天と地が分かれ、一輪の花が咲きました。
それは、大地いっぱいに広がり、やがて動物や人があらわれます。そこには、たくさんの喜びもありますが、抱えきれないほどの大きな悲しみもあります。
それでもお日様は地上を照らしています。どんなに悲しみのあとでも、また一輪の花が咲き、やがてそれは大地いっぱいに広がっていくのです――。
■担当編集者のうちあけ話
この絵本は、日本画家で文化勲章受賞者の故・平山郁夫画伯の妻で、86歳になる平山美知子さんと、娘で詩人の平山弥生さんが描いたものです。
平山美知子さんは、1952年、東京美術学校(現東京藝術大学)日本画科を首席で卒業。将来を嘱望されていましたが結婚を機に筆を折り、夫を支えることに専心します。しかし2009年12月に平山郁夫画伯が逝去した後、「自分の死んだあとは、また絵を描いてほしい」という内容の、“遺言“と題した生前の雑誌記事が見つかったことで、意識的に制作に向かうようになりました。
折しも東日本大震災が起こり、弥生さんが詠んだ詩に、美知子さんが鎮魂と再生への思いをこめた版画を制作し、絵本が誕生しました。(チ)
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