●●よしながこうたくさん「飼育係長・制作日記」●●
【6】最終回です!完成です!
◇◇編集者瀬尾さんより・・・
長かった制作作業もついにゴールが見えてきました。
こうたくさんの努力の賜物、
前作に負けず劣らず思いっきり楽しい仕上がりです!
2007年12月8日 後はカバーだけ。
一度瀬尾さんの優しさに触れたおかげか
心にゆとりが出来、
筆の進みが良くなってくる。
アスリートのランナーズハイはまさしくこんな感じかしら!?
と引きこもり系絵描きは大空と大地を駆ける勇者に憧れる。
哀れなり、こうたく。
とか言っとる間に、
本編32ページの16見開き、ついに完成!
さすがの僕もお部屋で独りにも関わらず
少し周りを気にしながら小さな声で「ぅおっしゃ!」と
叫んだのでした。
と思いきや
最後の最後のメインディッシュ、
カバーイラストが残っておった!!!!
どんなに中身を頑張っても、外見が悪いと手にとってもらえん。
緊張するのぅ。
カバーの表と裏を1枚の絵でつなげると決めてはいたものの
本から外して広げて見て頂けば分かると思うんだが
結構、横長い。
何描こっかいなーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
一休! 一休! 一休! はーい、あわてないあわてない。
一休み 一休み。
などと!!
言ってる場合ではないのだよ、ちんねんさん。
『給食番長』並のインパクト押し込み型に対抗しうる絵…
ライバルは半年前の自分。
むーーーーん、ロマンティック・ファイトォーーーーー
「今回は動物くんがいっぱい出てくるけん、ほんわかわっか系で勝負たい!!」
12月12日 翻訳作業。
絵が終わったと安心したのも束の間
(無事、終わりました)
引き続き本文の博多弁翻訳にとりかかる。
これは楽しい作業ではあるが、
方言は世代や校区や家庭によっても微妙に違っとったりして
しかもみんな方言にプライドがあるけん
意外と難しい。
「それ、そげん言わんくない?」
「え!? うちらは言いよったよ!」
「お前らんとこ、おかしいっちゃない?」
「なに!そしたら、お前んとこじゃどげん言うとや!?」
などと、言い合いになる。
ドラマで博多弁が出た時に
全福岡人全世代に分かるようなは博多弁にしようとするけん
わざとらしい挙句、死んだ博多弁を使うんだなぁ…と納得。
でも僕は生きてる博多弁を使いたいとですたい。
だもんで言い訳気味に絵本の最後に
「本書の博多弁は、著者が生まれ育った地域で使われているものです」
と注意書き。
ふっふっふ、これで文句は言えまい。
とは言え、間違った方言を本にするわけにもいかんので
方言達者な方に翻訳してもらわねば…
とりあえずヤンキーな方々は愛国心が強いからか
かなりの方言の使い手が多いので
まずは身内の元ヤンである「よしなが家長男」に翻訳してもらう。
しかし、
案の定、
番長の時もそうだったんだが、
登場人物の全てが福岡ヤンキー口調となっていた…
↑元ヤン長男による博多弁講座
あまりにもコテコテな博多弁だと
僕でも理解できないところがあって、
感情移入しづらい!
だもんで
取材協力してもらっている裏の小学校に翻訳願いで駆け込み
急きょ、校長先生と給食室の先生に集まって頂き
「子供達が使う博多弁」と「子供達に使う博多弁」を
あーは言わん、こーは言わんと
2時間近くにわたって翻訳作業に協力していただく。
先生、本当にいつも優しくしてくれてありがとう。
自信満々で帰宅後、カフェの常連達に博多弁訳を読ませるが
結局そこでも珍問答の繰り返し。本当に面倒くさい奴らであります。
東京に住んどった時に、博多弁を使うと、もの凄く喜ばれたり
良くしてもらったりして、方言=必殺技でした。
福岡のちびっ子諸君も是非これくらいの博多弁は使いこなしんしゃい!
他県の子達は「こんな言葉をしゃべる奴らがいるんだ!」と
じゅうぶんに驚くように。そして自分達の方言を大切にするように。
(とは言え、本文中のナレーション部分の丁寧語を博多弁に訳すは至難の業でありまして、結構頑張った系です。福岡の方々、お手やわらかに。)
↑給食室の先生達も、もちろん博多弁を喋るんです
12月20日 ついに・・・。
ついに
長かった飼育係長の制作作業も大詰めを迎えていた。
絵に文字を載せたデザインがメールで送られてきて
文字チェックをひたすら繰り返す。
読んでも読んでも
「これ、言っとる事、間違っとらんよね…?」
「この博多弁は正しいっちゃろうか…?」
「そもそもこれ、本当に出版されるんですか??」
と不安が消えない。
基本的にぼかぁ、小心者の小市民であります。
この頃になると担当の瀬尾さんも慎重に慎重を重ねて
何度も何度も
何度も何度も
確認電話をかけてこられるもんで
1日の着信履歴が恐ろしい事に…
↑ざ・作家殺しの術。
そんな時に、
なんと紀伊国屋の2007年書店員お勧め新刊
キノベス5位に給食番長が選ばれたと知り
プレッシャーは増すばかりでございます!
2冊目も本当に喜んでもらえるんですか!?
と、最後の最後でビビリ始める。
世間を見渡せば、もうすっかり冬。
というよりクリスマスムードばりばり。
思い返せば「わしゃもうダメじゃ。逃げるじゃ。」と何度も呟き
締め切りは間違えるはなんだの踏んだり蹴ったり。
結局12月後半まで引っ張った作業の日々。
なんだかんだではありましたが
瀬尾「こうたくさん、最終チェックは済みましたか? 明日入稿しますよ」
こうたく「大丈夫です。入稿してやってください。後は良い子が生まれてくることを祈るばかりです!」
瀬尾「分かりました。では、明日入稿してしまいますね。お疲れ様でした。新年早々には色校を送りますんで、また連絡します。良い年を迎えて下さいね。ドキドキしますね」
せせせせせ、せせ、瀬尾さんんっ!!!!!
番長の時も涙したものだが、
制作が終わった時の瀬尾さんの優しい言葉は
ひたすらに感動もの。
「嗚呼、生きとるって素晴らしか!」
これが瀬尾さんの狙いだとすれば
かなりのアメとムチの使い手なり。恐ろしい。
辛く苦しい日々も多々あったが
乗り越えてしまって終わるとなると、ちと寂しい。
明日から何をしよう??
瀬尾「あ、3作目のネタ、考え始めといてくださいね」
こうたく「え、まじっすか!?」
発売は2月から全国に徐々に出回るとの事。
子供から大人まで喜んでくれれば良いんだが…
2008年はどんな事が待っておるやら我が人生!
とりあえず筋トレして腰を鍛えよう…
で、テレビを買ってみよう…