心の奥底をつままれて、そのピンクになった部分が痛くてぎゅうっとなる。
でも、あとからそこがジンジンと熱くなるような感覚。
ちょっとだけほっとして、ちょっとだけ悲しくなるような。
だれかの幸せを遠くで願うことは、本当はこんな気持ちなのかもしれない...。
読み終わったあと、そんな気持ちにさせてくれる優しい二匹の猫の物語です。
キイロの表紙に描かれた繊細な猫のイラスト。
公園でめぐりあった二匹の猫が主人公です。
一匹は、ある日突然ひとりぼっちになってしまった猫のぬいぐるみ「ニャンコ」。
もう一匹は、公園で「ニャンコ」をひろってくれた野良猫の女の子「ねこ」。
「ニャンコ」に「ねこ」はいいます。
「そのおうち、さがそうよ」
「だから あたしたち、かぞくよ」
夏の終わり、二匹はあてもなく「ニャンコ」の持ち主である「ぼっちゃん」をさがし始めます。
すこしずつ、すこしずつ、心の距離を縮めていく「ニャンコ」と「ねこ」。
でも、別れは突然にやってきます。
そのとき、「ニャンコ」は・・・?
ヒグチユウコさんの描く動物は、どこか不思議でちょっと怖くて
なぜか目が離せなくて、そして圧倒的に妖しく美しいのです。
心がざわざわします。ぐらぐらします。
「生きてる」を感じさせます。
これまでもファッションブランドのEmily Temple cute、ユニクロ、ホルベイン画材
あちゃちゅむ、ninitaなど数多くの企業とのコラボを展開し活躍されてるヒグチさん。
資生堂マジョリカマジョルカのポスターやCMに釘付けになった方もいるかもしれませんね。
この絵本は、もともとはバッグの付録絵本で大絶賛だったもの。
今回、新たに表紙を描き下ろし、新装版絵本として出版されました。
ページごとに繰り広げられるヒグチさんの描く「ニャンコ」と「ねこ」の心象世界。
美しいだけではない、心のどこかにひっかかる絵本です。
あなたはどんな風に感じますか。
(富田直美 絵本ナビ編集部)
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