ちーい ちーい ちゅるるるるる
岩場でメジロがさえずっています。
畑仕事の家族のために、ちよちゃんは沢へ水汲みに。
竹の水筒を持って、山深い道を行きます。
うっそうとした緑の中に、へびやカエル、虫、たくさんの生き物がいます。足下が不安定な場所もあります。
そして汗ばんできたころにたどり着いた小さな沢。澄んだ水が湧き出しています。
ごくごく ごくごく
冷たい沢の水を、直接顔にうけて飲むちよちゃん。
なんて気持ちが良さそうなんでしょう!
作者、飯野和好さんの生まれた自然豊かな埼玉県秩父郡長瀞町。
集落にはこんな沢があって、子どものころは沢登りで泥だらけになって遊び、ちよちゃんのようにごくごく岩清水を飲んでいたんだそうです。
飯野さんはあとがきの中で、沢の水を「暮らしの中の生きた水」と表現しています。
蛇口をひねればいくらでも出てくる水道水や、スーパーで買うペットボトルのミネラルウォーター、便利な水に囲まれた現代の生活の中で、遠のいてしまっている感覚です。
メジロも、犬のくろも、山の生き物たちも、里の人も、ごくごくごく。
ああ、水は美しいな、ありがたいな。
自然の恵みとしての水の姿を感じられる、清涼感あふれる絵本です。
(掛川晶子 絵本ナビ編集部)
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