四季おりおりの風に運ばれて届く、天国の娘への、父からの美しくも悲しい手紙。人気漫画家が自ら撮った写真が心に染み入ります。
亡くした子どもを思う親の辛さと、それを克服していく姿が8通の手紙によって描かれる感動的な作品(?)。
感動しつつも、六田さんは音楽家だっけとハテナマークが頭に拡がり、これは創作だと判ったとき、はっきりとこれは反則技だと思った。
それほどに、父親の思いがひしひしと伝わってくる感動作なのである。
導入部分の少女がなるみさんの写真だとしっかり勘違いし、その後の写真が父親の思いを切々と盛り上げる効果画像となって、自分が作者になりきってしまう緊張感すら覚えたのである。
マンガ家だとのことであるが、この絵本の感動はマンガでは伝えられないかも知れない。
弟のかずしに救われた父親の私。
そして、立ち直るきっかけはチョウのルリタテハの卵と羽化。探しあてたオオウバユリの葉をおいしそうに食べる幼虫を想像すると生きることのたくましさを感じ、飛び立つチョウには希望を覚える。
そして、私は自然を守る運動で積極的に社会に関わり始めた。
チョウと共にさまざまな出逢いによって孤立感から解放されていく姿、娘の死を乗り越える姿は写真イメージの色と相まって見事に最後の一言にまとまる。
スゴイ絵本です。
この話、北見市在住の民間の蝶の研究家がモデルだそうです。
一人称の手記に仕立てた作者のすごさを感じます。
実話と絵本のギャップに思い違いがあったらごめんなさい。 (ヒラP21さん 50代・パパ 男の子12歳)
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