画集かな?と思ってしまうような美しい表紙の絵本の中身は、錯視がたくさん出てくる、ちょっと奇妙な物語。
でも絵本のどこにも「錯視」なんて書いてありません。
なぜなら、このお話に出てくる錯視は、すべて魔法使いウーの魔法だから。
ある日、魔女によってカエルに変えられてしまった王子は、
その魔法を解くために、いろんな魔法使いのもとを訪ねますが、なかなか魔法は解けません。
そして最後にたどりついたのが、目の専門の魔法使いだというウーのところでした。
ウーは、黒のインクと白い紙だけで不思議な絵を作り出します。
その絵が、ウーの魔法です。
そして、なぞなぞのように王子に何が見えるかと問いかけてくる、ウー。
王子がヒントを頼りにじっと見つめていると・・・
あら不思議、描かれていないはずのものが見えてくるのです!
何かが見えてきたら、それは魔法が効いてきた証。
王子はウーの魔法を次々に試してみます。
しかし、どれもこれも人間以外の姿になってしまうものばかり。
とうとう最後に残った1つは、ウーが危険だという魔法だけ。
心の準備ができたら、思い切ってページをめくってみましょう!
作者は「エンバリーおじさんの絵かきえほん」シリーズなどで人気のエド・エンバリーさん。
この絵本はもう40年以上も前にアメリカで出版されたものですが、コマ割りになっている画面は、まだマンガを読んだことがない子たちにはきっと新鮮に感じられるはず。
年齢が上がっても、年をとっても、ながーく楽しめる絵本です。
(近野明日花 絵本ナビライター)
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