45分、起床。「起きな、学校遅れるぞ」、隣で眠る娘テルノ(6歳)を起こす。連休で生活ペースが乱れたので昨日は早めに寝かしつけたのだ。「ふわー・・・。パパ、あたし、学校の夢みてた」
6時47分、洗面を済ませリビングへ。キッチンではカミさん(35歳)はすでに起きていて朝食&my弁当準備中だ。ヒロシ(3歳)は和室の布団で口をポカンと開けてまだ寝ている。あんまりかわいい寝顔なので、傍に寄って顔をツンツンしてると、目覚めた様子。僕の顔を見るなり、「パパ、イヤ。ママ、キテ〜〜」。
やれやれ今朝もやっぱりママか。甘えん坊だなぁ、ヒロシは。保育園準備。おっと、連絡ノートね。
7時42分、朝食食べ終わって、テルノの身支度を手伝う。小学生になって1ヶ月だが、だいぶ自分のことは自分でやれるようになってきたようだ。
「時間割、間違ってないか?今日は国語、音楽、算数、道徳だぞ。うーん、道徳かぁ、パパ、これが苦手でな」
「あ、ピアニカ持って行かなきゃ!」
7時45分、玄関ででっかいランドセルしょったテルノとハグして送り出す。
「行ってらっしゃい。気をつけてな」
「うん、いってきまーす。パパ、きょうは何時に帰るの?」
「今夜はちょっと遅いかな」
「わかった。あんまり飲みすぎちゃダメよ」
「ラジャー」
7時46分、ベランダから顔を出して外を歩くテルノにバイバイagain。一緒に登校する友達が待つ集合場所へ向う娘。トコトコ歩くうしろ姿があんまりかわいいので、カドを曲って消えるまで見ていた。
7時52分、次はカミさんが颯爽と出勤。
「ママー、イッテラッシャーイ!」とヒロシ。
「ヒロシ、パパと保育園行ってね。パパは今夜遅いんだよね?」
「ああ」
「あんまり飲んじゃダメよ。歳なんだから」
「ラジャー」
カミさんはこの3月で会社勤めを辞め、昔からやりたがっていた「和裁士」への道を歩み始めて1ヶ月。縫製工場での丁稚奉公は最初キツそうだったが、だいぶ慣れてきたようだ。もともと適応力のある人だし、もう35歳なんだから、そう心配はしていない。でも本人は言わないが針による右手の荒れはあるようで、薬塗って手袋して寝る姿をみた時はちょっと痛々しかった。まあ職人への道は厳しいのだ。ガンバレ。
7時55分、ロッド・スチュワートの『Foot Looth & Fancy Free』をBGMに、ホットレッグスなヒロシをトイレに行かせる。「パパ、モッチャウー」。
7時56分、着替え。今日のシャツはどれにするかなー?「♪You keep me hangin’ on」に曲チェンジ。
7時59分、「パパ〜、コレ、ヨンデ〜」とヒロシが絵本棚から『バムとケロのそらのたび』を持ってきた。
「じゃあ、ソファーで読もう。おいで」。
そう、最近僕も仕事が忙しく帰宅時間が遅いので、我が家の絵本タイムが朝にシフト。テルノは時間が早いので無理だが、ヒロシは保育園の登園時間まで若干余裕があるので可能なのだ。「絵本のアサドク」は最初ちょっとシンドかったが、慣れてくると朝には「モーニング向け絵本」があることが分かってきて、これはこれで面白いのだ。
8時15分、戸締りをしてヒロシと出家。マンション1Fのゴミ置き場に行くと管理人のオバちゃんがいて、「ヒロシくん、おはよう。保育園行ってらっしゃい」と声をかけてくれた。
「イッテキマース。バイバ〜イ」。お、今日は愛想いいじゃん、ヒロシ。
8時36分、保育園着。やっぱり歩きだと20分かかるなぁ。
「もう早くしなさい!」。あれ?園の門のところで2歳児クラスのママが弱った様子で声を上げている。そばには女の子。どうやら今朝は保育園に行きたくないらしく女の子は泣きべそ(T_T)。
そういえばテルノも2〜3歳の頃にあったよなぁ。朝送って保育園出ようとすると「パパー、イカナイデーー…」なんて泣かれてさ。もう、うしろ髪グイグイで振りきったことが15回はあったな。ホントこの年頃って難しいんだよねぇ。
「ヤダー、○○保育園行かない!ママー、うえーん(さらに泣)」。お、子どもの声を聞きつけて園長先生が出てきた。
「ほら、○○ちゃん。お友達が待ってるから行きましょ」と説得して一件落着。ママもホッと安心顔だ。さ、早く行かないと遅刻するよ、ママ。
「そういえば、ヒロシは『保育園ヤダ』ってあんまり言わなかったな」
「ダッテ、ボク、ホイクエン、ダイスキダモ―ン」。そうだよな。まあお姉ちゃんも一緒だったしね。
8時44分、ヒロシとハグしてバイバイ。
「パパ、イッテラッシャイ」
「おまえも沢山遊ぶんだゾー」。もう1回ギュウ。
8時53分、自駅のキオスクで新聞を買い、会社へ向う。BGMはエアロスミスの新譜『Honkin' on Bobo』。クー、7月のドーム公演が楽しみだぜー。
9時24分、出社。ログイン。さあ一気に仕事片付けて週末へGOだ!

24時40分、帰宅。一人で入浴後、夕刊&子ども達の連絡ノートをチェック。
24時51分、リッキー・リー・ジョーンズの『ザ・イヴニング・オブ・マイ・ベスト・デイ』を聴きながら、梨木香歩の『エンジェル エンジェル エンジェル』を読む。
25時34分、就寝。
 

5月9日(日)

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7時03分、起床。今日はテルノが小学校のあと通っている育成室(学童保育)の運動会だ。窓の外を見ると雲行きが怪しい。天気大丈夫かなー。
7時35分、朝食済ませて、レジャーシートやタオルなど運動会の準備。BGMは天候回復を祈って、EW&Fの『太陽神』。
8時32分、テルノと二人で先に出家。カミさんは弁当をこさえてから後でヒロシと会場へ来るそうだ。
8時58分、駒込の六義園グランド。もうたくさんのファミリーが集まっている。文京区には現在24の育成室があって計800名の子ども達が通っており、きょうの運動会はその全室が集結して行なう年に一度の大イベント。育成別対抗なので毎年盛りあがるらしい。おー、揃いのTシャツや応援旗作ってるところもあるぞ。気合い入ってるなー。
9時01分、「あ、Yちゃーん!」。テルノが目敏く保育園で一緒だったYちゃんを見つけ駆け寄る。3月まで通った保育園から、子ども達は8つの小学校に分散したので、きょうは旧友に会えるチャンス。B小へ行ったのは一人きりだったテルノもそれを楽しみにしていたのだ。
「お久しぶりー。どうですか、Yちゃん元気に学校行ってます?」。子どもたちの傍らでYちゃんママと話してると、F小に行ったMちゃん、K小に行ったOクン、S小に行ったIちゃんも集まってきて、保育園ミニ同窓会の始まりだ。うん、しばらく見ないうちにみんな逞しくなったなぁ。

9時30分、運動会スタート。挨拶いろいろのあと、全員でラジオ体操第1。前屈運動のとき「あ、硬っ!」と、運動不足痛感。
10時12分、「パパ、ミッケー!」。お弁当を持ってヒロシ&カミさんがやって来た。
「おー、ヒロシ。待ってたぞ。ヒロシもママと何か競技でるか?」
「カケッコー」
10時15分、「じゃあな、パパ、ちょっと仕事行ってくるぞ」とグランドを後に。
「エー、パパ、ドコイクノ?」
「日本橋。じゃーね」
11時02分、日本橋の三越本店。きょうは三越主催のマタニティセミナーにパパs絵本プロジェクトで出演するのだ。子ども達はいないので絵本のお話し会はナシ。
11時05分、エレベータで6Fの三越劇場へ。
「ちーす」。田中パパ、金柿パパはもう来ていて何やら打ち合わせ中。
「安藤さん、運動会だったんでしょ?」
「大玉送りだけやってきたよ」
11時15分、舞台裏楽屋。司会役で盟友の阿部美知子さん(元べビカム編集長→独立して「マザール」なる会社をこの4月に立上げ)、本日のチーフディレクターで以前、本の学校でご一緒したフリーライターの吉原佐紀子さん、小学館の編集さん、それと三越のスタッフらで打ち合わせ。
席上、今日のイベント参加者が200名以上でパパが多いこと、しかも三越のハイクラスな会員さんが多いと聞いて俄然ヤル気が出てきた。やっぱり、「あの絵本」をメインで紹介しようしよう!
12時、打ち合わせ終了後、仕出し弁当でランチ。食後、楽屋はどうも息苦しいので、パパsの3人で6Fの高級喫茶店へ。珈琲の味は、まぁ普通級。
12時27分、外が雨のようなので家に電話するとテルノが出た。
「パパ、運動会、中止になっちゃたよ」
13時、セミナースタート。第一部は言語聴覚士の中川先生のお話。田中パパと、ウンウンと頷きながら楽屋でTV観覧。
14時、いよいよ僕らの出番。紹介されて舞台に上がる。スポットライトがやけに眩しく暑いぞ。20年前に演ったBANDのライブを思い出すなぁ。
14時1分、阿部さんの仕切りでトークセッション開始。
最初の質問は「マタニティ時代を振り返って安藤さんはどんなことに気をつけてましたか?」と来たので、テルノのときの「立会い出産」の話を少々する。
「最初の子は40時間かかったんですよ」
「ざわざわ」
会場が暗くリスナーの表情がよく見えないので、受けてるかどうかが分からない。うーむ、笑い取るしかないか?
14時半、舞台上に大型プロジェクターで、山梨でのお話し会の模様を流しながらトークは進む。
「では、お三方のおすすめ絵本をご紹介ください」と来たので、待ってましたとばかりに僕が取り出したのは、アラン・メッツの『はなくそ』。どうだ参ったか!
14時59分、「最後に一言ずつ」ということなので、わが育児の苦労談を少し交えながら話す。
「子育てはいつか終わるもの。後になって『やっておけばよかった』と思っても、そのときはもう叶いません。子どもを育てるってホント大変だけど、やれば必ず子どもは応えてくれ報われる。うちの娘とはいま強い絆で結ばれている自信が僕にはあります。
でもそれは安易に獲得できるものじゃない。雨の日も風の日も保育園へ送ったり、夜に救急病院のゲートを娘を抱いて何度もくぐったり、毎夜のように絵本を読んで一緒の時間を過ごしたり…、そういうことをしてきたから彼女は僕を親として認めてくれてる。そして彼女の存在は僕にとっての『太陽』なんです。ほんと、今は楽しいですよ。なので、皆さんも育児を奥さん任せにせず父親として前のめりにコミットしてガンバッテください」と、会場のパパさんたちを励ましてトーク終了。
まあね。マタニティ時代は、まだオナカの中にいるから余裕があるけど出てきてからが大変なんだぜー。今日参加した人も生まれてから半年後にいろいろ気づくと思うけど、ホント頑張って欲しいよ。っていうか自分の子どもなんだから、やるのは当たり前なんだけどさ。

15時09分、幕が下りたので会場ロビーに行く。
お、参加者の皆さんが、僕らがオススメした絵本を手にとって気に入ったのを購入しているぞ。どれが人気あるかなぁ。
15時16分、あらかた人が去ったあと、販売を手伝っているスタッフに「何が一番売れた?」と訊くと、なんと1位は僕がレコメンドした『はなくそ』。ハッハッハッ、ザマアミロだ!
15時26分、楽屋で全員集合。「お疲れ様でしたー」
「いやあ、安藤さんが舞台で『はなくそ』を出したときは冷や冷やしました。でも『この絵本はフランスのラブストーリーです』って言ってくれたのでホッとしましたー」と三越のスタッフ。それくらいは心得てますって。
15時53分、解散。無性にビールが飲みたくて、その後、僕ら3人と阿部さん&阿部さんちの男の子(6歳)プラス数名で近所のレストランへ。プハーッと乾杯。
6月19日に行われる僕らのキャンプイベント「北軽井沢ジャンボリー」の話で盛り上がる。
「うちも行きますよ!ボク、三線(さんしん)やるので持っていっていいですか?」と、早くも参加表明の小学館Oさん。
「どうぞ、焚き火のそばで演ってください」
17時35分、お開き。まったねー。
18時04分、帰宅。
「パパー、おかえりー。どこ行ってたの?」とテルノ。
「ん。日本橋だよ」
「あー、バッグに絵本入ってるー。おはなし会だったの、きょう!?」
「違う違う。読んでないよ」
「ほんとかなー。じゃあ、いまあたしに読んで!」
「やれやれ」
「ボクモー、ボクモー」。ヒロシ、お前もかよ!(つづく)
 

安藤パパの今週のおすすめ絵本    

表紙  作品名 コメント
 

いやいやバスの3ばんくん
作:
砂田 弘
絵: 富永 秀夫
出版社: 小峰書店
本体価格: \951
発行日: 1980年
幼児〜小学校低学年

バスキチ、ヒロシのお気に入り絵本。
「3バンクン ッテ ビョウイン ニ イクンダヨネ」。そう、駅前ロータリーの「3番」から出発するバスは市立病院と駅の往復が仕事だ。でも、お客は病人ばかりで辛気くさいし、車内もクスリの匂いが充満。3ばんくんはいつも不満タラタラです。3ばんくんの憧れは、窓が大きくて車体カラーも鮮やかな観光バスの1ばんくん。「いつかボクもあんな風になれたら…」と今日もボーっと走ってたらガツン!ありゃありゃ、トラックと事故ってしまいました。その晩は3ばんくんは修理工場に入院。そこで病院の有難さを知り、毎日病院へ患者さんを運ぶ仕事の重要性に気づいた彼は、あくる日から誇りを持って働くようになります。
「一隅を照らす」。この絵本を読むたびに僕はこの言葉を思い出す。家庭や職場などそれぞれの「持ち場」で全力を尽くし明るく輝くことの出来る人こそ国の宝。その輝きが集まって社会全体が明るく照らされてゆく、という意味だ。そう、将来どんな職業に就こうが構わないが、プライドを持ってやれる仕事をして欲しいと、いつも子どもたちには願っている。パパもまだまだ頑張るぜ!

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