本書は、イギリスの人気絵本作家&画家のアルバーグ父娘による、遊び心たっぷりのしかけ絵本です。
「3匹のくま」というイギリスの童話をごぞんじでしょうか。小さな女の子ゴルディロックスが、森の中の3匹のくまの家に入り込み、おかゆを食べてしまい、くまたちに見つかって逃げ出す……という物語。
その童話を下敷きに、「赤ずきん」「長靴をはいた猫」「3匹の子ぶた」「白雪姫」など、さまざまな童話をミックスして新しくつくりあげた、6つの愉快なお話が収録されています。
森の近くに住む、ちょっぴりあつかましい女の子、きんまきちゃんが森で偶然入るのは、3匹のくまの家だけではありません。33匹のくまの巨大な家だったり、クマブリンたちの住む宇宙船だったり、家具がしゃべりだす家だったり。予測ができない、奇想天外な展開の連続です。
ページを開いてすぐに、もうしかけは始まっています。絵にうもれているけれど、右ページのつまみをそっと引っ張ってみると、なんとタイトルが変わる! 木に実っていたリンゴがケーキに、お花が動物に……。
本のあらゆるところにしかけが隠されているので、気をつけて見てみてくださいね。赤ちゃんぐまの表情が変わり、お皿の上にケーキが現れ、小さな家がするする伸びて7階だての家に早変わり。驚きなのは、もう1冊のミニしかけ絵本が本の中に入っていること! ミニ絵本を開いて、その精巧な造りにさらにびっくりします。
触って、引っ張って、開いて、めくって、抜き出して。紙の本というかたちを最大限に利用した、きらきら輝くアイディアの数々に感服します! 特別なプレゼントにもぴったりの可愛らしさです。
(光森優子 編集者・ライター)
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