あかちゃんの顔がかわいいグリーンの絵本をひらくと、「めー・めー」ひつじさんが出てきて、次のページをめくると「もー・もー」と牛さん、「がー・がー」とあひるさんが出てきます。
「ふー・ふー」とおいしそうなものを冷ましたり、「ぷー・ぷー」とラッパをふいたり。
そうです。この本はそんな「音」と「言葉」をあつめた絵本なのです。
「じー・じー」や「ばー・ばー」も出てきて、さいごは・・・?
あかちゃんが発語をはじめる前の「あーあー」「ちゃーちゃー」などの言葉には、宝物がたくさん詰まっていますよね。
小さなあかちゃんが何か言おうとしている、こちらに向かって、何かに向かって手を伸ばそうとしている。それはもう感動的な瞬間です。
あかちゃんが言葉を発するようになると、はやく自分のことを呼んでほしくて周りの大人は一心に話しかけます。
「ま・ま」「ぱ・ぱだよー」と。
作者の三浦太郎さんも、9年前、はじめて娘に「ぱ・ぱ」と呼ばれたとき、涙が出たそうですよ(あとがきより)。
じつは同時発売の『あ・あ』という絵本があるのですが、この2冊のあかちゃん絵本、じっさい読んでみると、意外なほど、すでに言葉が達者な幼児たちの心にもヒットします。
わが家の5歳と2歳に読んでみましたが、親が読み終えたあとも「かして」といって一人でめくっては、しあわせそうに声にだして読んでいます。
幼い子の「さいしょの言葉」が、心をふるわせるリズムでおさまっている。そんな絵本なのです。
子どもにとっては、世界と出会った喜び、そして愛された記憶も、あざやかによみがえるのかもしれません。
『あ・あ』と『あー・あー』、2冊一緒に親子で味わってみてくださいね。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
続きを読む