「兄ちゃん おいてくなんて ひどいよ・・・」
「グズグズなくな! オレみたいな 強い男には なれないぞ」
「いいか、オレが ねむるまで、こうたは みはってろ」
「なんで ぼくが・・・」
兄ちゃんはいつもイバっている。でも、本当はとても怖がりってことを弟のぼくは知っているんだ。
オバケ屋敷では先に逃げるし、天井の模様がおばけに見えるからと寝るまでの見張りを命じるし、おまけに天井に絵まで描かされて。
こんなマンガみたいにワガママな兄ちゃんなんて、ほんとにいるの?
そう思ってたらこの絵本、作者自身の実際の兄弟エピソードをもとに描いたのだそう。
うーん、さすがです。小学生に「まさに しめんそか(四面楚歌)」なんてつぶやかせてしまうよしなが家の兄ちゃん、なんだか強烈です。
さて、そんな兄ちゃんに耐えられなくなってぼくはつい叫んでしまったのです。
「おばけさん、こんな兄ちゃんなんかつれていってください!」
すると、自分の描いた絵から本当におばけが・・・出た!!
結局ふたりとも連れられていってしまった先はおばけの世界。ところが兄ちゃんは怖がるどころか、この世界を気に入ってしまい・・・。どうする、こうた。いよいよ大ピンチ!
いつもちょっと泣きそうな表情のこうた、いつもちょっと怒った顔をしている兄ちゃん。絵本中を縦横無尽に駆け回るブリーフ兄弟は、それだけでもう魅力的。目が離せません。でも、この絵本の楽しみ方はまだまだたくさんあります。
登場するオバケのバリエーションの広さやスケールの大きさは尋常ではありませんし、「あれ、この家族ってもしかして本当のよしなが家?」そう気がついてしまったら、途端に家の中から兄弟のやりとりまで全てが気になってしまいます。結局今でもこうたくさんは兄ちゃんの弟でしょうからね・・・。
巻末には全国の子ども達のアイデアから生まれたおばけたちも大集合しています!
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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ぼくの兄ちゃんは、いつもイバっているけれど、本当はとても怖がり。天井の模様がおばけに見えるからと、寝るまでの見張りと、模様の描き直しを命じてきた。描き直しをしたぼくは、やっと眠れると思ったのに……、また兄ちゃんのワガママが始まった。だから、ぼくはついにさけんでしまった。「おばけさん、こんな兄ちゃんなんか、つれていってください!」
ところが、兄ちゃんだけでなく、ぼくもいっしょにおばけの世界に連れられてしまった。おばけの世界では、好きなおばけに変身できるというから、兄ちゃんは怖がるどころか気に入ってしまった。そして、いつものようにぼくは置いていかれ、おばけに囲まれてしまった。「た、たすけて兄ちゃーん」兄ちゃんに助けをもとめると……!?
著者自身の兄弟エピソードをもとに描いた、ユーモア兄弟絵本。よしなが家には、本当にこんなお兄ちゃんがいたのです!
子ども達のアイデアから生まれたおばけたちも大集合。
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