てっちゃんは、にっぽんの大都会の、地面の下をはしるちかてつ。
駅に入ってブレーキをかけて
シ、シ、シ、シウウウウ……。
ホームの向こうにはなかよしのかっちゃんもすべりこみます。
てっちゃんと、かっちゃんは、いつもここでいっしょになります。
「ちゃんと やってるかあ!」「ちゃんと やってるぞう!」
「じゃ!」「じゃ!」
声をかけあってかっちゃんと別れ、またてっちゃんは地下深くにもぐっていきます。
お客さんをたくさんのせて、毎日大忙しではたらく、ちかてつのてっちゃん。
てっちゃんは自分の仕事が誇りでした。
でもある日、おかしなことが起こりました。
かっちゃんがいつもの駅にこないのです。
次の日も、その次の日も。
それだけではなく新入り車両がやってきて、てっちゃんは車両基地に置きざりにされます。
こわい噂のとおり、かっちゃんも「くずてつ」にされちゃったの?
ぼくも捨てられちゃうの?
船にのせられたてっちゃん。一体どうなるのでしょうか……!?
じつは本書に描かれているように日本の電車車両が外国で活躍していること、みなさんは知っていましたか?
作者の井上よう子さんは、そんな「地下鉄車両が、外国で第2の人生を送っている」という事実に着想を得てこのお話を書いたそうです。
尾崎玄一郎さんが描くてっちゃんは、大都会の地下でかっこよかったけれど……。
でも残念がることはありません。
太陽がかがやく外国にきたてっちゃん、とってもいい笑顔をしていますよ!
電車好きな小さい子どもたちはもちろんですが、小学生の子と読んでみるのも面白い本です。
てっちゃんやかっちゃんのこと、想像してみると、応援したくなりますね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
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