戦争とはなにか。
これ以上の方法はない、というくらい直接的に感覚で訴えかけてくる絵本です。
田島征三さんの「ぼくは50年間、この絵本をつくるためにここまで歩いてきたんだ」という言葉の通り、
作者渾身の作となったこの作品の内容とは。
「くにのためにたたかえ」とはげまされ、戦争にいった僕。
僕は人間に向かって鉄砲をうち、そして敵の砲弾が命中し、僕のからだはとびちった。
でも僕の心は弟の怒りを見、母さんの悲しみを見ます。
弟が戦争に行って死のうとしている・・・やめろ!
いきなり僕が戦争に行って死んでしまう、という衝撃の内容にもかかわらず、
この絵本は子どもにショックを与えるのではなく、
戦争とはなにか、その悲しみと憎しみとはなにかということを、
絵本という形をとってとてもストレートに教えてくれます。
死んでしまった後の僕の心が、全ての感情が絵となって表現されているのです。
そこには国や民族の違いはありません。時代の違いもありません。
そして年齢の違いもありません。
戦争とは誰のために殺されるのか。何のために死ぬのか。
憎悪と復讐がどれだけむなしいものなのか、全ての人の心につきつけられる絵本なのです。
答えは出ているというのに・・・。
日本・中国・韓国の絵本作家が子どもたちに贈る平和の絵本シリーズの第2期の作品です。
このシリーズを通して、世界中の子どもたちが平和の尊さについて、強い思いを抱くことを願います。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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