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アンヌ隊員に愛をこめて
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投稿日:2015/06/15 |
「ウルトラマン」と「ウルトラセブン」のどちらが好きかと聞かれたら、ためらうことなく「ウルトラセブン」と答えます。
アンヌ隊員の魅力にとりこになる年齢ではなかったですが、「ウルトラセブン」のTV放映は1967年(昭和42年)で、私も中学生になっていました。
どちらかといえば「セブン」の哀愁ただよう雰囲気がそろそろわかる年齢に近づいていたともいえますし、まだまだウルトラアイ装着の変身シーンが単にかっこよかっただけだったかもしれません。
そんな「ウルトラセブン」でも、家に帰ればかわいい女の子が待っているとしたら、どんな父親だったでしょう。
そのような奇抜な発想で描かれたのが、みやにしたつやさんの『パパはウルトラセブン』という絵本です。作者でわかるように、『おとうさんはウルトラマン』のシリーズの一冊です。
「ウルトラマン」の時は男の子で「おとうさん」、「ウルトラセブン」は女の子で「パパ」。二人? の感じをよくとらえています。
この「ウルトラセブン」は、娘の教育問題でお母さんと争ったり、怪獣から嫌われても平気なのに娘に嫌われると落ち込んだりします。ときどきとおくをみつめて悩んだりしても「ウルトラセブン」はたたかいつづけます。愛しい娘のため、妻のため、家族のため。
やっぱり「ウルトラセブン」はか絵本になってもかっこいいし、どこか切ない。
思わず、「セブン、セブン、セブン」って唄ってしまいました。
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キャベツの丸かじり
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投稿日:2015/06/14 |
大阪・新世界の名物といえば、二度漬け禁止の串カツですが、実は串カツのそばにデーンとあるキャベツがおいしいのは、知る人ぞ知るなのです。
そう、キャベツは生のまま、ざくざくで食するのが一番。
ということは、キャベツの葉を「シャッキリ ムシャ ムシャ」と食べる青虫を同じということになります。
俺は、青虫か。
そうめげないで下さい。いずれ可憐な蝶々になるのですから。
この絵本、不思議な話なんです。
花の蜜をおいしそうに吸う蝶々たちをみて、「あんなもの、うまいはずがない」と怒っている別の蝶々たちがいます。
この蝶たちは、幼い頃に食べたキャベツの味が忘れられないはぐれもの。
幼い頃のおいしい記憶が成人しても忘れられないってこと、ありますよね。
彼らがエラいのは、その記憶をたどって行動を起こしたことです。
一軒のやおやに行って、キャベツを食べようとするのです。
ところが、残念ながら、今は蝶になっていますからキャベツを齧れない。
人間でいえば、赤ちゃんの時に吸えたおかあさんのお乳が大人になったら吸えないのと似ています。
ちがうかな。
そこで、やさしいやおやのおじさんがそんな蝶たちのために不思議なジュースをこしらえてくれます。
ジュースなら、蝶たちも吸えます。
と、どうでしょう。「ボワン!」と、蝶たちはやおやのおじさんに変身してしまうのです。
人間に変身してしまえば、キャベツは食べれます。二度漬け禁止の串カツは食べなくても、キャベツは食べれます。
それで元蝶のやおやのおじさんたちは、一生懸命に働いて、本当のやおやのおじさんを助けるのです。
えらいな、元蝶たち。
それをうらやましそうに見ていたのが、花の蜜を吸っていた他の蝶たち。
やっぱりキャベツの味が恋しくて、やおやのおじさんのところにやってくるのです。
そして、また「ボワン!」と特製ジュースでやおやのおじさんに変身して、キャベツを食べます。
絵本の中に、やおやのおじさんがいっぱい。
ちょっとホラーっぽい。
そんな不思議な感覚の絵本を読みながら、大阪・新世界の名物二度漬け禁止の串カツのそばでデーンと山積みされたキャベツのことを思っています。
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おとうさんだってウルトラマン
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投稿日:2015/06/13 |
「ウルトラマン」のTV放映が始まったのは昭和41年(1966年)、私が11歳の時です。ちなみに本作の作者みやにしたつやさんは1956年生まれですから、ほとんど同世代にあたります。
TV放映が始まると全国のたくさんの子どもたちが熱狂しました。すぐに怪獣のことなら何でも知っている怪獣博士がクラスのなかに誕生します。いまでいう、怪獣オタクのようなものです。
当時はそんな怪獣博士がクラスの人気者でした。
「ウルトラマン」だけでなく、出現しては倒されていく怪獣たちの体重や身長、強力な武器などを諳んじて、同級生たちをびっくりさせてくれました。彼は時に詳しい怪獣の絵もかいてくれました。この本の表紙絵を見ながら、なつかしさがひたひたと心にしみてきました。
私たちはそういう世代です。
そんな私たちもおとなになって、結婚して、子どもが生まれます。そして、ふっと、「ウルトラマン」には子どもがいたのだろうかと想像します。
どんな怪獣にも無敵の「ウルトラマン」でも、「めちゃくちゃ よわい あいても いる」らしい。それが、こどもです。とっても強い「ウルトラマン」ですが、息子の描いた自分の似顔絵にしんみりしたり、怪獣をやっつけるのにキズがたえなくても「こどもの けがには めっぽう よわ」かったりします。
そんな自分によく似た「ウルトラマン」にしんみりします。
きっと怪獣博士だって、想像できなかったでしょう。
子どもが読むよりも先にお父さんが独りじめしたくなるような絵本です。
そして、読み終わったあと、きっと子どもにしているにちがいありません。
シュワッチ、って。
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なんでやねん
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投稿日:2015/06/12 |
子どもたちだって大変です。
夏やすみでも冬やすみでも春やすみでも、大嫌いな宿題があります。
小学二年生のつよしだって、そう。冬やすみの宿題は、「詩」を書くこと。担任の先生が夏休みにつづいて、文集を作ろうとがんばっています。
でも、つよしには「詩」がどんなものかよくわかりません。せっかくできた「詩」もお母さんの大反対にあってボツになります。「かあちゃんの ケツは でかい」と書いたからかもしれません。
つよしはおかあさんと一緒に町の商店街にでかけます。そこでみかけた光景を「詩」にしてみます。でも、やっぱりおかあさんの猛反対にあって、ボツ。
もう、なんでやねん。
大阪弁で書かれたユニークな童話。ことばがいきいきととび跳ねているのは、大阪弁の力が大変効いています。
さまざまな風景をいろいろ観察することで、主人公のつよし少年は、「とっておきの詩」にちかづいていきます。
文中になにげなく挿入されている詩ですが、子どもたちはこんなふうにしてものごとを言葉にしていくのだとすいこまれます。そして、子どもたちの素直な表現が、おとなになる知恵を背負い込んで、かざったり嘘をまじえたりゆがんでいくようで、すこし残念です。
できれば、かぎのかかるひきだしにしまった子ども時代の「とっておきの詩」にみなさんが出あえたら、とっても素敵なんですが。
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絵本だからこんなにしみじみしてしまうのかも
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投稿日:2015/06/09 |
なんと美しい絵本でしょう。
まず、一面水色の表紙に魅きつけられます。イーヴォ・ロザーティさん文章もいい(翻訳は田中圭子さん)。ガブリエル・パチェコさんの絵も素晴らしい。暗い色調が水色を引き立たせます。
そして、何よりも「ひらいたままのじゃぐちからうまれた」「水おとこ」というキャラクターが秀逸です。
さすがに第15回絵本賞の読者賞を受賞しただけのことはある読み応え十分の絵本です。
「水おとこ」は「人とはちがっていることで」たくさんの誤解をうけます。だから、街の人びとから追いかけまわされたり、どなりつけられたりします。「水おとこ」はちっとも悪くはないのに。
そんな「水おとこ」ですが、時が少しずつ流れて人びとは少しずつ心を開くようになってきます。素直に「水おとこ」を受け入れたのが子どもたちだというのが素敵です。
でも、「水おとこ」がほんとうにいるところは、ここではありません。川や海や雨の中。だから、「水おとこ」は前に進みます。「水おとこ」はどうなるのでしょう。
少しだけヒントを書けば、最後のページは、一面の水色。
なんとなく村上春樹さんの翻訳で読みたい気分になる絵本です。
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つづきのつづき
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投稿日:2015/06/08 |
本を閉じて、さてこの物語のつづきはどうなるのだろうと思うことがよくある。
例えば、夏目漱石の『坊つちゃん』。四国松山での事件のあと、東京に戻った彼は街鉄の技手になったとあるが、果たしてその後結婚したのだろうか。奥さんはどんな女性で、子供はいたのかいなかったのか。それは息子なのか娘なのか。そういったことである。
そういったつづきを読みたいと思う人はいるもので、『坊つちゃん』でいえば作家の小林信彦さんが作中の登場人物うらなり君のその後を描いた『うらなり』という物語を書いている。
柏葉幸子の『つづきの図書館』はその逆。
絵本の登場人物たちが自分の物語を読んでくれた人物のつづきを訪ね歩くという、ファンタジー物語である。
田舎の図書館に司書として勤めはじめた桃さんの前に最初に絵本から飛び出してきたのは、はだかの王様。王様は桃さんにこう言うのである。「本をさがしてもらいたいのではない。青田早苗ちゃんのつづきが知りたいんじゃ」って。
早苗ちゃんは病気で入院をしていて、そのあいだずっと「はだかの王様」の絵本を読んでいたのだという。こうして、桃さんとはだかの王様の、早苗ちゃん探しが始めるのである。
『つづきの図書館』は、そんなはだかの王様だけでなく、「おおかみと七ひきの子やぎ」の狼や「うりこひめ」のあまのじゃくなどが読者のつづきを探す物語だが、同時に桃のこれまでもを探すことになっていく。
はだかの王様は図書館の本から抜け出してきたのだが、そんな王様がぽつんとこんなことをいう。「一人の人間に一生愛されて、その人間のそばにおいてもらえる本もあるじゃろ。そんな本は幸せじゃ」。
この言葉のなかの「本」を「人間」に変えたとき、この物語のまんなかにたどりつく。
きっとこんな素敵な物語にもつづきがあって、それは閉じられたページのなかでつづいているにちがいない。もちろん、それは読者だけに与えられた密やかな楽しみでもある。
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水ナスもいいですよ
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投稿日:2015/06/07 |
私が生まれた大阪・岸和田は泉州とも呼ばれているのですが、そこにはおいしい水ナスという野菜があります。
私が子どもだったうんと昔、水ナスなんていつもあった、どこにでもある(と思っていた)野菜だったのですが、今や全国的な名産品のひとつになっています。
東京で買おうと思えば、百貨店に行かないといけない。
おいおい、水ナスがそんなにえらくなってどうするの? みたいな気持ちですが、おいしいのだから仕方がない。
ナスは野菜の中でも料理のバリエーションの多い方です。
この絵本の裏表紙の中に、「茄子料理づくし」が載っています。
茄子のぬか漬け、米茄子の田楽、焼ナス、麻婆茄子、など、たくさん、たくさん。
それにナスはその色がいい。
独特の紫色。
あんな顔色をした人がいたら驚くでしょうが、この絵本の主人公なすの与太郎じいさんは、ナスですから紫色の顔をして、頭にちょうんまげのようにヘタをのせています。
様になっているから不思議です。
ある日、与太郎じいさんは孫の小茄子ちゃんに昔話をせがまれて、自身の弓の修業の話を始めます。
子どもたちは知らないかもしれませんが、昔那須与一というたいへん有名な弓の名手がいたので、ナスつながりの話になっています。
奇想天外な与太郎じいさんの話が終わったあとに、近所に住む茶人千休利さんがたずねてきます。
キュウリというだけあって、顔は長く、まさにキュウリ顔。
しかも、この休利さんは、昔の茶の名人千利休にかけています。
この二人のことを紹介するだけで、この絵本の面白さがわかるような気がします。
ナスが嫌いという子どもに、ナスの美味しさをわかってもらうのに、与太郎じいさんの話はいいかもしれません。
ナスの色であったり、形であったり、色々な物語ができそうな気がします。
野菜は身体にいいし、なによりも生産者さんの気持ちがはいっています。
こういう絵本を読みながら、野菜に親しんでもらいたいと思います。
今年も故郷から水ナスを頂戴しました。
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いろんなもの見つけよう
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投稿日:2015/06/05 |
第15回日本絵本賞。その大賞に選ばれたのが、本書『カワセミ 青い鳥みつけた』です。
著者の嶋田忠さんはベテランの写真家で、この本は絵本というより、写真集という方が適切かもしれません。でも、コバルトブルーに輝くカワセミの写真につけられた嶋田さんの文章がとてもいいんです。子どもたちが川から突き出た石の上ですましているカワセミや川に勢いよくダイブしている写真に夢中になっているそばで、声にだして読んでみてください。
それは単にカワセミの習性をつづったものではなく、嶋田さんがどうしてカワセミに夢中になっていったのか、カワセミの写真を撮るのにどれほど苦労したか、そしてどんな工夫で水中のカワセミの様子を写真におさめることができたのかが、平易な文章でつづられています。
水中カメラが濡れないような専用ケースがあるのですが、嶋田さんは正直に「でも、高くて買えません」と書いています。嘘をつかない文章が子どもたちを夢中にさせます。
この本を読み終わった子どもたちは、カワセミを見たいと思うでしょう。しかし、子どもたちの夢はカワセミだけではないはずです。プロ野球選手、漫画家、宇宙飛行士、写真家、会社員、いっぱいいっぱい。
その夢を実現させるために、あきらめないこと、がんばること、工夫すること、そんなことに気づくのではないでしょうか。
なにしろ、「青い鳥」は幸福のシンボルなのですから。
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みんなの図書館
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投稿日:2015/06/04 |
私が子どもの頃は、子どもの定義があるでしょうが十歳前後だとしたらかれこれ四十年以上前の頃ですが、図書館はとても怖い場所だったような記憶があります。
薄暗くって、本の黴くさい匂いが漂っていて、時々きっとこちらをにらみつける気の強そうな司書さんがいたりして。
ところが、今はすっかり雰囲気が変わりました。明るい採光、きれいな本。笑顔あふれる司書のおねえさん。
なんと幸せところでしょう。一日いても飽きません。
それに、やさしくて気立てのいいライオンがいたら、もっといい。
だって、そこは、みんなの図書館なんですから。
現代の図書館だって、たぶんまだまだ不満はある人はいると思います。
勝手きままに走り回る子どもたち、それに注意もしないお母さんやお父さん。閲覧机を占領する学生たち。こっそり図書館の資料を切り取る人たち。愛想のない司書たち。読みたい本が所蔵されていなかったり、ベストセラーばかりがあったり。
それに、やさしくて気立てのいいライオンもいません。
みんなの図書館なのに、どうしてでしょう。
私は、それでも図書館が好きです。
子どもの頃にように、もう怖くもありません。とぼしい予算のなかで図書館のみなさんがいろんな工夫をしてくれています。
それに、図書館にいると、やさしくて気立てのいいライオンだけでなくて、海から顔をのぞかせるクジラにも、野原を走るオオカミにも、昔のとっても偉い人にも、未来のかわいい少女にも出会うことができます。
だって、そこは図書館なんですから。
この絵本を読んで、そんなことを思いました。
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はたけしごとも食育
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投稿日:2015/05/31 |
「食育は、国民が生涯にわたって健全な心身を培い、豊かな人間性を育むことができるようにするために重要なテーマです」なんて、仰々しい文章が内閣府のHPに書かれています。
簡単にいえば、私たちが日頃食べているそのことを大事にしようということだと思うのですが、食べることだけでなく作られて私たちの食卓にのぼる、そういうことにも関心を示しなさいみたいなことです。
だからなのでしょうか、私が借りている菜園には小さな子どもさんがいる家族がたくさん参加しています。野菜を育てることで、食に関心をもってもらいたいという親心なのだと思います。
そんな家族を見ていると、子どもたちの目が輝いているのがわかります。
人間って、やはり、小さい時から土になじませ、動物や植物を愛するように育てるのは大切なんですね。
ドロシー・マリノが描いた、こぐまのくんちゃんを主人公にしたシリーズの一冊であるこの絵本も、自然に触れることで成長するくんちゃんの様子が描かれています。
お家にいるとおかあさんのじゃまばかりしているくんちゃんはとうとうおかあさんから「おとうさんのはたけしごとでもおてつだいしたら」と、家から追い出されてしまいます。
ところが、はたけしごとを手伝うどころかおとうさんのじゃまばかり。
おとうさんばならした土をひっかきまわしたり、草に水をあげたり、花を抜いてしまったり。そのたびに、おとうさんは「ちがう、ちがう!」っておおあわて。
くんちゃんははたけのはしにすわって、おとなしくおとうさんのすることをじっとみることにしました。
しばらくすると、くんちゃんはちゃんとたねをまいたはたけに水をあげれるようになりました。草も抜けました。
おとうさんから「なかなかうまいじゃないか」とほめられて、くんちゃんの顔はぱっと輝きます。
この絵本が日本で出版されたのは1983年ですから、もう30年以上も前のことです。色づかいも黒と緑だけで派手なところはありませんが、とてもわかりやすい絵本です。
この絵本で育てられた子どもたちがちょうど次の子どもたちの食育などを考える年齢になっているのではないでしょうか。
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