小林豊さんの最新作は、前作『淀川ものがたり お船がきた日』につづく、日本の歴史と風土、そして船をテーマにした絵本です。
時代は十六世紀後半。舞台は日本の西のはずれ、肥前の国。漁村の少年、海太郎は、その昔海賊だったという祖父のもとで、幼い頃から船と海にあこがれて育ちます。やがて祖父を亡くした海太郎は、まだ生まれたばかりの国際貿易都市、長崎で中国人の船長、ハウに出会い、祖父と同じように海を目指します――。
かつて長崎は、大航海時代の潮流のただなかで、海という道を通して、直接世界とつながっていた港でした。その若く、輝いていた時代の記憶を、あたたかくのびやかに描きます。
続きを読む