ブルーはとってもおとなしい子。
イエローみたいに明るくなれたらなあ、なんてまわりの子たちをうらやましく思うこともあるけど、自分がキライってわけではありません。
レッドはおこりんぼう。
いつもブルーをいじめます。
イエロー、グリーン、パープル、そしてオレンジは、落ち込むブルーをなぐさめたり、元気づけてくれますが「いじめないで」とは言ってくれません。
何も言われないレッドは、ますますおこりんぼうになり、どんどん大きくなってみんなをいじめるようになりました。このまま問題は解決しないのでしょうか。
そんな時現れたのが「1」。
「1」はみんなとは姿かたちもまるでちがうのですが、一番ちがったのはレッドに対する態度だったのです。
「おい、おまえも だまれ!」というレッドに、背筋をピンとしてはっきり答えます。
「イヤだね。」
その様子を見たみんなにも、変化が起きていき・・・。
全米で絵本・児童書に贈られる15もの賞を受賞した作品を、乙武洋匡さんが翻訳したことでも話題となっている絵本『One ワン』。登場するのは数字と色のみ、とてもシンプルなのだけど、不思議とそのキャラクターはまっすぐに伝わってきます。
どの色も数字も素敵、だけどその性格や性質の違いによって「対立」や「優劣」が生まれてしまうという事実は、残念ながらよく直面する問題です。そこに立ち向かっていくには、どうしたらいいのか。
最初に声をあげた「1」の姿は、乙武さんの翻訳を通して、読んでいる子どもたち、そしてそれを見守るべき大人の心に勇気を与えてくれているようです。
同時発売の『Zero ゼロ』も合わせて読んでみてください。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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