ある夏の日。おばけの家族がひゅーひゅーと空を飛んで、海水浴にやってきました。
でも、おばけって泳げるのかしら?
そんな心配をよそに、一家は誰もいない島で準備体操をします。仲間と勘違いしてやってきたのはたこおじさん。おばけだって聞いて、驚いたたこおじさんは、思わずみんなの顔に墨をかけてしまいます。
「ありゃ、ごめん ごめん!」
お詫びにたこおじさんが海中散歩に連れていってくれることになりました。
どうやらあまり泳ぎが得意ではなかったおばけさんたち、よかったね。
おじさんの足につかまれば、あっという間に海の底。わかめやこんぶの林には、くらげやさかなたちがいます。なんて気持ちが良いのでしょう。
陸に上がると、たこおじさんがぐるんぐるんとまわっておばけたちを乾かしてくれました。
今度はお礼におばけたちがたこおじさんを空中散歩に連れていきます。
「はい、くうきをいっぱいすいこんで、くちをとじたらめをあけてえ、しゅっぱーつ!」
ふわんふわんと浮かぶたこおじさん、空中散歩もなかなかお上手です。
みんなでおいしいお弁当を食べたり、海の中でくいしんぼうのサメに出会ってしまったり。
たくさん遊んだり、泳いだり、騒いだりしているうちに、すっかり日が暮れてきました。
お別れの時です。でも、なんて楽しい海水浴だったのでしょう。
おばけたちにとっても、たこおじさんにとっても、忘れられない一日となったようです。
読んでいると一緒に夏の思い出をつくったような気持ちになれる、わたなべゆういちさんが贈る、楽しくてほんわか優しいお話です。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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