美月(みづき)と月明(あかり)、名前に月を宿すふたりの少女が出会うとき、湖底に沈んだ大口真神(おおくちのまかみ)の伝説がよみがえる。
野間児童文芸賞受賞作家 富安陽子の新境地!
養護施設で生まれ育った美月と、育ての親を亡くしたばかりの月明は、ある日、謎の富豪・津田節子の別荘に招待される。
津田は、条件をつけて、里子にする子どもを探していたという。
一、十四年前の、四月生まれの子どもであること。
一、両親および血縁者がひとりもいない、あるいは所在が不明であること。
一、出生場所、出生時の状況が不明であること。
一、ただし出生につながる手がかりを有していて、その手がかりはなんらかのかたちで月に関連していること。
いったい、何が目的なのか。
どうやら、十四年前に沈んだ村・弓月村と、大口真神を祀る夜神神社に、自分たちの出生の秘密と、津田の思惑を知る鍵が眠っているようなのだが……。
嗅覚がするどく、人の感情を読みとることのできる美少女の美月と、お調子者で、空間を移動する能力のある月明の凸凹コンビは、互いの力を合わせ、謎に迫っていく。
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