かむさりやまのふもとのかむさりむら。
さんたのお父さんは朝早く山へ仕事に出かけ、お母さんは今から洗濯ものを干すところ。
さんたもざぶとん干そうと、ちょっと離れた石の上に置くと・・・可愛らしいうさぎが歌いながらやってきた!
「ええなあ、ぴょん! ふかふかざぶとん、ぴょん ぴょん ぴょーん」
そういってはねあがり、くるーん すとっ!
何とうさぎは女の子になっちゃった。おばけ??
「うちは『あかさん』やに。おばけやない。なあ、これに乗ってお山いかへん?」
言われたとおり、さんたもきちんとざぶとんに座ると、あかさんはおまじないを唱えます。
「なあ、なあ、なあ、なあ、なあ・・・・・なあ!」
すると、ざぶとんごとふたりはビューッと飛んでいき、かむさりやまの奥深くへとやってきた。
ここからさんたの不思議な不思議な1日が始まります。
あかさんは遊びの天才。風にのったり、川をくだったり、木の実がたくさんなった大きな木の上にのぼったり。なんて気持ち良さそうなのでしょう。いいなあ、いいなあ。
すると、今度は白い着物をきた「しろさん」にも出会います。しろさんと一緒にいると、ふわふわ風がふいてきて・・・。
やがて辺りは暗くなり、あっという間に夜がやってきます。シューっとすべってさんたが帰ってきたところは!?さんたは一体どこにいたのでしょう。また、あかさんやしろさんと会えるのでしょうか。
さんたと一緒に、何だかとっても特別な時間を過ごした気持ちになれるこの絵本。それはそうです、一緒にいたのは山の神さまたちだったのですから。三浦しをんさんの小説『神去なあなあ日常』を原作として生まれた絵本だというこの作品。
色彩豊かに描かれたかむさりやまの風景、愛嬌たっぷりなさんたやあかさん、そして白い着物と優しい表情が素敵なしろさん。何度でもこの絵本を開いてかむさりやまに帰ってきたくなります。小説と合わせて、たっぷりとかむさりの世界を味わってみてくださいね。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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