これは、ある町に住んでいる目に見えないどうぶつたちのやさしい物語。
毎晩、町の広場で眠り、目覚めるとふらりぶらりと
のんびり町の中を散歩している透明などうぶつたち。
だれにも見えないのですから、何をしてもとがめるひともいませんし
注意するひともいません。
自由気まま。それは楽しくゆかいなくらし。
時には、町の建物にこっそりとお花の絵を描いて町の人をびっくりさせたり
寒くて震えている女の子の両脇にそっと腰かけて寄り添ってみたり。
町のひとたちは、どうぶたちの気配を感じても目に見えないので
自分の気のせいと思ったり、風のしわざだと思ったりするのです。
自由だけど、ちょっぴりさみしいな。
どうぶつたちはいつもそう思っていました。
ある日のこと。
そんなどうぶつたちの運命を変える素敵な出会いが唐突に訪れるのです。
誰かが自分の存在にちょっぴり気づいて気にかけてくれること。
それだけでこんなにうれしくてハッピーな気持ちになれるんだなぁ。
作者の井上コトリさんはいつも忘れかけていた心のボタンをポチッと押してくれるみたい。
何かのにおいや気配を感じたときにそこに透明などうぶつたちがいたとしたら・・・。
そう考えるだけでちょっぴりワクワクしますよね。
動物が大好きで空想好きなあの子に読んであげたいと思います。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
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