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2008年02月05日

●●よしながこうたくさん「飼育係長・制作日記」●●
 【6】最終回です!完成です!

◇◇編集者瀬尾さんより・・・
長かった制作作業もついにゴールが見えてきました。
こうたくさんの努力の賜物、
前作に負けず劣らず思いっきり楽しい仕上がりです!


2007年12月8日 後はカバーだけ。

一度瀬尾さんの優しさに触れたおかげか
心にゆとりが出来、
筆の進みが良くなってくる。
アスリートのランナーズハイはまさしくこんな感じかしら!?
と引きこもり系絵描きは大空と大地を駆ける勇者に憧れる。
哀れなり、こうたく。

とか言っとる間に、
本編32ページの16見開き、ついに完成!
さすがの僕もお部屋で独りにも関わらず
少し周りを気にしながら小さな声で「ぅおっしゃ!」と
叫んだのでした。
と思いきや
最後の最後のメインディッシュ、
カバーイラストが残っておった!!!!
どんなに中身を頑張っても、外見が悪いと手にとってもらえん。
緊張するのぅ。
カバーの表と裏を1枚の絵でつなげると決めてはいたものの
本から外して広げて見て頂けば分かると思うんだが
結構、横長い。
何描こっかいなーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
一休! 一休! 一休! はーい、あわてないあわてない。
一休み 一休み。
などと!!
言ってる場合ではないのだよ、ちんねんさん。
『給食番長』並のインパクト押し込み型に対抗しうる絵…
ライバルは半年前の自分。
むーーーーん、ロマンティック・ファイトォーーーーー

「今回は動物くんがいっぱい出てくるけん、ほんわかわっか系で勝負たい!!」


12月12日 翻訳作業。

絵が終わったと安心したのも束の間
(無事、終わりました)
引き続き本文の博多弁翻訳にとりかかる。

これは楽しい作業ではあるが、
方言は世代や校区や家庭によっても微妙に違っとったりして
しかもみんな方言にプライドがあるけん
意外と難しい。
「それ、そげん言わんくない?」
「え!? うちらは言いよったよ!」
「お前らんとこ、おかしいっちゃない?」
「なに!そしたら、お前んとこじゃどげん言うとや!?」
などと、言い合いになる。
ドラマで博多弁が出た時に
全福岡人全世代に分かるようなは博多弁にしようとするけん
わざとらしい挙句、死んだ博多弁を使うんだなぁ…と納得。
でも僕は生きてる博多弁を使いたいとですたい。

だもんで言い訳気味に絵本の最後に

「本書の博多弁は、著者が生まれ育った地域で使われているものです」

と注意書き。
ふっふっふ、これで文句は言えまい。

とは言え、間違った方言を本にするわけにもいかんので
方言達者な方に翻訳してもらわねば…
とりあえずヤンキーな方々は愛国心が強いからか
かなりの方言の使い手が多いので
まずは身内の元ヤンである「よしなが家長男」に翻訳してもらう。
しかし、
案の定、
番長の時もそうだったんだが、

登場人物の全てが福岡ヤンキー口調となっていた…

aniblog.jpg

↑元ヤン長男による博多弁講座


あまりにもコテコテな博多弁だと
僕でも理解できないところがあって、
感情移入しづらい!
だもんで
取材協力してもらっている裏の小学校に翻訳願いで駆け込み
急きょ、校長先生と給食室の先生に集まって頂き
「子供達が使う博多弁」と「子供達に使う博多弁」を
あーは言わん、こーは言わんと
2時間近くにわたって翻訳作業に協力していただく。
先生、本当にいつも優しくしてくれてありがとう。

自信満々で帰宅後、カフェの常連達に博多弁訳を読ませるが
結局そこでも珍問答の繰り返し。本当に面倒くさい奴らであります。

東京に住んどった時に、博多弁を使うと、もの凄く喜ばれたり
良くしてもらったりして、方言=必殺技でした。
福岡のちびっ子諸君も是非これくらいの博多弁は使いこなしんしゃい!
他県の子達は「こんな言葉をしゃべる奴らがいるんだ!」と
じゅうぶんに驚くように。そして自分達の方言を大切にするように。
(とは言え、本文中のナレーション部分の丁寧語を博多弁に訳すは至難の業でありまして、結構頑張った系です。福岡の方々、お手やわらかに。)

seseiblog.jpg

↑給食室の先生達も、もちろん博多弁を喋るんです


12月20日 ついに・・・。

ついに
長かった飼育係長の制作作業も大詰めを迎えていた。

絵に文字を載せたデザインがメールで送られてきて
文字チェックをひたすら繰り返す。

読んでも読んでも
「これ、言っとる事、間違っとらんよね…?」
「この博多弁は正しいっちゃろうか…?」
「そもそもこれ、本当に出版されるんですか??」
と不安が消えない。

基本的にぼかぁ、小心者の小市民であります。

この頃になると担当の瀬尾さんも慎重に慎重を重ねて
何度も何度も
何度も何度も
確認電話をかけてこられるもんで
1日の着信履歴が恐ろしい事に…

keitaiblog.jpg

↑ざ・作家殺しの術。


そんな時に、
なんと紀伊国屋の2007年書店員お勧め新刊
キノベス5位に給食番長が選ばれたと知り

プレッシャーは増すばかりでございます!
2冊目も本当に喜んでもらえるんですか!?

と、最後の最後でビビリ始める。

世間を見渡せば、もうすっかり冬。
というよりクリスマスムードばりばり。
思い返せば「わしゃもうダメじゃ。逃げるじゃ。」と何度も呟き
締め切りは間違えるはなんだの踏んだり蹴ったり。
結局12月後半まで引っ張った作業の日々。

なんだかんだではありましたが
瀬尾「こうたくさん、最終チェックは済みましたか? 明日入稿しますよ」
こうたく「大丈夫です。入稿してやってください。後は良い子が生まれてくることを祈るばかりです!」
瀬尾「分かりました。では、明日入稿してしまいますね。お疲れ様でした。新年早々には色校を送りますんで、また連絡します。良い年を迎えて下さいね。ドキドキしますね」

せせせせせ、せせ、瀬尾さんんっ!!!!!

番長の時も涙したものだが、
制作が終わった時の瀬尾さんの優しい言葉は
ひたすらに感動もの。
「嗚呼、生きとるって素晴らしか!」
これが瀬尾さんの狙いだとすれば
かなりのアメとムチの使い手なり。恐ろしい。

辛く苦しい日々も多々あったが
乗り越えてしまって終わるとなると、ちと寂しい。
明日から何をしよう??


瀬尾「あ、3作目のネタ、考え始めといてくださいね」
こうたく「え、まじっすか!?」


発売は2月から全国に徐々に出回るとの事。
子供から大人まで喜んでくれれば良いんだが…
2008年はどんな事が待っておるやら我が人生!

とりあえず筋トレして腰を鍛えよう…
で、テレビを買ってみよう…


ehon17534.jpg

↑完成です!!

2008年01月30日

●●よしながこうたくさん「飼育係長・制作日記」●●
 【5】締め切り日到来、ですが。

この企画も次週でいよいよ最終回!・・・という事はそろそろ出来上がっていてもいい頃ですよね。
さて、どんな事になっていますでしょうか。
何か違う人みたいな写真があるようですが。
今日は嬉しいお知らせもあります。是非最後までお楽しみください。


◇◇編集者瀬尾さんより・・・
こうたくさん、締め切り間近でラストスパート。
なんだかもうボロボロ、血と汗と涙の創作現場、凄まじいです。

2007年11月1日 寝袋生活・・・。

禁欲生活がひたすら続く。
描いても描いてもゴールは遠い。
いったいどれだけ座り続けたであろうか…
ふと外に出ると
秋でした。
ふと気がつくと
総理大臣が変わっとった。いつの間に!?
テレビ無し、人と話さん、情報が全く入ってこん…
禁欲とは言え、睡眠はしっかり6時間はとる。
眠気を我慢しすぎて絵を描くと
途中から絵を描きながら寝てたりする事がある。
寝てるくせに絵を描き続けとる自分に驚くが、
塗ってはいけない所を一生懸命塗っとる自分に驚く事がもっとある。
バカな!
と叫ぶ事、数回。
だからと言って自宅のベッドで寝ると二度と起きれん可能性大だもんで
毎日カフェのソファ(事務所とカフェが一緒なんです)で寝袋就寝。
そんなこんなな日々を送っとったら
無理がたたったか

お腹が…気持ち悪い…

ついに最弱ボディに風邪の症状発生!!
今年は内臓からか!?
シェフに風邪薬をもらう。
シェフ「弱いけど眠くならんやつか、強いけど眠くなるやつ、どっちが欲しかね?」
こうたく(ここで風邪を悪化させては作業に支障が…)「もちろん、強かやつば下され!」
その後、
あっさり爆睡。
昔、こんなに風邪薬で眠くなったかいな?
寄る年波には勝てんちゅうことか!?

blog1.jpg
↑寝袋は意外と薄くて背中が痛いんです。

11月11日父さん・・・。

カフェバイトの娘曰く、今日はポッキーの日らしい。
内臓からくる風邪と思っとったが
「兄ちゃんエスプレッソの飲み過ぎっちゃないと」
と妹に指摘され
ハッ! とする。
なんて斬新な考え方。
眠気覚ましとは言え
弱った体にエスプは強烈なんだね。
カフェに身を置く運命を呪う。
とりあえず禁エスプレッソ発令。
また禁欲条例が一項目増えた。
常連さんが差し入れで「みんなのうたベスト」をくれる。
歌詞を先読み出来ない意外な展開に爆笑。
落語に通ずる。
大人が子供の為に作ったもんに、悪かもんは無かったっちゃねぇ…
などと懐かしんどると
「こうたく、体調が悪いらしいな。栄養ドリンクば買ってきちゃったぞ」
と父からコンビニの袋を手渡される。
「父さん…(涙)」
しかし袋の中身は「ウコンの力」6本入り。
こうたく「OH! こ、これはお酒を飲むとき用じゃ???」
父「栄養に変わりはなかろう。」
禁酒生活中にこれは残酷! 鬼父じゃぁ!

こんなに集中力を掻き乱されては間に合わん!!
と画材道具一式かかえて自宅に逃げ帰りるのであった。

blog2.jpg
↑体調絶不調時。目が死んどります。

11月28日締め切り日到来。 

絵を描く作業は座りっぱなしやけん
そげん体力ば使わんとばってん、
脳ば使うとです。

特に絵本は「ページをめくる」といった動作を含めて1つの作品やから
かなり頭を使う。
何度もその世界に潜って、空はいったい何色なのか、太陽はどっから射しとるのか
色々見渡したらまた現実世界に帰ってくる。

しかも表紙とオマケページのアイデアにも同時進行で悩みまくる。
給食番長がインパクト強な表紙だけに
2作目もインパクト強過ぎると書店員さんが並べて置いてくれんっちゃないかいな…
書店の一角が濃過ぎやしませんか…と自分突っ込みの連続。

だもんでもう脳みそが納豆気分。どよ〜〜ん。ぼや〜〜〜ん。
お外の紅葉が血の色に見える…
サザエさんのいささか先生は良いなぁ…担当者が原稿を取りにきても
「まだ出来てないから磯野さん家で待ってなさい!」
なんて言えるから、結構な大御所なんだなぁ…

自宅にこもって以来、ほぼ人間を見る事も無くなり、
家から一歩もでない生活が続いたので
1日1日の境目が分からんくなってくる。
絵描きがモテるなんて噂、あたい信じない。

そうこうしとるうちに、ついに約束の締め切り日が訪れようとしていた…

がんばれ、こうたく! 負けるな、こうたく!

が、やっぱりね、
出来とらんかった…

しかし、心配なさいますな。
絵が締め切りだからといって、絵本制作の全体が締め切りではないんです。
絵が届いてからデザイナーが文字を入れたりなんたりする為
締め切りから1ヶ月は余裕があるのです。たぶん。
そんな事情を知っていた僕は(←番長の経験から勝手にそう思ってる)
(出来ている分だけでも瀬尾さんに献上致せば
打ち首だけは逃れられるはずじゃぁ…)
「すみません! 出来てません! 出来とう分だけで、なんとかお納めを!!」
と素直に告白。
中ページの8割は出来ていたので瀬尾さんも
「とにかく、頑張って」
と心無しか優しげに承諾。

その優しさが恐ろしい。

blog3.jpg
↑自宅にて第一次危機を乗り越えた瞬間。ヒゲまみれ。

・・・こうたくさん、重ねて言ってしまうけど違う人みたいです。
でも、冒頭でもお知らせしました通り次週が最終回です。
という事は、絵本が無事出来上がったようですよ!ご安心ください。
(まだ私も見てません。今週、絵本ナビにこうたくさん御本人がいらっしゃって下さる事になりました。完成品と共に!楽しみです。)

そんな流れも踏まえまして・・・

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来週2月6日(水)の絵本ナビのメールマガジンで、
「飼育係長」発売記念特別企画を行います!!

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勘の良い方ならお気づきでしょうが。
そうです!名入れサイン本を販売します!!
勿論「給食番長」も合わせてサインして頂けますよ。
来週はよしながこうたくさん来訪の様子と共に、
名入れサイン本の募集を行いますね。
お楽しみに・・・。

2008年01月22日

●●よしながこうたくさん「飼育係長・制作日記」●●
 【4】原画描き!

こうたく節が全開で、ますます絶好調の制作日記!
御本人が必死になる程、面白くなるような・・・そんなタイプな方なのでしょう。(勝手に決めたりして。)


◇◇編集者瀬尾さんより・・・
ラフを描き終えて、ようやく原画描きに辿り着きました。
一番作業に没頭されているはずの時期なのですが、
とんでもない事実が発覚!!


2007年10月3日 マニアックアニマルゾーン。

俳優、青木崇高氏が陣中見舞いで撮影の合間をぬって大阪より来福。
彼もまた休日にはお部屋で絵を描いたりする変わった人である。
既に絵の構図等、大ラフは出来上がっとったので
絵本のストーリーを相談。
さすが脚本から感情表現や状況演出を体現する仕事の人じゃぁ。
鋭く的確な意見がビシ! バシ!
動物の鳴き声をもっと増やした方がより伝わるねん。とか
声には特徴があった方がより劇的になるねん。とか
関西弁で喋る。
福岡で関西弁を喋るとは、きみ、よか度胸ばいね。
音で演出を考えるところは絵描きには無い発想。ありがたや。
その後、一緒にトリアスふれあい動物園へ。
先月、妹情報により知ってしもうたご近所マニアックアニマルゾーン。
狭い敷地内に
カピバラやらフラミンゴやらアルマジロやらワラビーやら
すべて放し飼い。
神の領域!!
まさか我が家から山ば挟んで向こう側にこげな所があろうとわ!
二人でアニマル達をなでまわし
感触や筋肉の付き方、骨格を再確認。
まず触れて知る!
もおおおおおおおおおおおお
動物くんたら、ちかっぱぃ可愛か!!!!
ここの飼育員の方達ともすっかり仲良しに。
広がれ広がれ人民の輪!

28歳にもなると、青木氏を始め、同世代の友人達が目覚ましい活躍ぶり。
こりゃぁ負けちゃおれん!と新たに気合いを入れなおしたのであった。

01blog.jpg

↑「ちりとてちん」青木君と桃色フラミンゴ


10月8日 絵本作りは楽しいばかりじゃなか。

デハラユキノリさんが絵本『サトシくんとめんたくん』のプロモーションで
明太子の国FUKUOKAにおいでになる。
で、一緒に食育のイベントに出てトークしたりする。
で、デハラさんと美味しく福岡名物もつ鍋なんかを食べたりして福岡満喫。
だが、そのこうたくの体内はすでに内臓脂肪を大量に蓄え、
その重みに耐えきれずに腰が悲鳴をあげとる真っ最中だった。
大ラフアップ以来、絵の本描きが始まっていたが
既に自分の下描きのあまりの細かさに後悔の日々を送っていた。
運動不足、栄養不足、愛情不足。
成人病へまっしぐらでございます。

おのれ、わんぱく小学校…いったい何人生徒がおるんじゃぁ…
動物園の動物はいったい何匹…
描いても描いても終わらんではないかぁああ

出だしの気合いはどこへやら。
徐々に給食番長を制作していた半年前の地獄を思い出し始める。
「絵本だしてるんですか! スゴいですね!」
とかカフェのお客さんにちやほやされとってすっかり忘れとったが
そげんやった。あ〜、そげんやったそげんやった。
長期スパンで戦う絵本作りは楽しいばかりじゃなか。
地獄も用意されとりますとたい!!

「も〜やだ〜! ぼく沖縄に行く〜」

ワガママこうたくが顔を出し始めるのであった。

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↑我が家マッチョカフェにて、妹、僕、デハラさま 


10月21日 !?

福岡タワー内のイベントででRKBのアナウンサー茅野正昌さんが
給食番長』の読み聞かせをするというので聞きにいく。
初めて他の人が番長の博多弁を生で読むのを聞いたが、
面白い! いや〜〜〜面白い。
感動していると
「会場のみなさん! 今日、作者さんがいらっしゃってます!」
と不意打ちで名指しされ拍手の中、起立させられる。
驚きと感動でいっぱいになった。
そしてその重みに倒れそうになっていた…

実はこの時、ぼくはある重大な事実を担当の瀬尾さんに告げられており
まったく寝れない徹夜の日々を送っており
半分死に体のぽっくり絵描きとなっていたのだった…

瀬尾さんから電話がかかってきたのは
その日をさかのぼること2日前。

瀬尾「最近連絡してなかったですけど、その後『飼育係長』の調子はどんな感じですか?」
こうたく「あ、瀬尾さん! そりゃもうバッチリですよ!」
瀬尾「それは良かったです。どのくらいで終わりそうですか?」
こうたく「この調子やとクリスマスまでにはバッチリ終わっとりますです!」
瀬尾「…は? 何を言ってるんですか???」
こうたく「…何がですか…?」
瀬尾「最終締め切り、11月中って言ってましたよね…」
こうたく「…は…い???」
瀬尾「え………」

恐ろしく重たい空気が流れ、ぼくはあせった。
そっこうでスケジュール帳を取り出しぱらぱらとめくると

「か…書いてありました…11月中締め切り!って…」

何をどこで勘違いしたか、スケジュール帳は
11月締め切りを飛び越え12月のページにおよび

12/24 最終ページ提出!

12/25 クリスマス!

とビックリマークが哀しいキラメキをはなっておった。
浮かれた感がよりいっそう哀れな感じでス・テ・キ。

瀬尾「だ…大丈夫なんでしょうね…」

しかし、僕もダテに制作中ずっと落語を聞いてるわけではありません。

こうたく「大丈夫ですよ! 瀬尾さん! 気がついたら、あれ? 全ページ一式手元にあった! いつの間に!? ってなことになっとりますって!」

と、間髪入れずの名回答。安心感を与えるステキトーク。
米朝さん、枝雀さん、ありがとう。

当時電話の始終を横で聞いていたデザイナーさんによると
「あの日、こうたくさんの電話を切ったあと、瀬尾さん、お腹が痛いって言って早退してましたよ…」
との事。
ひっ!

この日、初めて、人生の終わりが足音をたてて猛ダッシュで近寄ってくるのを実感したのでした

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↑読み聞かせ心のお師匠様、茅野さん

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↑桂枝雀師匠と共に絵描き修羅場へ

2008年01月16日

●●よしながこうたくさん「飼育係長・制作日記」●●
 【3】動物園に取材へ!

独特の世界の中にも、不思議とリアルな雰囲気をかもし出しているこうたくさんの絵本。
こんな地道な取材活動に基づいていたんですね・・・。意外?
今回も、その場の雰囲気がばっちり伝わってくる日記ですよ。

◇◇編集者瀬尾さんより・・・
絵に説得力を持たせるために、
必ずストーリーの舞台へ取材をお願いしているのですが、
シャイなこうたくさんは毎回苦労しているようです。

2007年8月16日 ひとり動物園へ。

帰福後、ストーリーの荒ラフ作りに専念し、流れだけはほぼ完成。
あとは飼育関係者にお話を伺うだけとなるが
世は夏休み。
小学校は閉まっており、
福岡市動物園の園長さんも多忙との事で、アポ取り難航。
ひとり動物園へ事前潜入を繰り返す。

園長さんに会う前に知りたいのはただ1つ。
番長達がどの動物を連れて帰るか?

条件として考えたのは
・ふれあいコーナーでふれあえる動物
・小さい時は可愛いけど、大きくなったら可愛くなくなる動物
・子どもと大人とでは姿、形が異なる動物

そして最も困難な条件。

・連れて帰っても気付かれん動物・・・

しかしふれあいコーナーにはうさぎ、モルモット、アヒルしかおらず。

「君たちは大きゅうなっても可愛か。そもそも小学校におる!」

うむ〜〜…やはりトラか、ライオンか…

園内の食堂でビールを飲みながら一服しつつ考え込む。
さては食堂のおばちゃんなら良いアドバイスばくれるやもしれん!

こうたく「ぁ〜〜〜〜〜…おばちゃん、ちょっと訊きたいっちゃけど…」
おばちゃん「はい?」
こうたく「ぁ〜〜〜〜〜…この動物園でおらんごとなっても気付かれん動物って知らんかいな?」
おばちゃん「……は?」
こうたく「いやいや、怪しい者じゃなかとよ!ちょっと参考までに…もし! 子どもが連れ帰ったりした場合たい」
おばちゃん「……  はぁ。おらんとじゃないですかね…」
こうたく「…ですよね」

やはり…園長さんに直接訊くしかないな…


8月23日 飼育係長に出会う!

つに園長さんとお会い出来る日が来た。
応接間にて園長さんと対談。
動物との接し方や信念、抱いてる夢を伺う。

動物園には、狭い檻に入れてかわいそう等の避難もあるが
見たり触ったりする事で、動物の皮膚感や心音、臭い等で命の尊さを教えてもらえる。
だから動物園では
“動物は野生からの親善大使”
として丁重に迎え入れ、ちゃんと接待し、快適に過ごしてもらえるように努力している。
「それは人間同士でも同じ事ですよ」

さすが現場で長年やっておられる方には信念と哲学がある!
なにか、子どもたちに伝えるべきものが見えたような気がします!

こうたく「ところで園長…1つ訊きたいんですけど…」
園長「なにか?」
こうたく「…この動物園でいなくなっても気付かれない動物っていないですかね?」
園長「…いませんよ。どの動物にも名前をつけてますし、毎日点呼とってます」
こうたく「ですよね…すみません…いや、悪気があるわけじゃないんですが、ええ」
こうたく(この質問は動物園関係者にはタブーですよ、瀬尾さん!ぼかぁいったいどうしたら…!!?)

園長「では、園内の案内は飼育係長の者がしますので何でも訊いて下さい」

こうたく「え!? 飼育係長って役職は本当にあるんですか!! 知らんかった…」


rakudablog.jpg

↑ぼくの好きなラクダさん。いつもボーとしてらっしゃる。

hureaidoubutublog.jpg

↑ぼくの戦場。こども動物園!

entyoublog.jpg

↑左:飼育係長 中:園長 右:こうたく


9月12日 給食の人。

番長出版以来、久々に裏の小学校に取材へ行く。
給食番長取材初日は不審者扱いだったボクも
今では校長先生も給食室の先生達もすっかり仲良くしてくれる。
校内新聞の影響で、子どもたちは相変わらず
「あーーーーーーー給食の人やーーーーーー!!!」
と指をさす。少し間違っている。

飼育小屋は記憶の通り、やはりモノトーン。
その周りで子どもたちがウサギやチャボを出して遊んどる。

この頃には何の動物を連れて帰るかは決まっとったので
子どもたちの真っただ中でイメージを膨らませながら写真をパシャパシャ。

大ラフの締め切りも近い…集中、集中…

しかしカメラを前にするとはしゃぐのが子どもの習性。
ちゃちゃをいれてきたり、叩いてきたり、写真になんとか写ろうとしたり…

「こらぁぁぁぁ!!! 大人の邪魔ばせんとぞ!!!!」

などとは言えず、

「先生、後日放課後に来ていいですか?」

大人然とした美しい態度でその場を去りつつ、
絵本出して以来、子どもと関わる事、多くなったなぁ…
と、人生が予想だにしない方向に進んでる事を実感するのであった。

2008年01月09日

●●特別企画 よしながこうたくさん「飼育係長・制作日記」●●
 【2】日記スタート!まずはタイトルから・・・。

いよいよ始まります、「飼育係長」制作日記。
あんなインパクトのある前作「給食番長」の続編、というからには・・・
さぞ苦労なさっているに違いない!なんて、思わず苦悩するよしながさんを
期待してしまうイソザキです。

さて、早速アイデア出しから色々エピソードがあるようで。
小学校でトラって・・・。
担当編集者瀬尾さんとの駆けあいもいい味出していますよ。

◇◇編集者瀬尾さんより・・・
今回は、企画始動からタイトル、アイディア出しまで。アイディアのとっかかりでこうたくさんが苦悩していたので、小学校時代の思い出から考えはじめていただきました。


2007年7月24日 始動!

給食番長が世に出てから1ヶ月。
7月21日から半年ぶりに欲望の街へプロモーションのため上京。
久々の満員電車&人ごみ地獄を味わいつつ
営業担当の小尾さんと毎日、朝から晩まで東京中を歩き回る。
日中は取材や書店巡り。夜は交流飲酒。
初めて社会の営業活動というものを経験させてもろうたが
恐ろしく、歩く歩く歩く飲む! 歩く!
数日でカバンがおケツとこすれてビリビリに大破!

「小尾さん(営業担当)、ぼくはこんなに日光にあたったことは無かですよ。あんたはスゴか」

真夏の日差しの中、日頃のご苦労を察し、ねぎらいつつ、
お部屋でぐったり絵描きに生まれてきた我が身がかわいいと思いました。
ありがとう、神様。
足腰ボディが弱いんで、絵描きっちゅう職業が無かったら
あぶなかったです、ぼく。
そんな折、
出版社に届いたたくさんの読者ハガキを見せてもらい、
僕にも読者の皆さんから頂いたメールが多々ありまして、

瀬尾さん…結構な数で「続編を!」って書いとりますよ…

瀬尾「やりますよ」

こうたく「な、なんと!」

そんなこんなで番長シリーズ改め、
わんぱく小学校シリーズ次作プロジェクト始動。


7月26日 小学校の思い出といえば・・・。

こびとづかん』のなばたとしたかさんと対談、
というマニアックな時間を終えたあと
瀬尾さんとアイデア出し。
やはり小学校で思い出深いのは飼育係。
僕の小学校では飼育小屋が中庭にあったので
両側を校舎に挟まれて、なんとな〜く常に薄暗く、
湿った空気と動物の臭いというイメージ。
小屋のなかは外から見づらく、入ると獰猛なニワトリが怖くて近寄れない。
ではあったが、
ぼかぁ小学校時代は友達と遊ぶより、
虫や魚、動物を探すのが大好き少年やったけん
クラスの“動物博士”の称号も欲しいがまま。
山川海が近い田舎の小学校だったもんで、調子に乗って生き物を乱獲。
てんとう虫、オタマジャクシ、なんでも大量捕獲。
しかし、やはり無知は罪也か、
クラスで大切に飼っとった金魚の水槽にトンボの幼虫「ヤゴ」を入れとったら
翌日金魚が食べられとりました。
「おぁぁぁ、ご、ごめんよ、きんぎょ!!!」
幼い僕にはそーとーショックでした。

色んな人に飼育係の思い出を聞いてまわったらば、
結構多くの意見で
「あの時ちゃんと飼い方ば教えてくれる人がおったら、あいつばもっと長生きさせてやれたとに…」
でした。

こうたく「こ、これ、いきましょう、飼育係!」
瀬尾「給食番長ときて、飼育番長ってのも芸がないですね」
こうたく「じゃぁ…係長…?」
瀬尾「飼育係長…」

こうしてシリーズ第2弾「飼育係長」の題名だけが先に産まれたのであった。

siiku.jpg

↑「給食番長で取材協力してくれた小学校の飼育小屋」

yousyouki.jpg

↑「昭和の香りプンプンの下町幼少期」


7月30日 地獄の打ち合わせスタート。

この頃、出版社に毎日顔を出しすぎたおかげで
もう誰も特別扱いしてくれんごとなる。
人間とは、そんなもんですたい。
福岡のRKBニュースに送るようのビデオを長崎出版のみんなで撮影後、
恒例の瀬尾さんとマンツーマン地獄の打ち合わせ開始。

絵本のテーマをどこに絞るかで難航する。
命の大切さ? 飼い方? 帰化生物問題?
17ページで子供達に伝えられる事…

…とりあえずヴィジュアル面で一回考えますか…

灰色の壁に黒い金網。ウサギもニワトリも白色。モノトーンな飼育小屋。

色が足らんばいねこりゃ。

こうたく「絵的になんかこ〜派手な動物が欲しいんすよ。トラとか格好良くないですかね?」
瀬尾「小学校にいないでしょ…どっから持ってくるんですか?」
こうたく「遠足で動物園から連れ帰るとか…」
瀬尾「ちょ、ちょっと無理矢理な設定ですねぇ。まさか捕獲隊とか出すつもりじゃ…」
こうたく「その捕獲隊に撃たれるトラをかばって、番長が銃口の前に立ちふさがるとか…」
瀬尾「なに言ってんですか?」

さすが絵本界に身を浸しておられる瀬尾さんの的確なツッコミにより、
「福岡に帰ってちゃんと小学校と動物園を取材してからね」
と、ダメな感じで福岡に帰される事になるのであった。

瀬尾「取材できたら連絡ちょうだいね」
こうたく「はい、隊長」

jumusyo2.jpg

↑「まだ笑顔がある頃の事務所風景」

2007年12月26日

●●特別企画 よしながこうたくさん「飼育係長・制作日記」●●
 ~はじめに

2007年、今年も様々な絵本が出版されましたね。
中でも強烈な印象を残した絵本があります。
「何だか凄いパワーだけど、果たしてこれはママ達に受け入れられるのだろうか・・・。」
なんて最初は心配してしまったりしたのはこちら↓
給食番長
給食番長

食育、方言と、最近のブームにもぴたりとはまって大人気。受け入れられています。

そして、朗報!来年早々に続編が出るそうなんです。
その名も「飼育係長」。係長・・・気になります。
そんな絵本を創り出す作者も、やっぱり何だか面白そうな人物なんです。
そこで、絵本ナビではこんな企画を依頼しちゃいました。↓↓
「飼育係長」制作日記

御本人の日記です!自由に書いてもらってます。
博多弁も大放出、九州地方の方は要チェックです。

まずは、「給食番長」「飼育係長」の担当編集者の瀬尾さんからご挨拶文を頂きました。
今後も、状況説明など色々ご協力お願いしますね。


普段は、地元の福岡でバリバリ創作活動にいそしんでいるよしながこうたくさん。
あまりに熱中してしまい、気がついたら朝! なんてこともしばしばだそうです。

この夏、『給食番長』の新聞・雑誌取材を受けるために、久しぶりに上京しました。
これはチャンス! ここぞとばかりに続編の企画の打ち合わせがはじまりました。
もっちろん、続編も舞台は番長たちの"わんぱく小学校"です。
でも、今回の主役は、なんと一番目立たなかったあの子に!?

テーマとなる「今、子どもたちに伝えたいこと」を話しているうちに、どんどんストー
リーのアイディアが飛びだして、何とも意外な展開に…。

次回からよしながこうたくさんの制作日記がスタートします。
少しずつですが、どこよりも早く新作の内容をご紹介していきます。どうぞお楽しみに!

瀬尾春佳
(長崎出版 編集担当)主な担当書籍『影の縫製機』『ぼくのパンツがぬすまれた!』 『とびっきりのごちそう』『お野菜戦争』など


そして!作者「よしながこうたくさん」の登場です。
こーんな方です↓↓
yoshinagaA.jpg


はじめまして。『給食番長』のよしながこうたくです!
『給食番長』を描きはじめた時は、まさかここまで皆様に愛されるとは思わなかったので、描き終わったあとぼんやりしとったんですが、どうやら二作目も作っていいとのお許しが出てしまい、「い、いいとですか!?」と喜びのあまり何度も担当の瀬尾さんに聞いてしまったあの夏の日。

yoshinagaA.jpg
↑給食番長が好調で、にっこり満面の笑みのこうたくさん。
 (しかし、この笑顔が次回作完成までにどう変わっていくのか・・・なんて期待しちゃいます。)

けっこうビビリなもので、石橋をたたいてもわたらないタイプの超しんちょう派。
絵本は何ページも絵をくっつけて一冊になるから緊張の連続でございます。
福岡の片隅でよしなが親子でやっとりますカフェには、出版以来『給食番長』を読んでくれた子ども達がわさわさやってきます。子どもを家において、おしのびで来店するお母さん達もしばしば…すっかりおちび共にもて遊ばれることになれてきた今日この頃。
二作目が出ると更に増えるのかと思うと恐ろしくもあり、楽しみでもあったりなかったり! 
ぼかぁ体力がないんで子どもがこわい!!
そんなこんなで、恐れ多いことに制作日記を大公開のはこびとなりました。

二作目『飼育係長』で、思いだすのは地獄の日々とほんのり動物のにおいばかり…。
「24時間中24時間ほぼ座っとるような生活ですが、制作日記なんて大丈夫ですかね?」と聞いてしまったんですが、御上の御意向には"さっ"としたがうぼくなもので、「では、おまかせあれ」とふたことめにはYESの精神。
28歳絵描きの日常、楽しんで頂けると幸いです!

よしながこうたく

よろしくお願いします!!
それでは次回からをお楽しみに。
最後に、新作「飼育係長」からのイメージ画像をお楽しみ下さい。
実際には絵本になっていないかなり貴重な絵なのです。絵本ナビ読者の為に公開してくださいましたよ!!
皆さん、存分に想像してくださいね。

飼育係長1

飼育係長2

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