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2008年11月21日

「ねぎぼうずのあさたろう」アニメ放送開始!記念 特別企画 特集3弾<後編>。

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【後編】

アニメ「ねぎぼうずのあさたろう」を制作されている
キャラクターデザイン・・・稲上晃さん
美術デザイン・・・渡辺佳人さん
色彩設計・・・塚田劭さん

こちらの3人の方にお話を伺いました!
前編からの続きです・・・。(【前編】こちら>>>


前編では、江戸時代末期の時代設定をベースに服装から背景、色彩をつくられる・・・
というお話までご紹介しました。

お話をお伺いしていると、キャラクターデザイン、美術デザイン、色彩設計のお仕事の関わり方がとっても印象的でした。
大まかな流れで言いますと(ざっくりです、すみません!)

●作家さんが書かれたシナリオを元に、演出の方が絵コンテを描かれます。
(ここで既に、キャラクターの表情などの指示が入る事もあるそうです。)
                      ↓
●それを元に作画の方がキャラクターを描かれ、それと共に背景も描かれるそうです。
(例えば宿屋がある、山がある・・・など)
      ↓                         ↓
●背景の制作をされる。             ●キャラクター設計図を描かれる。
(渡辺さん)                       (稲上さん)
      ↓                         ↓
●色彩設計の塚田さんが、その場面の背景・時刻に合わせて色を設定される。
その背景の色に合わせながら、キャラクターの色も設定する。


その場面や背景時刻などに合わせて、キャラクターの色合いも少しずつ変化させていく事で、キャラクターが背景に馴染み雰囲気も創られていくのです。
「自然な画面が出来上がり、そうした作業をされている事が見ている人に気づかれない程、この連携プレーが上手く行っている・・・」という事なのだそうです。
うーん!奥が深いです・・・。


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稲上さんのお仕事は、キャラクターデザイン。
何となくイメージは出来るのですが、では具体的にどんな作業をされているのでしょう?


キャラクターデザインというお仕事
物語に登場するキャラクター(人物、動物、乗り物まで含めて)を全てデザインをします。
例えば人物で言うと、
・ 容姿はどうなのか
・ 性格はどうなのか
・ どんな表情をするのか
・ どんな服装・髪型をしているのか

など、沢山のポイントがあります。
演出家やスタッフの方達と話し合いながらイメージを固めていくそうです。
それを紙の上に絵で表現し、キャラクターを形にしたものが
「キャラクター設計図」というものだそうです。(稲上さんが描かれています。)

↓その貴重なキャラクター設計図を前にお話をして下さいました!!
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その設計図を見ながら、
作画監督さん達始め大勢の原画・動画のアニメーターの方達
(何班にも分かれているそうです!)
が絵コンテをもとに芝居をつけてキャラクターを動かしていくのだそうです。
こうした沢山のアニメーターやスタッフの方達の力が合わさって
初めてキャラクターが生き生きと動き出すのだそうです。


1場面に関わっている人数は・・・
今回いらして下さった稲上さん、渡辺さん、塚田さんは
作品の中の基本的な部分を作っていかれる方達なのだそうです。
その基本形を膨らませていく方達が、作画監督さんや大勢のアニメーターの方達。
その膨らませ方次第で、作品が良くなっていくかどうか決まっていく・・・との事で、
本当に大きなチームワークで1つの作品を創り上げているのだなぁ、と改めて驚かされます。

こうして考えると、数秒の場面に関わっているスタッフの方々、
1つのお話に関わっているスタッフの方々と言うのは・・・
「スゴイ人数だと思いますよ。」(稲上さん)
もう、来週から作品の見え方が変わっちゃいますね!


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主役級の3人「あさたろう・にきち・こもも」のうち、
原作絵本には出てこないオリジナルキャラクター「こももちゃん」
彼女について、少し詳しくお話を聞いてみました!


「こもも」誕生秘話!
あさたろう達が繰り広げる旅物語の道中で、
子どもたちが共感できるようなキャラクターがいるといいね、という話がありました。
男の子の共感できるキャラクターとして、「あさたろう」「にきち」がいます。
それでは、女の子の共感できるキャラクターはどんな子がいいかな?
・・・という所からアイデアが出発したそうです。

原作者飯野和好先生、アニメ制作スタッフにそれぞれお話を持ちかけられ、
また稲上さんにもキャラクターデザインの依頼をされたそうです。
ここで色々な案が出てきながら・・・

最初のイメージとして、
飯野先生が門付け(三味線を持って街角や玄関で弾き語りをする)というスタイルの
提案があったそうです。
そこで稲上さんがラフを起こしながら
飯野先生、スタッフの方々と話合いながらこももちゃんの姿が決定したのです。

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↑こもも「門付け」スタイル!(詳しくはこちら>>>

この設定に決定された時、稲上さんは三味線を描く為に、
実際に三味線を弾かれる方(東映スタッフの方でいらっしゃったそうです!)
に弾き方まで教わってみたり、深川資料館で行われる「新内流し」という三味線の演奏会の
取材をされたりと、結構苦労されたそうですよ。
(何でも実際に感触を味わってから描く・・・という信条が伺えるエピソードですね。)

キャラクター設定としては、
・ 歌が上手くなりたい女の子(イマドキの女の子に共感を得そうですね。)
・ 実は元くの一。何だけど・・・あまり優秀ではなかったみたい。
 (そういえば、既にお話でも何度か術を失敗している姿が放映されてますよね。)
・  グルメ。

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↑こもも「くの一」姿。かわいい。
こもも「忍者学校時代」のエピソードもあるそうで・・・お楽しみ!

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↑手裏剣、剣がこんな形だった事に気が付きましたか?やっぱりかわいい。

こももちゃんに関しては、飯野先生も積極的に色々なご提案をされていたそうで、
アニメ化にあたって本当に楽しんでらっしゃる様子が伺えますね・・・。

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他のキャラクターについても、色々と細かいこだわりがあるようで、
「ねぎぼうずのあさたろう」が更に楽しめる様な見所ポイントを沢山お伺いしました!!


登場するキャラクターの数は郡を抜いて多い作品!
徐々にお気づきの方も多いでしょうが、「ねぎぼうずのあさたろう」には、
毎回新たなキャラクターが凄く沢山登場してきます。
主要キャラクターの他にも、悪者、その子分達、そして町を歩いている人々など・・・

稲上さん曰く「今まで仕事をしてきた中でも一番多くて大変!」だそうです。
お察しします・・・。
そして、その登場人物が全て野菜!(中には加工品や果物も混じっているそうですが)
更に、時代は江戸時代末期!
という訳で、ちらっと登場するだけのキャラクターも
「野菜の設定」「服装・髪型」「身分」「職業」などを全部デザインされているそうです。
(このお話を伺った時点ではまだ1,2話放送直後でしたが、デザインされた人数は既に
100体を超えてらっしゃいました!)

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↑それぞれのキャラクターにはこんなに細かく指示が・・・。
 (後ろの方に見えるのは、キャラクターの背の高さを相対的に表わしているもの!)

キャラクター設計書には、正面・横・後ろの3面図の他にも、
様々な表情集、髪型(こちらも色々な角度から)、小物(くし、かんざし等)のなどや、
着物、その着方まで・・・。
設定(農村、公家、町)によって立ち姿も変えているそうです!!
細かく設定する事によって、作画の方達に指示される意味もあるのですね。


やはりオリジナルキャラクターは大変!
どのキャラクターにも思い入れはあるそうですが、
やはり原作に出てこない、オリジナルキャラクターを生み出される時が一番大変だそうです。
まず野菜の設定(!)から始まる訳ですからね・・・。
「何でも実際に感触を確かめてから」
が信条の稲上さんの頭の中は今、野菜の事で一杯だそうです。
スーパーへ行っても、テレビを見ても、本を見ていても・・・(笑)
まるで野菜博士のよう。(野菜の時代設定もちゃんと調べてあるそうです。)
勿論「ねぎぼうず」も実際に見に行かれたそうですよ。

ちなみに、渡辺さんや塚田さんも頭の中は、幕末で一杯だそうです(笑)。


普通では気が付かないこんな見所に注目!!
稲上さん渾身のオリジナルキャラクターは是非注目したいとこですが、
その他にも細かい部分で実はたくさん見所があるのです・・・。

【1】 刀(かたな)
色々な野菜のキャラクターが登場しますが、それぞれが使っている「刀」。
野菜にちなんで凄く細かい部分まで設定されているのです。
まずあさたろうの刀。
ねぎの茎で出来ているのは何となく気が付かれた方もいるかと思いますが、
なんと刃先がねぎの切り口!になっています。

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↑色々細かく描いてあります・・・。

きゅうべえの刀はきゅうり。やつがしらの親分と子分達の刀はおいもが連なっています(!?)
先週出てきた干し柿達もそういえば・・・。
それから、にきちの刀も要チェックだそうです!

【2】 着物・小物
着物の柄も、みんな野菜にちなんでデザインされています。
更に財布についている飾りもねぎの小口が付いていたりして・・・気になりますねぇ。

稲上さん曰く、「何となく伝わればいいな・・・。」との事です。
細かくチェックされると、実際には鞘に戻らない刀があったりして・・・それもまた気になりますねぇ。

【3】 アウトライン等
絵本での絵の具を重ねていく様な味のある色合いの出し方と、
アニメでの色の表現方法は、当然全く違います。
原作の雰囲気を表現するのにはとても苦労されたそうです。
そこで、線の表現を増やす事で表情を少し複雑にされたりして・・・。

ところが、線を増やしていくという事は、絵を動かすアニメーターの方にとっては
とても大変な作業になっていく一方なのだそうで。

そういう葛藤がありながらも、様々な工夫をされているとの事。
例えばキャラクターの顔のアウトラインは色の付いた線になっています。
また、立体的になるように顔に影が付いています。
そうする事で顔の表情がきりっとしてくるそうです。(・・・本当だ!)

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↑おようちゃんの涙にも指示が・・・。


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実際に「あさたろう」を見ていても、子ども達の反応を見ていても、
改めて思う事は「時代劇っておもしろい!」ということ。
刀を抜く真似をしたり、大笑いをしている子どもの姿を見ていても、
時代劇をすんなり受け入れている事がわかります。

そこで、実際に作っている方々が思う「時代劇の面白さ」を語って頂きました。

こんな所が格好良い!
・ まずやっぱり「殺陣(たて)」の格好良さ。
勧善懲悪がはっきりしている。
義理人情のあるところ。
この様に、昔から同じパターンを繰り返している時代劇だけれど、
(落語が毎回笑えるように)時を経ても常に格好良く感じられる
・・・そういう部分の魅力はあると思います。
あさたろうだって、見てみると想像以上に格好良いですよ!


ちょっと抜けた部分がある
あさたろうは、そのまっすぐな心故に何事にも正面からぶつかっていく格好良さがありますが、
同時にちょっと抜けている所もあって、勘違いをしたり、失敗したり。
そういったコメディの部分というのは、
実はどんな時代劇にも必ず盛り込まれているそうです。
どじな役の人が出てきて、どたばた劇を繰り広げたりする様子は馴染み深いですね。

そんな風に、シンプルでわかりやすい面白さ・・・というのが
最大の魅力だとおっしゃっていました。
小さい子でも楽しめるのもうなずけます。

浪曲やこももの歌が導入されて、ミュージカル風な楽しさを味わえる所も
特筆点ですね。

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稲上さん、渡辺さん、塚田さんに、原作絵本の魅力も語って頂きました!

渡辺さん(美術)
義理人情に溢れるストーリーですね。
あさたろうの「一度こうと決めたら」人に何か言われようがされようが
貫き通す性格、それでいて調子っぱずれな部分がある所も温かみを感じます。

塚田さん(色彩)
あさたろうの性格の魅力はもちろん、
あさたろうが父と出会うまで、その伏線のエピソードなどはとてもワクワクしますね。

稲上さん(キャラクター)
絵の魅力は勿論ですが、絵だけでなく手描きでかかれている文字もとても味わいがあって
楽しい雰囲気を醸し出していると思います。
実際に飯野先生が読まれている声が聞こえてくるような・・・。
(稲上さんのキャラクター設計書の字も筆で描かれています。遊び心を大切に・・・という
 思いを引き継いでいるのかもしれませんね。)

そんな風に語って下さった3人方ですが、
「この絵本をアニメにする」と初めてお聞きになった時は、
「え!どうやって?これは大変だ・・・」
皆さん一様に驚かれていたそうですよ。(内緒でご報告。)


最後にアニメ「ねぎぼうずのあさたろう」は他のアニメ作品とここが違う!
教えて頂きました!


絵本っぽいものを・・・
この作品の魅力は「わかりやすい」ことだそうです!
小さな子でも、はらはらしたり、笑ったり、あさたろうと一緒に旅をしている気分になれそうですね。
そして「こだわり」
大人でも何度見ても楽しめる位、細かい部分までこだわっています。
更に、背景や色なども改めて味わってみるのもおすすめです。

「アニメだけれど絵本を感じる様なものをつくりたい。」

これは、この作品に関わっている方達全員の共通した想いだそうです。
「子ども達が、見ることで楽しい時間を過ごして欲しい!」
という絵本と共通するわかりやすい目的を感じて嬉しくなってきますね。

さぁ、今後の展開もますます目が離せないアニメ「ねぎぼうずのあさたろう」。
是非ご覧くださいね。


◇おまけ◇
こんな資料も見せて頂きました!

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↑この細かい表、何だかわかりますか?
秒単位で進んでいく画面の進行表だそうです。
セリフ、場面、動き、音楽等・・・がとにかく細かく書き込まれているのを
プロデューサーの浅間さんが丁寧に説明して下さったのですが・・・
やはりよく理解できませんでした!(ごめんなさい。)それだけ細かく立体的な作業が
行われているのです。

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↑ちなみにこの表は、オープニング曲の一場面。
あさたろうの顔のアップが出てくるほんの数秒にもこれだけの指示と
作画があります。あさたろうの顔の線も細かく修正されています。

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↑そして穂が揺れる部分では、その動き方が細かく書き込まれています。
 (こちらも見ていても何の数字なのかわからないのです・・・)

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↑この場面は見覚えがありますね!
背景とアニメーションの部分が重なった絵ですね。

どのお話もとても新鮮で、とても長い記事になってしまいました。
記念にぱちり!

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あさたろうだけでなく、すっかり稲上さん、渡辺さん、塚田さんの
ファンにもなってしまいました。
貴重なお時間、ありがとうございました。
  
東映アニメーションHPはこちら>>>
絵本ナビ特別企画「ねぎぼうずのあさたろう特集」第1弾はこちら>>>
絵本ナビ特別企画「ねぎぼうずのあさたろう特集」第2弾はこちら>>>
絵本ナビ特別企画「ねぎぼうずのあさたろう特集」第3弾<前編>はこちら>>>
絵本版「ねぎぼうずのあさたろう」シリーズはこちら>>>

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2008年11月20日

「ねぎぼうずのあさたろう」アニメ放送開始!記念 特別企画 特集3弾<前編>。

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【前編】

アニメ「ねぎぼうずのあさたろう」の放送がスタートして早1ヶ月。

あさたろうを始めとするキャラクターの魅力や、
原作絵本をベースとする浪曲痛快チャンバラ時代劇のお話の面白さは勿論の事、
今までイメージしていたアニメ作品とはちょっと印象の違う、
その背景を含めた色合いの美しさや、
まるで映画を観ている様な宿場町の様子や町の人々の雰囲気などなど・・・
思いもよらない程の奥深さを感じる世界に、見所満載のこの作品の虜になりつつあるのです。

今回は、東映アニメーションさんのご配慮により、
普段めったにお会いする事のできないこんな方々に、
直接お話をお伺いする事ができました!
(大勢の方が携わっているアニメ版「ねぎぼうずのあさたろう」制作スタッフの中で、
この作品の「基本的な部分を決定していく」という部分を担っているお仕事なのだそうです!)

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キャラクターデザイン・・・稲上晃さん
物語に登場するキャラクター(人物、動物、乗り物含めて)をデザインし、形にされていく方です。
美術デザイン・・・渡辺佳人さん
キャラクター以外の背景舞台をデザインされている方です。(風景、建物など)
色彩設計・・・塚田劭さん
キャラクターや背景なども含めて色を設定するお仕事。イメージや雰囲気も色によって表現されます。

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シリーズディレクターや、演出の方達の意向を表現されていく、
とっても重要な役割であるというのが、素人の私達にも理解できますね。
素朴な質問に対して、とっても丁寧に答えて下さいました。
興味深い内容ばかりですよ。

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1話、2話・・・と見ていて、一番印象的だったのはやっぱりあさたろうの魅力!
何と言っても、光輝くあさたろうの顔色。
そして、原作絵本のあさたろうに負けない位に豊かな表情。
服装や小物、飛び道具(ねぎ汁!)まで・・・
主人公あさたろうの表現はどのように決定していったのでしょう?


主人公のあさたろうの表現について
3人それぞれの立場から語って頂いた内容が印象深かったので、ご紹介します。

塚田さん(色彩設計)
「原作の顔は、水彩絵の具で表現された繊細な色。これをアニメでどう表現するのか、試行錯誤を繰り返しました。
最初に作ったパイロット版(試作品)は割と黄色っぽかったのですが、
あさたろうの(一本気でまっすぐな)性格が感じられる様に、最終的には少しグリーンの入った色に決定しました。
ねぎ汁や涙も沢山登場しますが、こちらの表現も結構苦労しました(笑)。」

稲上さん(キャラクターデザイン)
「絵本の原作のあさたろうは、とても楽しい表情を創られていますね
アニメ版では、一年間シリーズを通して色々な話が登場します。
あさたろうがこれからどんなものに出会い、どんな表情が生まれていくのかは、まだ未知数です。
ディレクターや演出家、スタッフと話合いながら、原作の味も生かしつつ楽しんで表情をつくっていきたいと思っています。」

渡辺さん(美術デザイン)
「基本的に背景は、あさたろう達キャラクターをいかによく見せるか、という事で考えています。
背景にどんどん手を加えてよりリアルに描きこんでいく・・・というよりは、
画面の中でキャラクターと一番合った雰囲気はどうすればいいか、という事で決定していきます。」

それぞれ仕事の内容は違っていても、
「あさたろうのまっすぐな心」を表現するという事が一番念頭にあると言う点で共通しているようです。

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↑3人一度に顔を合わせられる・・・いう事が、とても珍しいそうですよ!

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「ねぎぼうすのあさたろう」は、原作もアニメ版も時代設定が江戸時代末期です。
絵本自体も時代設定がしっかりしているそうですが、
(飯野和好先生がとてもお詳しいそうなのです!)
シリーズディレクターの池田さんに、服装や背景、小物や野菜に至るまで
かなり詳しく時代検証をされているとお伺いしていました。


登場キャラクター達の服装の決定はかなり大変!?
設定が江戸時代末期という事なので、当然その時代の服装をさせなければなりません。
主要メンバーの服装設定だけでなく、
例えば街の風景が出てくれば、その場所職業身分によって着物髪型などが違ってくるので、
出てくる人達全員の服装を考えなければならないそうです!
特に髪型は正面だけでなく、色々な方向から描く事が難しい・・・とおっしゃっていました。

これだけ忠実な時代劇を再現しているアニメ作品というのは、近年とても珍しいそうです。
その分苦労は多いそうですが、とても楽しまれているようにも見えましたよ。
例えば・・・
服装については、もともと飯野先生が細かい部分までとてもこだわって描いているそうで、
わからない部分については、飯野先生に確認したりされる事もあるそうです。
(お話会では実際に着られる事も!?こちら>>>
あさたろうの旅姿については、稲上さん(キャラクターデザイン)も教わりながら旅姿の服装を実際に着て、
感触を味わったそうです。(全身完璧に着こなしたお写真も見せて頂きました。わらじの履き方も教わって・・・。)


参考としているのは時代劇の役者さん
その他のキャラクターの服装についても、スタッフの皆さんで打ち合わせをしながら決めていくそうです。
そのキャラクターのイメージや雰囲気を創っていく為に、実際にいる時代劇の役者さんをモデルにされる
事もあるそうです。

例えば剣の腕は一流「きゅうべえ」
きゅうりというだけあって、あんなに顔が長いのに立ち姿や振る舞い、着物の着方など
すごく男前で格好良いと思いませんか?
実は彼のモデルとなっているのは・・・(時代劇映画がお好きな方ならご存知でしょう)
市川雷蔵が演じる、映画版眠狂四郎(ねむりきょうしろう)だそうです!
彼の妖艶な雰囲気を表現する為に、目付きや立ち方着流しの様子など参考にされているそうです。
どうりで・・・どこか影のある感じがするのも惹かれますよね。
先週(11/16)の放送では、きゅうべえのそんな影の秘密がちらりと登場していましたね。
今後の展開も気になる所、目が離せないキャラクターの一人です。


あさたろうの服装はほぼ原作通り
あさたろうの「旅姿」というのは、上記の通り飯野先生のこだわりもあり原作絵本にかなり忠実だそうです。
ただ、一箇所アニメ版オリジナルの姿で個人的に気に入っている場面があります。
第1話の「あさたろうがねぎ畑から飛び出した場面」
まだ旅姿になる前のあさたろう、ねぎ一枚の着物(?)姿でねぎの帯をきゅきゅっと締める様子。
ここは、プロデューサーや演出の方と話合い、
「ねぎだけでも着物っぽく見えるように・・・」と決まった結果、ああいったキュートな姿になったそうです。
とっても瑞々しいねぎの香りが漂ってくるような色と合わせて、印象に残っています。


風景の基本モデルは東海道五十三次
背景について、美術デザインの渡辺さんにお伺いしました。
時代劇風の雰囲気を感じながらも、どこかリアルな感じでとても入り込みやすい背景。
実際のモデルはあるのでしょうか?
「原作の舞台は、故郷の浅葱村から京都三条大橋まで、東海道を旅するおはなしです。
ですからやっぱり、基本は歌川広重の東海道五十三次の雰囲気を出せたらいいなぁと思い参考にしました。」

その他にも実際に「東京江戸博物館」「深川江戸資料館」、また京都の「太秦映画村」などに足を運ばれたり、
実際の風景をご覧になったり。(実際に舞台が京都に移っていくので、富士山の位置も重要ですね。)
また、民家の資料や江戸時代の建物の資料なども沢山ご覧になったそうです。

背景を決定するまでの流れとしては、
まず演出家が意図している事をいかに再現するかという所から始まります。
資料や実際の様子などを話し合いながら風景を決めていきます。

そして、例えば一軒の家を建てる時。
まず渡辺さんの頭の中で、その家が建っている背景の様子から考えていくそうです。
「村に建っているのか、町中なのか、宿場なのか」・・・。
そして、村の様子を決めていきます。「山の中なのか、畑の中なのか・・・」更に建物の資料も集めます。「藁葺き屋根なのか、茅葺、瓦なのか・・・」その村の様子などが頭の中で固まってきて、初めて家や実際の風景を作っていくそうです。

そうして周りのものも大切にしながら作っていくことで、
見ている人に違和感なく自然な風景として伝わるのではないか、という思いがあるのだそうです。

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↑第1話に登場するしいの実のおようちゃんの家の完成図と設計図です!
 家のつくりも、環境や身分によって全然違うそうで・・・。今後も次々に登場する建物、
 下調べだけでも大変そうですね!

また「あさたろう」を見ていると、何となく屏風絵風な雰囲気を感じませんか?
和紙のような色合いが登場したり・・・時代劇特有の落ち着いた雰囲気がありながらも
洗練された形や色がでてきてぴりっと効いているような。
これは渡辺さんがもともとやってみたかった表現だそうです。
塚田さん(色彩)との連携も重要になるのだそうです。
そんな部分も、この作品の見所の1つにもなっているのではないでしょうか。


江戸時代は実はとってもカラフル?
服装や建物などは、実際の写真や現物などを資料として参考にされているとの事ですが、
参考にする事ができないのか「色彩」
確かに資料の殆どは「白黒」ですし、現存している建物などの色は当時よりもずっと色褪せているし・・・。
という訳で、塚田さん「その時代はきっと鮮やかな色合いだったはず」と考えられて、
実際に今あるような感じで再現する事に尽力されているそうです。
特に着物などはとっても鮮やかな色合いが多く、華やかな雰囲気が楽しいですよね。

また、色彩で特筆すべき点は「時刻によって変化する色合い」です。
この美しさは是非実際に番組をご覧になって確かめてくださいね。


まだまだ面白い話は続きますが、長くなってしまうので一旦終了。
続きはまた次週更新します!
次は主にキャラクターデザインのお仕事(貴重なキャラクター設計図の写真も)や、
こももちゃんの秘密などをご紹介します。
お楽しみに・・・。

東映アニメーションHPはこちら>>>
絵本ナビ特別企画「ねぎぼうずのあさたろう特集」第1弾はこちら>>>
絵本ナビ特別企画「ねぎぼうずのあさたろう特集」第2弾はこちら>>>
アニメ版「ねぎぼうずのあさたろう」登場人物キャラクター紹介はこちら>>>
絵本版「ねぎぼうずのあさたろう」シリーズはこちら>>>

【後編】はこちら>>>

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2008年10月11日

「ねぎぼうずのあさたろう」アニメ放送開始! 試写会に行ってきました。

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いよいよ今週日曜日にせまったアニメ「ねぎぼうずのあさたろう」放送開始目前。
一足お先に試写会に行ってきました!

アフレコ(声の録音)作業などをするタバックというスタジオの一部屋で行われました。
関係者の方々ばかりの中でちょっぴり緊張しながら席に座っていると。

何と!お隣に粋なお着物姿の飯野和好先生が。

初めてお披露目される記念すべき第一回「ねぎぼうずのあさたろう」を
原作者飯野和好先生のお隣で見る幸せ・・・。


さて、そのアニメ版「ねぎぼうずのあさたろう」。
ここ数週間、特集作成の為にずっとあさたろうが頭の中を走り回り、
その動く姿を想像しながら過ごしていましたので、
いざテーマ曲が始まってあさたろうが画面狭しと軽快に動き回る姿を見た途端、
何だか感無量な気持ちになってしまいました。(赤の他人なのですが・・・。)

ちなみにこのテーマ曲を歌っている方と作詞をされた方もいらしたので、
ちょっとお伺いしましたら、
「絵本、シナリオからイメージして」作詞されたそうです。
あさたろうの世界がぎゅっと凝縮された素敵な曲なのですが、
サビはやっぱり「あのフレーズ」で決まってましたよ。


そして、まず冒頭に入ってくるのが浪曲!
「浪曲って、こんなに唸るんですね。」
皆さん、本物の浪曲を聴くことができますよ、聞き惚れます。
その他、使われている音がどれも素晴らしく、
本格時代劇の雰囲気を醸しだしていてドキドキしてしまいます。

そんな中、ねぎ畑風景からお話は始まるのです。

ストーリーは後のお楽しみですが、
絵本を読んで感じる、あの世界観にそのままちょっと入り込んで
リアルに見ている感じ・・・というのでしょうか?
なるほど、そういう事だったのかとうなずいてしまったり。

やっぱり何といっても見所は、
インタビューさせて頂いた池田さんもおっしゃっていた通りに、
「あさたろうのキャラクター」の魅力でした!

絵本の中の絵の様に、あの絵筆でさらっと描いたような顔立ちをしているくせに、
よく動くんです。そして表情が本当に豊かなのです。

ねぎ畑から飛び出したばかりで、ちょっとウブな感じのあさたろうは可愛さ満開!(顔がまん丸だし。)
それに対して、正面きってまっとうな事をしゃべるあさたろうは本当にカッコイイ。


また、絵本でのあの質感の表現をアニメで表現されるのは本当に苦労されたとお聞きしましたが、こだわりのある色や風景に、アニメならではの美しさが加わって、また新しい世界が広がっていました。


あさたろうが必殺技を繰り出す「決め」の場面、
笑いあり涙ありの物語、本当に色々な要素がぎゅっと凝縮した第一話。

早起きできた方は見逃さないでね!

ご覧になれない方はこちらでお楽しみください!
>>>東映アニメーションHP ねぎぼうずのあさたろうサイト

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↑第1話予告映像より。あ、この悪者は・・・!

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↑旅がらす、あさたろう。

◆メルマガバックナンバー「ねぎぼうずのあさたろう」特集号はこちらから<<<

2008年10月08日

「ねぎぼうずのあさたろう」アニメ放送開始!記念  登場人物紹介です。

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アニメ版「ねぎぼうずのあさたろう」の登場人物をご紹介します!!


アニメ版「ねぎぼうずのあさたろう」には、絵本シリーズでお馴染みのキャラクターはもちろん、
オリジナルキャラクターも登場するようですね!
物語は、この3人が中心となって進んでいくようですよ。


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「あさたろう」

あさつき村うまれのねぎぼうず。暴れ者から故郷の畑を守るため、東海道の旅にでる。
悪いことにはがまんができない。
必殺技のねぎ汁で、悪ものたちをやっつける。

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「にきち」

元盗賊のにんにく。盗賊だったが義理固い。だじゃれやギャグが大好き。
あさたろうの一本気にふれて、いっしょに旅をすることになる。
必殺技はにんにくの粉の目潰し。
※絵本版では2巻から登場しますね!

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「こもも」

謎の少女。あさたろうたちの行く先々で、三味線をひいている。
歌とおいしいものが大好きで、「東海道味巡り」という本を持っている。
じつは忍者見習いだが、忍術はヘタ。
※アニメ版のオリジナルキャラクターです!

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「こもも」

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「こもも 烏追い旅姿」

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「こもも 忍者姿」

詳しくは  
東映アニメーション ねぎぼうずのあさたろうサイトをご覧ください!こちら>>>
   

◆メルマガバックナンバー「ねぎぼうずのあさたろう」特集号はこちら>>>

「ねぎぼうずのあさたろう」アニメ放送開始!記念 特別企画特集2弾。

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今回の取材の打ち合わせをさせて頂いている際に、東映アニメーションのプロデューサー浅間さんと、アニメ版「ねぎぼうずのあさたろう」の担当をされている福音館書店ライセンス課の有賀さんが、ちょうどシナリオ(だいぶ先の分のお話のようです。)のやりとりをなさっている時期でした。
有賀さんの
「飯野先生が出来上がったシナリオを改めて読まれた後、こんな事をおっしゃったんですよ。」


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と話して下さった、飯野先生のお人柄がうかがえるエピソードがとても面白く、
思わずもっと伺ってみたくなってしまいました。
そこで「アニメ化にあたって一言感想などを・・・」とお願いしてみましたら、

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↑原稿用紙にこんなにびっしり書いて下さいました!

絵本ナビの読者の方へ向けて書いてくださった素敵なメッセージです。
飯野先生の言葉を通して、アニメ版の魅力も伝わってきちゃいますよ!

※飯野先生からの原稿をそのまま掲載させて頂きます


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最初に、アニメ化のお話があった時は、本当にびっくりしました。

今までも、絵本の原画そのままを動かし、ビデオにした事もあったのですが、
今回は、本格的アニメーションとしてのお話だったですから、新たにアニメ制作作家の方が絵を描く事に、多少の不安がありました。

しかし、そんな心配はまったく必要なく、丁寧にそして、気持ちを込めてねぎぼうずのあさたろうの世界を描いて下さり、愛嬌と勢いのある素晴らしい絵になっていて、私の描いた野菜のエキス感たっぷりのチャンバラ絵本のアニメーション化になっています。
そして、絵本から広がる新しいキャラクターもたくさん登場します。特に、あさたろう、にきちと一緒に旅をする事になる、元くの一こももは、本当に可愛いです。

 旅から旅へ、三人旅をする中でいろいろな人や美味しい食べもの、悪もの達との出会い。
自分の心の筋を通し、正義のねぎじる、にんにくの粉、こももの忍術で悪を倒しながら街道を行きます。
笑いあり、歌あり、涙あり、そして、この物語の人情話としての味を際立たせるのが浪曲です。
♪うーうー唸って、唄って語る、強くて面白い芸。浪曲チャンバラ絵本の味が、アニメーションでも増々効果的に入っています。ですから、幼稚園のこども達から大人まで本当に楽しめる物語になっています。ギャグもいっぱい!

 そして何より、物語にぐっと渋味と苦味とほのかな甘味を加わせているのが、きゅうりのきゅうべえです。
浪人となり用心棒となり、哀しみのまじる不敵な笑いは、果たしてその訳は?
謎を含み、敵対するあさたろうと筋の通った情の戦い!
自分が何かにかかわった時、どうしたら解決できるだろうか?
心と体ではっきりとぶつかっていく勇ましさ。
「てやんでいっ、そいつはいけねえぜ、悪い事は許さねぇんでいっ」と、はっきり相手に言い切るあさたろうと仲間達、いつしかきゅうべえはそんな純真さに惚れながらも・・・。
ああ!もっといっぱい書きたいけれども、後はテレビで観て下さい!

 予告編や、最初のテスト版を観させて頂いた時、その画面から出てくるあさたろう達の勢いのよさと楽しい感じが満ち満ちとしていましたので、本当に嬉しくなりました。早く、全国の皆さんに観て頂きたいと強く思いました。私は、こどもの頃からチャンバラ映画が大好きで、その映画が源になって絵本ねぎぼうずのあさたろうが作れたので、こうして、アニメーション、映画になると言う事は、本当に嬉しいのです。

今回、企画を立ち上げて下さった方々、プロデューサー、アニメーター、シナリオライター、演出家の方、監督さん、テーマ曲と詩を作って下さった方、歌手の方、制作スタッフの方々、そして、あさたろうと仲間達にぴったりの素晴らしい声優さん達!たくさんの方達のおかげで「ねぎぼうずのあさたろう」アニメ版の出発です。朝早いですけれども、是非、早起きアニメーション「ねぎぼうずのあさたろう」じっくり、お楽しみ下さい。
                                2008年9月29日   飯野和好


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おはなし会で全国をまわられる飯野先生!


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2008年10月07日

「ねぎぼうずのあさたろう」アニメ放送開始!記念 特別企画特集1弾。

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来る10/12(日)に放送スタートを控えた、アニメ「ねぎぼうずのあさたろう」。
ご多忙な時期にも関わらず、この度東映アニメーション プロデューサーの浅間さんに、
多大なご協力を頂きまして、その魅力をお伝えしていこうと思っています。

今回は放送直前スペシャルということで、シリーズディレターである池田洋子さんに
お話をお伺いすべく録音スタジオタバックにお邪魔してまいりました。
(あの有名なアニメ番組のアフレコ作業がすぐ横で・・・という、ちょっと特別な雰囲気です!)


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まずは、この作品のプロデューサーをされている浅間さんより、
「あさたろう」との出会いから、決定、その魅力までを語って頂きました。

数ある絵本作品の中で、この絵本「ねぎぼうずのあさたろう」シリーズが選ばれたきっかけは何だったのでしょう?
      
今まで数えきれない程のたくさんの作品を作られてきた東映アニメーションさん。
(その華々しいラインナップはHPへ・・・)こちら>>>
2年前に創立50周年も迎えられ、「新しいアニメをつくりたい」と、
様々な意見が出された中で、浮かび上がってきた言葉が、
「原点回帰」だったそうです。
シンプルに「子ども達に楽しんでもらいたい。夢や希望を与えたい。」
そういった会社理念の基本に立ち上りつつ、新しい挑戦として選ばれた素材が
「絵本」。(今まで本格的に扱われた事は、殆どなかったそうです!)
その作品は、これまでに培われてきたアニメ制作技術の全総力をかけて取り組まれる事となったのです。

そこで白羽の矢が立ったのが飯野和好さんの絵本「ねぎぼうずのあさたろう」シリーズ
浅間さん曰く、「最初に見た時の、そのインパクトたるや!」
         「今までにこういったものってなかったよね!?」
この、江戸時代末期を舞台にした浪曲風痛快チャンバラ時代劇絵本
絵本界でも相当なインパクトを与えた作品でしたが、
アニメ制作の業界内でも、どうやらそれ以上の衝撃を受けていた様子です。
完成図が予測不能なこの題材に、誰もが驚きながらも嬉しそうな顔をされるそうです。
全員が面白がって創られる作品・・・それがアニメ版「ねぎぼうずのあさたろう」なのです。

絵本版「あさたろう」シリーズの魅力とは?浅間さんに改めてお聞きしました。

「絵本を読んでいると、とても風景の広さを感じるのです。」
と浅間さん。登場人物の入り方や、間の取り方、場面展開や見せ所などが
とても映画的な感覚だとおっしゃいます。
その作品の奥深さこそが、選ばれる際の一番の決定打となったのかもしれませんね。
そして、絵本の内容をしっかりたどっていくと、
昔から日本人が慣れ親しんできた「本格時代劇」として、人情もの、股旅もののパターンの形をとっており、老若男女、子どもからおじいちゃんおばあちゃんまで楽しめるものだと感じ、
なおかつ、長期シリーズとして発展できる内容だと確信されたそうです。
私達も知らず知らずのうちに、そんな部分に惹かれていたのかもしれませんね。

  
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カリスマ浪曲師の登場です!

ところで、絵本では御馴染みの、必ず冒頭に出てくる「浪曲の節」ですが、
この部分はどうなるのでしょう?
「ここはこだわりです!」
偶然、この日は浪曲パート録りをされてきたそうで、
国本武春さん(カリスマ浪曲師として全国で大活躍されている方なのです)
という方が担当され、本格的に呻っているそうですよ。
どうやって読んでいいか分からなかった読者の方々!
ここは、ひとつ要チェックですね。「本物」を聞くことが出来ます。

子ども達には耳慣れない浪曲ではありますが、
TV番組「にほんごであそぼ」で狂言などが繰り返し題材にされている事でも
証明されている通り、その不思議な音の響きに子ども達はきっと反応するでしょう。
古典芸能独特の音やメロディー、動きなどから、面白さというものはちゃんと伝わるものなのですね。


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アニメ作品「ねぎぼうず」のあさたろうができるまで・・・・。

私達は、当たり前ながらこの業界の素人なので、
どの様な手順でアニメ「あさたろう」が制作されているのか、想像がつきません。
またプロデューサーって、シリーズディレクターってどんなお仕事をするのでしょうか?
失礼とは思いながらも、素朴な疑問として投げかけてみましたら、
浅間さんがとても分かりやすく説明して下さいました。
  
「オーケストラに置き換えると分かりやすいかもしれませんね。
 演奏会が行われるとするとします。ホールの予約や、広告、
オーケーストラの内容、指揮者の選定などなどを行うのがプロデューサー
 それに対して、指揮者の立場になるのがシリーズディレクターです。
 楽器の編成を決めたり、自分の音色を表現する為の人選をしたり、
 また、こういう作品を創っていきたい、と言う事をそれぞれのパートに
 伝えながら全体を進めていく・・・というイメージでしょうか。」

具体的には、「ねぎぼうずのあさたろう」という作品名を決定し、シリーズディレクターを
選出されたのはプロデューサーさん、いざ作品制作がスタートして全体の作品演出を
コントロールしていくのがシリーズディレクターさんなのですね。

では、どの位の方達がこの作品に関わっていらっしゃるのでしょう?
「あさたろう」の場合、1話が30分、年間を通すと、全部で50話弱あるそうです。
そして、演出家が各回の話を担当するのですが、「あさたろう」には7人の演出家
いらっしゃるそうです。(ローテンションで進んでいくのですね。)
各話にそれぞれ関わる主なスタッフを数えると百名以上、
更に細かく絵を描いたりしていくスタッフを含めると数百名単位の方々が
「あさたろう」の放送に関わって動かれているそうです。

    
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ちなみに、1本のお話が出来上がるまでには、シナリオが完成してから
約3ヶ月程かかるそうです。
そんなお話が、毎週放送される・・・想像を超えたお話に、何だかくらくらしてきますね。
シリーズディレクターの池田さんは第1話の演出も担当されているので、
この取材でお邪魔した時期は、第1話の完成に向けてまさに大詰めの状態、
更に全体としては半年先(春頃)に放送される分のお話の準備に取り掛かって
いらっしゃる事になります。
本当に大掛かりで大変なお仕事です。
加えてこの立ち上がりの時期は、全員にイメージを伝えていく事が大事な大切な期間。
そんな中、池田さんに登場して頂きました・・・恐縮です!

    
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これまでも、数々のアニメ作品の演出を手掛けられてきた池田洋子さん。
「ワンピース」や「遊戯王」など、男の子ものの作品が多かったそうです。
更に、もともと小さい頃から時代劇がお好きだったそうで、
シリーズディレクターとしては初仕事となる作品がこの「ねぎぼうずのあさたろう」というのは、
まさに運命的な出会いの様な気がしてしまいますね。

池田さんが初めてこの絵本をご覧になった時、どう思われましたか?
 
 「子どもに向けて創られている、というイメージのあった絵本の世界で
 こんなにも本格的な時代劇が描かれている事に、驚きました。」

池田さん御自身は、お母様の影響もあり時代劇には小さい頃から慣れ親しんでこられたそうです。
子ども達が時代劇を楽しむポイントとしては、どんな部分があるのでしょう?

 「キャラクターにつきると思います。」

池田さんがこの絵本で、とにかく面白い!と思われたのは、
この絵本に出てくるキャラクターがみんな野菜であること。
(ちょっと人間ぽいなぁ・・・と思っていた通行人や脇役まで、実は全員野菜なのです!)
そんな強いキャラクターなのに、ちゃんと時代劇をしているところにとても魅力を感じるそうです。
そもそも、主人公のあさたろうは「なぜねぎなのか?」という、
永遠に深まっていく謎も含めて、この絵本の世界を存分に楽しみながら
作品を創られている様子でした。
   
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↑やはり池田さんも、絵本「あさたろう」について語る時は嬉しそうなのでした。


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アニメ版「あさたろう」はどんな男の子なのでしょう?

絵本の中の「あさたろう」は、ヒーロー的な存在感があり、男前の雰囲気や
ちょっとした色気まで感じてしまう位ですが、アニメ版の場合はどうでしょう?

「第1話がねぎ畑から飛び出すところから始まる事もあり、
 まだ世間に出てきたばかりの怖いもの知らずの男の子として、
 一人前の男前になる一歩手前くらいの雰囲気でしょうか?」との事です。
 もう少しあどけなさが残っている感じなのかもしれません。
     
この物語のみどころを教えてください!

「まず、まっすぐでちょっぴりばか正直なあさたろうのキャラクターです。
 そんな彼が、旅を続けていく中で、様々な出来事に出会って少しずつ成長していく様子や、
 あさたろうの、その純粋さに触れた事で出会った人々が少し影響されて変わっていく様子も
 みどころの一つですね。
 世直し的な大きなお話から、ちょっとした友情のお話、いじめられている人を助けたり・・・
 そんな事を繰り返しながら、旅を続けていくという物語です。」
 何と言っても、池田さん御自身が演出を手掛けられている「第1話」というのが
 シリーズ全体を通しての「キーポイント」になるそうですよ。
 これは、最初から見逃せません。
     
子ども達へメッセージを!
   
「世直しをする!など大上段にかまえるつもりはありません。
 行く先々で関わる人々との、ちょっとした出会いややりとりを見てください。
 また、信念をまっすぐに伝えるあさたろうの姿勢や、結構子どもながら、まっとうな事を
 言ったりするあさたろうのキャラクターに触れてほしいです。」

大人の方へ・・・こんな見所もありますよ!

「何といっても、キャラクターデザインを手掛けている方の、そのこだわりようです。
 キャラクターの服装や小物、時代考証などとことん調べる姿勢が凄いのです。
 本物を理解した上で、それぞれのキャラクターに反映されているので、
 本格的時代劇として楽しめる内容になっています!」

「その方」には、後日お話をお伺いできる予定です!お楽しみに・・・。


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ではでは、アニメ放送開始前に聞いちゃいます。

池田さんのお気に入りのキャラクターは誰ですか?

「そばがきげんえもんが好きですね。」そばがきげんえもんというと・・・絵本では5巻に登場しますね。かなり強烈な風貌です。
「少し抜けているけど剣の腕は立つ!そんな部分がぐっときます。」
本当に「通」らしいお答えなのです。(ちなみに、わが息子もかなり彼にははまっていましたっけ・・・。)
   
アニメを制作されている方々の間で人気のキャラクターはいますか?

アニメ作品を制作している方々の間では、にきちが意外と女性に人気!?とか、
きゅうべいは、もともと人気がある・・・だとか。
アニメ版のオリジナルキャラクターとして登場するこももちゃんも見逃せませんね。

またお父さんとのからみも絵本の見所のひとつですが、
アニメ版でも2話続きもので、かなりいい感じのお話が用意されているそうですよ!
期待していてください・・・との事です。
    
それでは皆さん、10月12日の放送を楽しみに待ちましょうね。
(現在は、放送される地域が限られていますが、皆様のお声次第で放送地区が広がっていく可能性が
 大きくなるそうですよ!)  
  
     
放映日などの詳細内容、
予告編などの動画も見られる 
東映さんのHPを是非ご覧下さい!→東映アニメーション ねぎぼうずのあさたろうサイト

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