シャキーンと悪者をやっつけるりんごのお侍「りんごのしん」。
「すけだちいたすぞ!」と現れたのは「なしえもん」に「かきのすけ」。
三人揃ってシャリンゴ、ナシーン、カッキイイーン!
なんて素敵なお侍、かっこいい!!
でも、りんごのしん・・・りんごの芯、だじゃれ!?
そうなんです。
この絵本は、フルーツ侍たちが活躍する格調高きフルーツ時代劇。
同時にだじゃれ満載、ギャグさく裂、爆笑時代劇でもあるのです。
作者は詩人であり、女流オヤジギャグ作家としても名を馳せる(!?)林木林さん。
そして絵を描かれているのは人気小説「しゃばけ」シリーズでビジュアルを担当されている柴田ゆうさん!なんと絵本初挑戦なのだそうです。
これは読む前からドキドキしない訳にはいきません。
事件はフルーツ峠のお茶屋で始まります。りんごのしんがおゆずちゃんの入れてくれたお茶を飲んで休んでいると、スイカ畑のスイカたちが盗まれるという事件が発生!怪しいだいだいぐるま(大八車)を追いかけていくと、乗っていたのは果物問屋のいちごや(越後屋)。着いた先で待っていたのはだいだい屋敷のだいだいかん(代官)。聞こえてくる会話といえば・・・
「そちも わるよのう」
「そういう だいだいかんさまこそ」
悪い会話が聞こえてきます。そこに現れたのが、われらがヒーローりんごのしん。
「ハートのくさったフルーツをほうってはおけないのだっ!」
登場するキャラクターはみんなフルーツ。
笑っちゃうかと思いきや、これが意外な程かっこいいのです。
やっぱり正義の味方はこうでなくっちゃ。
だいだいかんの悪い顔も本格的。
広重、写楽、北斎など浮世絵へのオマージュもたまりません。
子どもたちはもちろん、時代劇や時代小説が大好きな大人の心もくすぐってくれる、粋な絵本の登場です。シリーズ化するといいなあ・・・。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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