「オオカミと七匹の子ヤギ」「白雪姫」「カエルの王さま」「赤ずきん」「ブレーメンの音楽隊」「金のガチョウ」など,読んで楽しい50話をえらび,新訳でお届けします.わかりやすい文章と,味わいゆたかな挿し絵によるぜいたくな上下巻.時代と文化のちがいをこえて,人の心をひきつけやまない昔話の魅力がつまっています.
……多くの神話や英雄伝説とは違う点として,グリム童話では,女性も男性も同じように主人公であることがあげられます.神々や英雄などの特別な存在ではなく,ひとりひとりの人間の物語なのです.たとえ主人公が王子やお姫さまであっても,孤独に耐え,試練に打ちかたなければなりません.人生には何度か試練のときがありますが,すなおで善良な心をもつことや,試練に耐える生き方など,普遍的な生き方がテーマになっています.誠実に困難にたちむかえば,意外な助け手が現れ,その導きで人間として一段と成長をとげられるのです.現代にも通用する人間の生き方を,グリムは昔話の中に見出したようです.だからこそ,グリムが書きとめた昔話は,他の近代国家へ,さらに世界中へと広がっていったのではないでしょうか.
(「訳者あとがき」より)
■編集部からのメッセージ
少年文庫に欠かせない書目を,ようやく新訳でお届けできることになりました.「オオカミと七匹の子ヤギ」「白雪姫」「赤ずきん」「金のガチョウ」など,読んで楽しい50話を選んでおさめます.
翻訳は,ドイツの文化や風土にも精通しておられる佐々木田鶴子さん.わかりやすくて簡潔な訳文は,子どもたちが自分で読むのにも,またおとなが読んで聞かせるのにもおすすめです.
そして各話に,チェコ在住の実力派画家,出久根育さんが,奥行きのある味わいゆたかな挿し絵を描いてくださいました.
充実感あふれる上下巻.地域や時代をこえて人の心をひきつけやまない昔話の魅力を,どうぞ心から楽しんでください.
■上巻目次
オオカミと七匹のヤギ
ブレーメンの音楽隊
カエルの王さま
おいしいおかゆ
白雪姫
しあわせハンス
ひょろひょろ足のガタガタこぞう
いばら姫
命の水
親指こぞう
ガチョウ番の娘
ものしり博士
歌いながらはねるヒバリ
ホレばあさん
兄と妹
テーブルとロバとこん棒
ラプンツェル
フリーダとカーターリースヒェン
三本の毛のある悪魔
猟師とおかみさん
白ヘビ
ツグミのひげの王さま
鉄のストーブ
錘と梭とぬい針
六人の家来
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