「とにかく とってもよく泣く、あかちゃんがおりました。」
と始まったので、うんうん、よく泣くあかちゃんは大変だよね・・・なんて、
うなずこうと思っていたらとんでもない!!
このあかちゃん、あまりにも元気に「おぎゃああーー!」と泣きすぎて、
屋根をつきぬけて飛んでいってしまったのです。
慌てたお母さん、せんたくものを放り出して追いかけます。
ところが、会う人、会う動物みんな「飛んではきたけど、ここにはいない。」
なんていうのです。一体どこまで飛んでいっちゃったの!?
このびっくりするような展開、ちょっと聞くと「なんて怖いお話なの」と思ってしまいそうですが、
あかちゃんもお母さんもとってもパワフル、その上出会う人や動物がみんな個性的でクセがあるから
同じやり取りを繰り返しているうちに何だか笑っちゃうのです。
まるでどこかの国に伝わる民話のような面白さですね。
そんな雰囲気を盛り上げているのがとにかく“味のある”絵です。
色彩も表情も大胆な構図もすごく面白い!
お母さんなんて、驚いている顔、慌ててる顔、怒っている顔、みんな素敵。
個人的にはカラフルなハゲタカの姿にしびれちゃいます。
それで結局あかちゃんはどこにいたの?
それは、読んでからのお楽しみ。意外な優しさに出会ってしまいますよ。
エンディングはすんなりとは終わりませんけどね(笑)。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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