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絵本

パパ’s絵本プロジェクト


安藤パパ
安藤哲也


1962年東京生まれ。明治大学卒業後、出版社3社に勤務。書店営業で全国1500軒の書店を歩く。94年、書店員に鞍替え。96年、東京・千駄木の往来堂書店をプロデュース。初代店長を務める。00年にはオンライン書店bk1へ移籍。02年まで店長。03年、NTTドコモの電子書店M-stage bookへ。 
044月より楽天ブックス店長に就任。著書に『本屋はサイコー!』(新潮OH!文庫)がある。
★好きなもの ;A・ローベル、荒井良二、スティーリー・ダン、リチャード・ボナ、船戸与一、ラジオ、あんず、女性が本を読む姿、
Guitar、道草。
東京・文京区在住

  
安藤パパの育児日記
 

安藤パパのおすすめ絵本リスト

表紙  作品名 コメント

赤ちゃんのはなし
作・絵:
マリー・ホール・エッツ
坪井郁美
出版社: 福音館書店
本体価格: \1,400
発行日: 1982年06月01日

「父親になるっ!」。最初の子を妻が身ごもったときは、相当入れ込んだものだった。毎日、妻のおなかを擦りながらまだ見ぬ娘(←なぜか女の子と決めつけていた)に語りかけていた。当時、僕は町の本屋で働いていたが、仕入れのときも「それ系の本」に目がいってしまうほど。そんなとき問屋で見つけたのがこの『赤ちゃんのはなし』だった。
「小さな生命のもと」が胎児として成長し、誕生するまでのプロセス、そしてその子が家族に見守られながらスクスク育ち、初めて笑う日までの優しい時間がゆったりと描かれている。モノクロームの緻密な絵がクリーム系の紙に調和し、簡潔で美しい文章も心地よく響く。「私にも見せて」。妻もこの絵本を手にすると、心身ともにリラックスする様子だった。
やがて3年が経ち、娘には弟が生まれることになった。「ママ、大丈夫かなあ?」。
出産で入院した母を心配する娘に、「ほら、こうやってヒロシは生まれてくるんだよ。楽しみだね」。と、この本を読んであげたのも、いまでは懐かしい想い出だ。
 

すっぽんぽんのすけ
作:
もとした いづみ
絵: 荒井 良二
出版社: 鈴木出版
本体価格: \900
発行日: 1999年11月
対象 2歳児から

「はやくパンツをはきなさーい」とおかあさんは言うけれど、おふろあがりは裸がいちばん!」。風呂上りの男の子は、母親の手をすり抜けて冒険の旅に出ます。名は「すっぽんぽんのすけ」。見た目も気持ちいいほどスッポンポンです。愉快な絵と痛快なセリフ、そしてこのブラブラな解放感は子どもに受けること間違いなし!読むなら風呂あがりですが、気持ちいいからってパンツはかせてからにしないと風邪ひくからご注意を。

にっぽんちず絵本
作・絵:
とだ こうしろう
出版社: 戸田デザイン研究室
本体価格: \1,800
発行日: 1991年9月

「パパ、ココ ハ ドコ?」。4歳になったヒロシは最近、位置感覚が芽生えてきたようだ。家族旅行のときも行く先々で居場所の地名を聞いてくる。「ここは伊豆だよ」「ソウソウ、イズ ダヨネ!」とカーナビを指さして変に納得しているが、わかっているのかなぁ、こいつ。
 地図にはいろいろな力がある。まず自分がどの方向へ進むかを教えてくれるし、加えて世界全体を把握する力や観察力も身につく。そして頭でプランを立て空想の旅に出ることだってできるのだ。
 そんな冒険好きの子どもがはじめて出会う地図は、この『にっぽんちず絵本』のように、見て読んで楽しめるものがいい。名所や特産物がポップなイラストで描かれ、土地の歴史がやさしいことばで語られ、山の高さを比べるクイズがあったりと、本書は大人も思わず旅に出たくなるゴキゲンな実用絵本なのだ。
 そう、どんな冒険にもまず地図が必要だ。人生もまたしかり。「パパ、コレカラ ドコニ ムカウノ?」。助手席に座る息子は、これから心にどんな地図を描いていくのだろうか。
 

およぐ
作・絵:
なかの ひろたか
出版社: 福音館書店
本体価格: \880
発行日: 1981年02月
読んであげるなら 4才から
自分で読むなら 小学低学年から

小学1年生になったテルノは夏休みもプール三昧。もう一人で3.5メートルほど泳げるようになりました。またこの夏はオリンピックの競泳をみて俄然燃え、風呂でも「パパ、潜るよ!」と潜水を繰り返す始末です。そんんな姉の姿をみて、「ネーネー(お姉ちゃん)、ボクニモ オヨギ オシエテ!」とせがむヒロシに、風呂上りこの絵本を読んであげるときの娘はうれしそう。泳ぎの理論を科学的にひも解いた絵本なので娘も勉強になるようです。二人ともがんばれよー。パパは10歳で河童だったぜ。泳げるようになったら親子メドレーリレーやろうな!。
 

イエロー・サブマリン
作・絵:
ビートルズ
訳: 山川真理
出版社: 河出書房新社
本体価格: \1,800
発行日: 2004年6月30日

ビートルズが素晴らしいのは、いつの時代にあってもその音楽が常に新鮮であるところです。
小学5年生で「♪Come Together」を初めて聴いたときのショックは今でも覚えているし、ジョンが暗殺された高校3年の冬は、「♪Let It be」が僕に「無常」を教えてくれました。そして人の親になったいま、「♪All You Need Is Love」は無益な争いから子どもたちを守るピース・ソングになったのです。
さて本書はビートルズ唯一のアニメーション映画『イエロー・サブマリン』の絵本版。先ごろ世界11ヶ月で同時発売されました。ジョン、ポール、ジョージ、リンゴの4人が潜水艦に乗り込み、リヴァプールから冒険の旅に出ます。ペパーランドを暴力で征服しようとする悪党たちに敢然と「音楽で」立ち向い、そして…。
映画が公開されたのは1968年ですが、混沌とする世界情勢を考えると、いまこそビートルズの「愛こそはすべて」というメッセージは大きな意味を持つのかも知れません。『リボルバー』を聴きながらこの絵本を子どもと読むたびに、大切な者を守り続ける勇気をもらっています。
 

 

いやいやバスの3ばんくん
作:
砂田 弘
絵: 富永 秀夫
出版社: 小峰書店
本体価格: \951
発行日: 1980年
幼児〜小学校低学年

バスキチ、ヒロシのお気に入り絵本。
「3バンクン ッテ ビョウイン ニ イクンダヨネ」。そう、駅前ロータリーの「3番」から出発するバスは市立病院と駅の往復が仕事だ。でも、お客は病人ばかりで辛気くさいし、車内もクスリの匂いが充満。3ばんくんはいつも不満タラタラです。3ばんくんの憧れは、窓が大きくて車体カラーも鮮やかな観光バスの1ばんくん。「いつかボクもあんな風になれたら…」と今日もボーっと走ってたらガツン!ありゃありゃ、トラックと事故ってしまいました。その晩は3ばんくんは修理工場に入院。そこで病院の有難さを知り、毎日病院へ患者さんを運ぶ仕事の重要性に気づいた彼は、あくる日から誇りを持って働くようになります。
「一隅を照らす」。この絵本を読むたびに僕はこの言葉を思い出す。家庭や職場などそれぞれの「持ち場」で全力を尽くし明るく輝くことの出来る人こそ国の宝。その輝きが集まって社会全体が明るく照らされてゆく、という意味だ。そう、将来どんな職業に就こうが構わないが、プライドを持ってやれる仕事をして欲しいと、いつも子どもたちには願っている。パパもまだまだ頑張るぜ!

 

ぼくをいじめるとねえちゃんくるぞ
作:
伊藤英治
絵: 山本祐司
出版社: 岩崎書店
本体価格: \1,470
発行日: 2004年02月

お姉ちゃんと保育園へ行くのが大好きだったヒロシ。この4月はちょっと淋しかったみたいで、保育園でもときどき集団遊びに加わらず一人で絵を描いてたりしてたそうな。
そんなヒロシにぴったりの絵本がこれ。「キョウダイ」をテーマに数人の詩人が書いたポエムに絵を付けた詩集絵本だ。
「コレ ボク。コッチ ハ ネーネーダヨ」。夜は家で一緒に過ごせるのがうれしいらしく、お姉ちゃんと体をぴったりくっつけてこの絵本を姉弟で楽しんでる姿が何とも微笑ましい。僕もこの絵本を読むと、わが家の子どもたちの生活風景とダブって面白いし、自分にも兄貴がいたので「あの頃」を思い出して懐かしい気分に浸れるのだ。キョーダイって、やっぱりいいよなあ。
 

わたし
作:
谷川 俊太郎
絵: 長 新太
出版社: 福音館書店
本体価格: \838
発行日: 1981年2月2日

この春、小学生になる娘に贈った一冊。
5歳の「わたし」は、おにいちゃんから見ると「妹」。おばあちゃんから見ると「孫」。
さっちゃんから見ると「友達」、お巡りさんから見ると「迷子?」、犬のゴロウから見ると「にんげん」、宇宙人から見ると「地球人」・・・。
本書はそんな感じで1ページずつ他人から見たいろいろな「わたし」が登場する、谷川俊太郎&長新太のクールだけどあったかいコラボレーションが楽しい絵本だ。
「自分とは誰だ?」。そう、人間である以上、この哲学的問いから逃れることは誰もできない。でもそればかり考えていると心がズーンと重くなって、外に出られなくなっちゃう人もいる。それはなんか悲しくてモッタイナイことだと僕は思う。
だから大人への道をやっと歩き始めた娘に伝えたい。
私は確かに「わたし」だけれど、「わたし」は私だけで成り立っているわけではないんだよ。社会に生きるいろいろな人と交わって私は「わたし」として育っていくし、それが「生きてる」ってことで、それはとてもとても楽しいことなんだよ、と。

 

わゴムはどのくらいのびるのかしら?
作:
マイク・サーラー
絵: ジェリー・ジョイナー
訳: きしだ えりこ
出版社: ほるぷ出版
本体価格: \1,200
発行日: 2000年07月

ある日、男の子は自分のベッドに輪ゴムを引っ掛け、それを持って家の外へ。
自転車→バス→列車・・・男の子はいろいろな乗り物に乗ってドンドン往きます。
あれ、輪ゴムはどうなった?「ウワーッ、モウダメ。キレチャウヨー!」、悲鳴を上げるヒロシ。
男の子はとうとうロケットで月へ。もちろん輪ゴムは握ったままです。そして月面に着陸しようとしたその瞬間・・・ビヨ〜〜〜ン!
「そんなのありえない!」と思いながらも、子どもも大人もその展開にハラハラドキドキできる、おはなし会でも絶対外さない人気の一冊。絵本読みにちょっと自信のないビギナーパパ向きです。
アドリブ効かせて「自分流に」読みましょうや。
 

つきのぼうや
作・絵:
イブ・スパング・オルセン
訳: やまのうち きよこ
出版社: 福音館書店
本体価格: \1,000
発行日: 1975年10月20日


 「パパー、ミテミテ〜。オツキサマ!」。保育園のお迎えのとき、ヒロシは自転車の前カゴから空を見上げるのが好きだ。冬のこの時期、晴れた日の空は空気が澄み、月はクッキリと美しい。ペダルを漕ぐ足を止め、親子3人で見惚れるときもしばしばだ。
「パパ、月のそばにいるあの星はなに?」。後部座席の娘が訊く。「あれは火星じゃないかな」。先日の<月と火星が接近ニュース>の映像を思い出してボクは答える。するとヒロシが・・・、
「パパ、アノサ、オツキサマ キット サビシカッタンダネ。ダカラ カセイ ッテイウ オトモダチガ アソビニキテクレタンダヨ!」。この絵本も、そんな寂しがり屋のお月さまがでてくるお話。わが家の定番です。
 

はなくそ
作・絵:
アラン・メッツ
訳: 伏見 操
出版社: パロル舎
本体価格: \1,500
発行日: 2002年11月


 これぞまさしくパパの絵本!
コブタの男の子ジュールは、ジュリーちゃんが大好き。でもなかなか想いは伝わりません。ある日、「今日こそ彼女に告白するぞ!」と決心しますが、ジュリーから「明日引っ越すの。」と突然のお別れ宣言。「ガーン!」。ハートブレイクでヤケを起こすジュール。でもそのとき!オオカミが現れて二人はさらわれてしまう。「フッフッフ。さぁ、どちらから食べようかな?」「助けて!」。気は人一倍ちいさいけど、勇気をふりしぼってオオカミに立ち向かうジュール。さて彼女を救うべくジュールが取った作戦とは・・・?
作者アラン・メッツはボクらと同世代の絵本作家(1961年生)。駆け出しの頃、パリのカフェで偶然出会った『すてきな3にんぐみ』の著者トミー・アンゲラーに、その場でスケッチブックを見せ自分を売り込んだ、というロックンロールな男だ。その彼の日本初リリース絵本がこれ。自力で自分の道を開いたアランならではの「勇気と強運」というテーマが、この絵本にも色濃く投影されている気がする。 また「狼が豚を食べる」という定番プロットにも、フランス人らしいエスプリとユーモアが効いており、ストーリー自体も極上のラブストーリーに仕上がっていて大人も楽しめる一冊だ。
しかし、おそらくこの絵本。タイトルと表紙のインパクトが強すぎて(直訳でいった編集者はエライ!)、母親からはまず敬遠されてしまう絵本かもしれない。でもパパならOK。「うんちだの、おならだの、ばっちい絵本はダメよ!“はなくそ”などもってのほか!」ではなく、父親ならこの絵本の本質を読み取り、作者が放つメッセージを子どもに伝えてあげて欲しいと思う。
そういうわが家ではテルノも好きだが、やはり男の子のヒロシに大受け。毎回、親子でゲラゲラ笑いながら読んでるが、最後に僕は息子にこう言う。「いいか、ヒロシ。女の子がピンチのときは、男は智恵と勇気で守ってあげなくちゃならないんだぞ」。

 

いないいないばあ
作:
松谷 みよ子
絵: 瀬川 康男
出版社: 童心社
本体価格: \700
発行日: 1967年4月15日


 娘のテルノが生後3ヶ月くらいから毎晩のように読んでいた絵本。シンプルな展開だが、この繰り返しに彼女はすっかりハマリ、絵本と僕の顔を見比べ指差しては「バァバァ」言っていた。でも最初僕はこれがけっこう恥かしかった。娘とボクだけのときならいいが、傍にカミさんや他人がいたりすると、なんだかバカみたいで恥かしく本気で出来なかったのだ。でも子どもは正直。いいかげんにやっているとウケない。気合いを入れて「いないいない〜〜〜〜ばあ!」とやると、初めて娘は「きゃっきゃっ」と笑ってくれるのだ。実感したが、初めて子どもをもった男性にとってこの「いないいないばあ」を自然に出来るかどうかが、「親としての一歩」なのではないだろうか。
ところでこの「いないいないばあ」。子どもをあやすときのポピュラーな遊びとして認識されているが、いったい誰が、いつ頃考え出したんだろう?また海外では同様の遊びはあるのだろうか?どなたか知ってたら教えてくださいまし。
 

ふくろうくん
作・絵:
アーノルド・ローベル
訳: 三木 卓
出版社: 文化出版局
本体価格: \854
発行日: 1987年3月31日
 

 ローベルの絵本には「雰囲気」がある。作家の三木卓が訳者なのも本好きにはうれしいことだ。
ストーリーもすっきりとした起承転結があるわけでなくちょっと「ヘン」。でも逆にそれがナチュラルで他の絵本とは違った趣がある。中でもこの『ふくろうくん』は、僕も娘もお気に入りの一冊。主人公の奇妙な発想。それを追う突飛な行動。それはユーモラスでどこか「コドモ的」な振る舞いだ。たぶんどの子もそうだろうが、子どもってときどきオトナが考えもつかないことを言ったりやったりするものだ。「自分の涙でお茶を入れて飲む」。なんてクリエイティブな発想なんだろう。
 

そんなことって、ある?
作:
奥田 継夫
絵: 西村 繁男
出版社: サンリード
本体価格: \980
発行日: 1981年


 お正月など家族が多勢揃ったときに読んであげたい一冊。
「走らんかね?」。ある日曜、こんなおじいさんの提案から家族でジョギングレースが始まった。小学生のお兄ちゃんを先頭に、犬のタロウ、お父さん、妹、お母さん、おじいさんと続くが次々と脱落。往路1等賞のお兄ちゃんは意気揚々と復路を駈け出すが、そこには思わぬドンデン返しが・・・!
おふろやさん』『やこうれっしゃ』の西村繁男氏がこれまた日本のフルキヨキ家族風景を描写した素晴らしい作品。70年代に幼年期を過ごした人は郷愁を覚えることうけあいだが、親になったいま、わが子に「パパの子どものころの町並みはさ・・・」と教えてあげるには、もってこいの絵本だ。
そう、うちのテルノはこれを読むと必ず小さい時のボクの写真を見たがる。
「パパって背が小さかったんでしょ。おばあちゃんが言ってた」
「うっせー、どうせ前から3番目だったよ!」
 

みみずのオッサン
作・絵:
長 新太
出版社: 童心社
本体価格: \1,300
発行日: 2003年09月

ある日、ペンキ工場が爆発。流れ出たピンクやオレンジのペンキで町中はドロドロ。みな困り顔だ。その時、みみずのオッサンは現れる。ドロドロベタベタを食べ尽くし、あっという間にそれを養分を含んだ土に還してしまうのだ。素晴らしい!そんなオッサンの勇姿に子どもたちは「大人」を感じるのだった。
普通、オッサンは子どもに嫌われるがここに出てくるのは、かなりナイスなオッサン。ホラ、あなたの周りにもボーっと散歩しているだけのナンセンスなオッサンいませんか?人は見かけによらないもの。オッサンパワーは火事場で炸裂します!
(※このコメントは<サプリナ・絵本だいすき!'03年10月のおすすめ絵本>で紹介された内容の転載です。)
 

ルルちゃんのくつした
作・絵:
せな けいこ
出版社: 福音館書店
本体価格: \600
発行日: 1972年12月1日

 娘が2〜3歳のときハマッてた、せなけいこの絵本。好きだったわりには、娘がいま靴下を毎朝履くとき、必ずのように片いっぽうしかなくて困っているのはどうしたものか。
「脱いだらこうやって口の部分をまとめておいておくれよ」と、洗濯担当の僕ははいつも注意するのですが、どうもダメです。そんなことを嘆いていたらカミさんが「私がプレゼントしたパパの靴下もいつも片方しかないわね!」って。あー、くつしたさん、ごめんなさい!
 

いぬはてんごくで…
作・絵:
シンシア・ライラント
訳: 中村 妙子
出版社: 偕成社
本体価格: \1,400
発行日: 2000年03月

 天国に行った犬の生活を素朴かつHumorに描いた絵本。 犬が主人公なのでペットを失った人のための絵本かもしれないが、我が子を亡くした人にも何か伝わるものがあるのではないだろうか。
絵本の中で、犬は大好きなもので満ち溢れた天国を走りまわり、夜は神様に見守られながら、ふかふかの雲のベッドでぐっすり眠る。 そこはまさにユートピア。そして天国というものは「死後の世界」ではなく、「ふるさと」なのだという作者のメッセージも新鮮で、優しい。
  「死」の意味を子どもに伝える絵本はいくつかあるけど、子どもを喪った親の心を慰める絵本はあまりないように思う。 でもこの本からは、天使になった子どもが、地上に残された親に送るメッセージが伝わってくる。「ママ。天国で友だちやかわいい犬たちと、毎日楽しく暮らしてるよ。だから心配しないで」と。
 

おやすみなさいのほん
作: マーガレット・ワイズ・ブラウン
絵: ジャン・シャロー
訳: 石井 桃子
出版社: 福音館書店
本体価格: \1,000
発行日: 1962年1月20日

「ねむたい○○たち」。子どもと繰り返すこのフレーズは夜のしじまに響き合い、深い眠りを誘う。まるで聖書をひもとくような感覚だが、神の存在は子どもたちにはまだ理解されないだろう。それでいい。「きみはいつもだれかに守られてるんだよ」ということが伝わればいいのだ。
「ものいえぬちいさなものたちをおまもりください」。この祈りのことばを僕の腕の中で聴く娘は今夜も安心顔で眠りにつく。静かで敬虔な絵本です。
 

老ピエロ レオ
作:
マリアナ・フェドロバ
絵: オイゲン・ソプコ
訳: 河口悟
出版社: ノルドズッド・ジャパン
本体価格: \1,400
発行日: 2003年10月

 

サーカスの人気者・道化師のレオは、ある日これまでにない疲れを感じサーカス団を 辞める決意を固めた…。人は誰でも老いる。仕事に引き際があるのも分かる。でもな んだか虚しい。そんな生きがいを失った道化師に輝きをよみがえらせたのは、 二匹の小さなねずみだった。現役を退く老ピエロの肉体的・精神的衰えを正直に描き ながらも、後進を育てることで新しいステージへ向かうモチベーションを獲得したレ オの喜びが胸に迫る絵本。核家族社会で老人とコミュニケーションの少ない現代の子 どもはもちろん、介護問題が間近に迫る僕らの世代にとっても、隅に置けない一冊だ。
※このコメントは<サプリナ・絵本だいすき!'03年9月のおすすめ絵本>で紹介された内容の転載です。)
 

おじいちゃんのいす
作:
芭蕉みどり
出版社: ポプラ社
本体価格: \800
発行日: 1994年7月

 

おじいちゃんが焼却処分されそうな古い椅子をもらって帰るのを不思議に思う孫たち。帰宅したおじいちゃんは、その椅子をしげしげと眺め仕事場に向かう。さてさて一体なにが始まるのか…?古く壊れかけた椅子をひと晩かけて見事復元したおじいちゃん。そのマインドは「もったいない」という意識だけでなく、椅子を作った「腕のいい職人」へのオマージュだったのでは?!世は相変わらずの職人ブーム。そして最近は椅子が人気家具。暖かい画風の中、子どもに「モノを大事にする心」を伝えるとともに、手工芸的熟練パワーを発揮する年寄りに対するリスペクトと、子どもの「職人なりたい願望」を目覚めさせる一冊かもしれない。
※このコメントは<サプリナ・絵本だいすき!'03年9月のおすすめ絵本>で紹介された内容の転載です。)
 

おふろやさん
作・絵: 西村 繁男
出版社: 福音館書店
本体価格: \800
発行日: 1983年11月1日




 

銭湯が好きだ。むかし、一人暮らしの貧乏アパートには風呂がなく毎晩、近所の銭湯に通っていた。そこはコミュニティ。身分も年収も問われず、ただ汗と疲れを流しながら隣人と他愛ない会話を交わすだけの平和な世界。そして悩み多きダメな自分と裸で向き合える場所だった。
本書はある秋の日、小さな子どもがいる家族が町の銭湯に出掛け帰るまでを、セリフなしのサイレントで淡々と描いた作品。舞台は70年代の東京だろうか。壁に描かれた富士山の絵、その下のレトロな広告、湯船で真っ黒に日焼けした悪童たちが潜水してるのを叱るご隠居の姿に、思わずノスタルジーを覚える。また現代とは違い、湯屋に集まる人数が大勢で、その人たちが皆、精一杯に「今日」を生きてきた充実した顔をしているのが、とても印象的だ。
あれから10年。結婚して子どもが出来た僕は、最近また銭湯に行くようになった。
「ママー、出るよー!」。ほんわり桃色に染まった娘が女湯にいる妻に声をかけると、湯気の向うから返事が帰ってくる。「分かった〜。ちゃんと温まったのぉ?」。やっぱり僕は、銭湯が好きだ。

 ★関連絵本
『はだかんぼうがふたり〜おとなっていいなあこどもっていいなあ』(サンリード刊)
 ↑
残念ながら現在品切れ。版元さん!買うから重版よろしく哀愁。

よるくま
作・絵: 酒井 駒子
出版社: 偕成社
本体価格: \1,000
発行日: 1999年11月



 

「パパ、コレ、ヨンデ!」。3歳の息子がこの絵本を本棚からチョイスするのは決まってママが仕事で不在のときだ。「ママ、あのね・・・」。読み出すとヒロシはよるくまに感情移入、「おかあさんは?」と、よるくまが涙するシーンでは一緒に泣き出してしまうこともしばしばだ。
そう、本書は母親と子どもの愛情確認がテーマだが、同時にワーキングママへの応援絵本でもある。いつもママと一緒にいたいけどいられない保育園児のさみしい気持ちと、それを痛いほど感じながらも、仕事したい本能や生計のために働く母親の葛藤が交錯し、読んでいて切なくなってくる。
「おかあさん、どこいってたの?」。よるくまが、やっとのことで母親と出会えた場面ではヒロシもニッコリ。きっとその笑顔は、母親が保育園に迎えに行ったときに見せるものと同じなのだろう。
 

リサのこわいゆめ
作:
アン・グットマン
絵: ゲオルグ・ハレンスレーベン
訳: 石津 ちひろ
出版社: ブロンズ新社
本体価格: \1,000
発行日: 2001年9月



 

おばあちゃんの家でホラー映画を観てしまったリサは、それから毎晩、悪夢にうなされることに。今夜も「真っ黒なおばけオオカミが私を襲う のかしら」と心配なリサだが、動物園で「白く優しそうな狼」に出会い仲良しになる。すると夢も・・・。
子どもの頃って映像、つまり目で見たものからの影響って大きく、ときにはイメージが増幅されて妄想にまで及んでしまうもの。親としては気をつけたいところだが、本書で感心したのはリサのパパが「おばけなんていないよ」と言葉だけで諭すのでなく、娘の恐怖心を払拭するために、その正反対な実物(リアル)を見せたところ。参考になる一冊だ。
※このコメントは<サプリナ・絵本だいすき!'03年8月のおすすめ絵本>で紹介された内容の転載です。)
 

おばけだぞぉー!
作・絵:
ジャック・デュケノワ
訳: 大澤 晶
出版社: ほるぷ出版
本体価格: \900
発行日: 2001年10月
 

毎晩、夜中の12時に出てくるおばけのパコーム。廊下や部屋を徘徊し、皆を驚かせようとするが、鉢合せしたネズミに「キャッ!」。おばけのくせに案外、臆病なのです。
本書を含めデュケノワの「なかよしおばけシリーズ」はユーモラスで楽しいのだが、我が家では困ったことが・・・。そう、「可愛くてちょっと間抜けなおばけ」がイメージ化されてしまい、これまで子どもがなかなか寝付かないとき使っていた「早く寝ないと、おばけが来るぞ〜」というオドシ文句が通用しなくなっちゃったのです。
(※このコメントは<サプリナ・絵本だいすき!'03年8月のおすすめ絵本>で紹介された内容の転載です。)
 

まり
作: 谷川 俊太郎  絵: 広瀬 弦
出版社: クレヨンハウス
本体価格: \1,000
発行日: 2002年12月




 

最近、僕のまわりで転職をする人が多い。
理由はいろいろある。「仕事がつまらなくなった」「給料が安すぎる」「バカの壁・上司に愛想が尽きた」「彼女に振られたから仕事も替える」など人生いろいろだ。転職歴7回の僕としては、それぞれに発破をかけて励ますとともに彼らにはこの絵本を薦めている。
本書はシンプルな絵と擬音語だけなので一見、乳幼児向けだが、読んでいると転がるまりの姿に、つまずいたり沈んだりしながらも懸命に生きる現代人の姿が思わずダブる意味深な絵本。『もけらもけら』のように子どもと遊んだあとは、自分の人生に思いを馳せ、ひとり静かに読んでみよう。打たれた人ほどグッと来るよ。

かみさまからのおくりもの
作・絵: 樋口 通子
出版社: こぐま社
本体価格: \1,200
発行日: 1984年9月25日

 

「子どもの個性を大事にしよう」と言うのは簡単だが、大人たちは我が身を振り返ると途端に歯切れが悪くなったりするものだ。なぜか?それは僕ら大人の社会に出る杭は打たれる的な、歪んだ和の精神」がいまだに蔓延(はびこ)っているからだ。最悪な例が、学校や企業内でいつまで経っても治まることがない「いじめ」。他者が自分より目立つことを決して許さない人が幼い子どもに個性を語る資格はない。
さて本書は神様から5人の赤ちゃんに「それぞれの個性」が贈られるという話。僕の娘も大好きな一冊だ。「人にはそれぞれの個性・特徴があって、それはきみだけのことで、神様と親からもらったものだから大事にするんだよ。お友達もみな同じなんだからね」という思いを込めて、毎回子どもに読んでは、育児中の自分にも言い聞かせている。そう、繰り返しになるが「子どもの個性を大事に」と願うのなら、まず大人が自分の身の回り(家庭や職場)を「個人を大切にする社会」に変えていかなければならない。じゃないと、子どもに対して説得力ないでしょう?

★関連書籍 
ぼくだけのこと』(森 絵都・作、スギヤマカナヨ・絵/理論社)
 

きんぎょがにげた
絵: 五味 太郎
出版社: 福音館書店
本体価格: \743

 

 2歳の息子にせがまれて夏祭りで金魚を買った。
家に帰り、ポンプもない鉢に水を張って金魚を入れパン屑をあげる。
日がな一日、息子は元気に泳ぎまわる金魚を飽きずに眺めていた。
…でも2週間後、ほんの1日だけエサを忘れたら金魚は死んでしまった。
 「土に帰してあげようか」。まだ幼いせいか“生き物の死”を理解できず、さほど悲しむこともない息子と一緒に、金魚の亡骸を近所公園の植込みに埋葬した。「きんぎょさん・・・、バイバイ」。
 『きんぎょがにげた』は、水槽から逃げ出した金魚が、家のあちこちに隠れているのを子どもと探す楽しい絵本。
でも読後必ず、「パパ、うちのきんぎょは公園に逃げたんだよね」と、息子は淋しそうに言う。ちょっとホロ苦い夏の思い出だ。
 

六にんの男たち〜なぜ戦争をするのか?
絵: デイビッド・マッキー
訳: 中村 浩三
出版社: 偕成社
本体価格: \1,200
 

ただ幸せに暮らしたいと願っていた貧しい6人の男たち。
彼らは努力し、やっと肥えた土地や立派な家を手にする。
しかし手にした途端、今度はそれを殖やす欲望に走り、兵隊を雇い近隣の村に侵攻。そして・・・。
領地、富、権力を追い求め、戦争を繰り返す愚かな人間(男たち)の姿を戯画タッチのペン画で描いた寓話絵本。シンプルだけど、不思議な迫力があり、子どもはもちろん大人もいろいろ考えさせられる一冊。
 

ラン・パン・パン
作: インドみんわ再話マギー・ダフ
絵: ホセ・アルエゴ
訳: 山口 文生
出版社: 評論社
本体価格: \1,000

 「ランパンパン!」と鳴り響く太鼓の音は、闘いの烽火(のろし)。
愛しい女房を王様にさらわれ怒り狂うクロどりは、彼女を奪還すべく武装してひとり王宮へ向かう。
しかし一人では勝ち目がないことを知っている彼は、道中「桃太郎」のごとく、猫、蟻、木、川を味方につけ、そして…。
大切なものを汚(けが)され奪われようとするとき、人は闘わねばならない。この、当たり前だけど現代人が失いかけている道理を、本書は切々と僕らに訴える。そして、正邪をわきまえない巨悪に鉄槌をくらわすクロどりの姿に、「ブラボー!」と叫ばずにはいられないのだ。
この絵本は、「リベンジ・スピリット」を子どもに教えるにはもってこいの一冊。強烈なインド民話です。
 

カラス
作・絵:
とだ こうしろう
出版社: 戸田デザイン研究室
本体価格: \1,600


 

 主人公は一羽のカラス。住んでいた森をゴルフ場建設のため奪われ、都会に飛来し公園に住み着く。そして先輩カラス同様、ゴミ袋を漁る楽な生活を覚え、日に日に荒(すさ)んでいくカラス。そんなある日、カラスはマンションに住む少女と出会う。そしてトラブルが・・・!
 都会ではすっかり嫌われ者のカラス。でも飽食の時代を生きる僕ら現代人のライフスタイルがカラスの増加を招いた大きな原因と言われる。
そういえば僕の家でも先日「事件」があった。ベランダに置いてあった針金ハンガーをカラスがごっそり持ち逃げしたのだ。「カァーカァー」。飛び去るカラスの啼き声は、一瞬、人間をバカにしたもののように聴こえた。
でもそれが「巣づくり」のための仕業だと分かったとき、僕の脳裏に浮かんだのは童謡『七つの子』。
「♪烏、なぜ啼くの?」。あいつも父親なんだよなぁ。
 

とん ことり
作:
筒井 頼子
絵: 林 明子
出版社: 福音館書店
本体価格: \800


 

新しい町で、家族の新しい生活が始まる「春」を描いた清清しい一冊。
僕に転勤経験はないのでピンと来ないが、知らない町に赴くことは子どもにとって、さぞ淋しく心細いものなんだろう。たしか『千と千尋の神隠し』の冒頭シーンもそんな風だった。
本書ではそんな少女の「寄るべなさ」だけでなく、大人の「済まなさ」や「気遣い」をもキメ細かく描写。特に町の風景には、それらすべてを優しく受け入れる「温かみ」がある。「こんな町なら住んでみたいなあ」と読み手に感じさせ、さぞかし転勤族の 不安な気持ちを和らげてくれるのだろう。
ちなみに、うちの娘はかなえにスミレやタンポポをくれた女の子が大好き。
あの子の名前は何で、彼女も転勤組だったのかどうかが、この本を読んだあと、必ず僕と娘で議論になるテーマだ。

 

ぎょうざつくったの
作・絵:
きむらよしお
出版社: 福音館書店
本体価格: \1,200
発行日: 1996年6月15日


 

 僕が母親と過ごした時間でいまでもよく覚えているのが、小学2年生の頃、一緒にギョーザを作ったときのことだ。
「ほら、こうして皮のなかにお肉を詰めて、淵にお水をつけて、キュッキュッキュッと包むのよ」。「うん、わかった!」。
なかなかうまくいかず不揃いなギョーザを前に嘆く僕を、ニコニコと見ていたオフクロの優しい笑顔はいまでも忘れられない。
子どもと料理するのって、絵本を読むのと同じくらいエキサイティングな営みなのだ。
よし、今度の日曜日は子どもたちと ギョーザを作って、ビールがんがんだぁ。
 

うんちしたのはだれよ!
作:
ヴェルナー・ホルツヴァルト
絵: ヴォルフ・エールブルッフ
訳: 関口 裕昭
出版社: 偕成社
本体価格: \1,300


 

 子育てビギナーの男性にとって「オムツ交換」はシンドイ作業。 特に「うんち」には最初、辟易とするものだ。しかし毎日愛する我が子の排泄物をみていると、「今日は体調よさそうだな」とか、 「わ、下痢してる。ミルク控えなきゃ」とか考えるようになるもの。
そう、うんちは「情報の塊」なのだ。  
 本書は、皆が忌み嫌うその「うんち」にスポットを当て、イメージの転覆を狙った天晴れな作品。また最近、小学校の男子トイレから小便器が消えているといった行き過ぎたデオドラント文化に対する警鐘にもなる一冊で、父親としてはこの絵本を通して、子どもが持つ「うんち」の固定概念を壊し、「排泄の重要性」をしっかり伝えたいものだ。 
 

あめのひだいすき
作・絵:
バレリー・ゴルバチョフ
訳: 那須田 淳
出版社: ノルドズッド・ジャパン
本体価格: \1,400

 

雨が降ると休日の子守りはつらい。「パパー、どこか連れて行ってよー」と、せがむ子どもをとりあえず近所の公園に連れていくわけに行かないからだ。かと言って部屋でビデオばかりじゃよくないし。
そんなとき使えるのが、この絵本。どしゃぶりの日に退屈モードの子うさぎたちと、家事で忙しいママうさぎが、あれこれ想像力を働かせて砂漠へ南極などにテレポーテーションするという、親子で楽しめる梅雨どき常備絵本だ。
それにしても子どもたちの中でいちばん勇気があってアイデアマンの子・ニッキーには将来ぜひ冒険家を目指して欲しい。僕が彼の父親だったら彼に「星野道夫」を読ませるけどな。

 

だるまちゃんとてんぐちゃん
作・絵:
加古 里子
出版社: 福音館書店
本体価格: \743

 

天狗の「うちわ」や「帽子」に憧れるだるまちゃんは家に帰ってパパにおねだり。でもパパだるまの即物的対応はニーズに合わず息子の信頼を失う。しかし「鼻」で一発逆転、父の威信を取り戻す達磨どん。
思うに彼の偉いところは、息子を盛り立てるその作業に家族全員を巻き込んだところ。現代家族には希薄な「協働の意識」を結集し、成功に導いた手腕は家長として見事。父親の本質的役割を思い知る一冊だ。

 

みんなびっくり
作・絵:
長 新太
出版社: こぐま社
本体価格: \1,500
 

他愛もない悪戯だが、小猿の企画・構成力はたいしたものだ。自分の子どもにも、どうせ 悪戯やるならこれぐらいのインパクトを期待してしまう。
ヒップにフェイスを描かれ皆に恐れられるゾウはちょっと可哀相だが、最後は悪く思った猿が自ら騒動の尻拭いをして一件落着。おそらく今回の出来事は「楽しい思い出」として、二人の友情の中で語り継がれていくだろう。
 

ピン・ポン・バス
作:
竹下 文子
絵: 鈴木 まもる
出版社: 偕成社
本体価格: \1,000
 

何気ない郊外(八王子あたりがモデルか?)の夕暮れ時を、路線バスをピンポイントに描いた秀作。バス停から乗り込む家路についた人たちの安堵の表情と、それを包む車内の緩んだムードがいい。
また、ベテラン運転手の手練な技術と自然なコミュニケーション能力が、車両空間の居住性向上にとっていかに大切かがこの絵本を読むと分かる。わが家の近所を走る路線バスの粗野なドライバーも 読んで見習って欲しいものだ。
 

きいろいでかでかタクシー
作・絵:
ケン・ウィルソン・マックス
訳: でんでんむし
出版社: JULA出版局
本体価格: \1,800
 

マイカーの無いわが家は雨の日などタクシーを利用することが多い。手を挙げて車を拾う、降りる時にレシートとお釣りをもらうのは子どもたちの仕事。そんな一連の行為が社会との繋がりに感じられて、タクシーは子どもたちにとってエキサイティングな乗り物なのだ。
でもヒロシぃ、黄色のタクシーが来るまでずっと待つのは勘弁してくれ。早く保育園行かないと、パパ会社、遅刻しちゃうよ。家に帰ったら、この仕掛け絵本で一緒に遊ぶからさぁ。
 

パパと10にんのこども
作・絵:
ベネディクト・ゲッティエール
訳: 那須田 淳
出版社: ひくまの出版
本体価格: \1,600

 

育児に疲れ悩んだとき、僕はこの本をそっと開く。
ストーリーは映画的だ。父子家庭にあって、仕事にも育児にも常に全力投球のパパにも、ささやかな夢があった。後にやっとの思いで夢を達成したパパだが、 同時に大切なものを失ったことに気がついて・・・。
理想と現実のジレンマに苦しむ男の気持ちが、パパの疲れた顔から 痛いほど読み取れる。人はギリギリの日常だけでは生きていけない。 時には休息が必要なのだ。でもそれは男も女も同じこと。ヒロシが産まれて間もない2年前の妻の誕生日に彼女はこう言った。「プレゼントは”物”じゃなくて、”ひとりの時間”が欲しいわ」。
 

はいっちゃ だめ!
作:
マイケル・ローゼン
絵: ボブ・グレアム
訳: 掛川 恭子
出版社: 岩波書店
本体価格: \1,300
 

この手のトラブルは子ども達の世界で頻繁によく起こる事だ。でも自分の城が出来るとそれを守りたがって、途端に排他的になるのは大人にもありがち。古今東西、それが原因の争いは数限りなく起きているのだ。
今後もし、公園などでこういう子どもたちの争う場面に遭遇したら、大人は割って入らず黙ってみているのがいいと思う。幼心にも経験の中から「平和的な紛争解決能力」を身に付けることは、直感だけど 、未来の「戦争抑止力」に繋がる気がするからだ。
 

ぼくがすきで、ママがきらいなのは…
作:
ブラミ
絵: ネウァニック
訳: とき ありえ
出版社: 文化出版局
本体価格: \1,500
 

子どもにとってはママと読みたくない本、No.1かもしれない。
当然うちの子も、この本は母親でなく僕と読みたがる。
ストローでジュースをゴボゴボ、食事中にイスをカタカタ、寝る前にギャアギャア・・・。いっつもママに叱られてばかりのことがオンパレードだからだ。
でも何度怒られても、子ども達はママのことが大好きなんだよ。
だからそんなに怖い顔(P58)してないで、これで大目に見てやってよ、ママ。
ホラ、表4の「おち」、サイコーでしょ?
 

おじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃんのおじいちゃん
作・絵:
長谷川義史
出版社: BL出版
本体価格: \1,400
 

子どもの素朴なギモンから生れた何気ないテーマだが、ふと大人たちも、自分のルーツ、或いは「輪廻転生」を考えずにはいられなくなる哲学的な作品。
わが子を前に「ひぃひぃ」と読む様は傍目には恥かしく一瞬徒労感をも覚えるが、何遍も繰り返すうちに行間に歴史と宇宙を感じ、やっとたどり着いた最終ページの「 ある絵」には、子どもたちの力強い「未来」を信じ、感動すらしてしまう自分がいた。まったくもって「絵本ってスゲーな」と思える一作だ。
 

ぜったいたべないからね
作・絵:
ローレン・チャイルド
訳: 木坂 涼
出版社: フレーベル館
本体価格: \1,300
 

我が家もそうだが、幼児は食べ物の好き嫌いが激しいもの。 野菜類、特に人参、ピーマンなど、親は「体にいいんだから」などとあれこれ理由をつけて子に食べることを求めるが、一筋縄ではいかない。
そんなときは、この絵本に出てくるような楽しい工夫(ひっかけ)を取り入れて食卓をエンターテインメントな場にアレンジし、子どもの前向きな食欲を喚起したいものだ。
それにしても、兄・チャーリーの才能は素晴らしく大事に育てたい。とりあえず広告業界を目指してみてはどうだろう?
 

もけらもけら
作:
山下 洋輔
絵: 元永 定正
出版社: 福音館書店
本体価格: \1,200
 

この本はJAZZである。「ころ もこ めか」「しゃばだ ぱたさ」「もけけ け け け」などは、稀代のピアニスト・山下洋輔氏の立派な「ジャズ語」なのだ。
加えて元永氏の絵も摩訶不思議な味わいを出しており、読み終わるとまさに二人のジャムセッションを観た感覚が残る。なんて破壊力のある絵本。読むべし!
 

バムとケロのさむいあさ
作・絵:
島田 ゆか
出版社: 文溪堂
本体価格: \1,500
 

ストーリーも断然面白いのだが、この本が子どもだけ出なく若い母親に支持される理由は、おそらくバムケロのスタイリッシュな生活スタイルにあるのだろう。部屋のインテリアや食器、道具などが全ていちいち素敵で色鮮やか。「afternoon tea」や「東急ハンズ」が好きな女性たちには、たまらなくおシャレな住空間に映るのだろう。
そしてもし各読者家庭においてこの絵本自体がインテリア化するのなら、それはパッケージデザインを手掛けてきたという著者の「思うツボ」。それに成功したとき、僕はあえてこの本を「雑貨的絵本」と呼ばせてもらおう。
しかしかく言う僕も最近は、「バムケロ人形」を絵本ナビShopで購入したり、この本に出てくるような「具合のよさそうなボディブラシ」をあちこちの雑貨店で探す日々。やれやれだ。
 

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