サトシは京都の祖父母宅で、夏休みを過ごしていた。家は兄の中学受験で、サトシの居場所がないのだ。苦手なたて笛を練習しようと、うっそうとした森の中を歩いていたサトシは、ふしぎな吊り橋をわたってタイムスリップしてきた、子どもの陰陽師・捨丸と出会った。かの有名な安倍晴明の弟子なのだが、修行がうまくいかず、怒りをかったのだという。捨丸は陰陽師として自信を持つために、サトシは、中途半端な性格を克服するために、二人で力を合わせて祖父の病気を治すことになった。過去と現代の「宙ぶらりん」同士の友情と、小さな成長を描く。
ここがポイント(
・陰陽師の秘密のまじないが読めます
・時代を超えた友情のお話です
・陰陽師の時代(平安時代)の服装など、楽しい絵がいっぱい
(編集者から)
家の中で居場所を失い、目標もなくボーッと夏休みを過ごす主人公のサトシ。過去からタイムスリップしてきた捨丸は、自信だけが一人歩きして謹慎を命じられたくらい、「ちょっといやなヤツ」です。そんな二人が習ったばかりの陰陽師の秘法を使って、サトシのおじいちゃんの病気を治そうというのですから、失敗ばかりでうまくいきません。なんとなく、「自分と似ている」と親近感をいだくみなさんもいるのではないでしょうか。
サトシも捨丸も、自分をあらためて見つめ直すのですが、やはり苦手なことは急にできるようにならないし、一言多い生意気な性格も、すぐには改まりません。それでも、仲間と認められると、お互いのいいところも見えてくるものです。
「友だちって、いいなあ」と思える、さわやかなお話です。
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