第二次世界大戦下、壮絶な運命を生き抜いた少年の体験を聞いて、オルレブが物語としてまとめた作品です。
ポーランドでは、ナチス・ドイツによるユダヤ人迫害の嵐が吹き荒れていました。少年スルリックは、ゲットー(強制居住区)のなかで家族とはぐれてしまい、一人で壁の外へ脱出します。
ところが、わずか8歳の少年を待っていたのは、つねに危険と背中あわせのサバイバル。あどけない笑みの持ち主は、ユレクというポーランド人の名前を名乗り、キリスト教徒のふるまいをおぼえ、森と農村を放浪します。
過酷な月日のなかで、さまざまな知恵や技術を身につけ、ときには友情を育みますが、ついには事故で片腕を切断、いつのまにか過去の記憶も失ってしまいます。
どんな状況のなかでも前向きに生きようとする少年。その勇気に心を激しくゆさぶられると同時に、戦争は恐ろしさについて考えさせられる一冊です。
本書を原作とした映画『ふたつの名前を持つ少年』(ドイツとフランス合作)が、2015年8月15日より公開されます。
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