笑いが止まらなかった第一作目『わがはいはのっぺらぼう』とはうって変わって、自然界の美しさとおそろしさを感じる「怪談えほん」です。
でもそこは飯野和好さんの絵と富安陽子さんの文!
おそろしいんだけど美しい、口をとがらして踊る様子はなんだか可愛いゆきおんな。
春が来るといつしか消えてしまうゆきおんな。
ほうら、もう ぎんいろにかがやく ながいかみの
ひとすじまで くっきりとみえるよ
しろいきものに、きんのおび。
つめたいひとみは あおくかがやき、
くちびるは、ゆきにさく さざんかみたいにあかい。
そうさ、これがゆきおんなというものさ。
濃紺の闇に舞う吹雪。
ひゅーっびゅおおぉーと雪が吹きつけ、バタバタと戸口が鳴る音が聞こえてきそうです。囲炉裏端でおばあちゃんが声をひそめ語るのを、息をのんで聞きいる子どもたち。背中がぞわぞわして・・・そんな様子が目に浮かびそう。
こんなこわそうな絵本、うちの子にはとても・・・、と思われますか?
いえいえ、子どもって、こういう絵本、実は大好き!だと思いますよ〜。
この磁石のような力・・・子どもには伝わるに違いありません。
何より、富安陽子さんの言葉からはまるですぐそこにだれかがいるような体温を感じるんです。
一度読んでみると、最初は知らん顔をしていても、心のどこかで気になる絵本。
そんな存在になりそうな絵本です。
(大和田佳世 絵本ナビライター)
続きを読む