まるでおもちゃのようなしかけ絵本「ブルーノ・ムナーリの1945」。
第7作目となる『みどりの てじなし』は、緑の手品師アルフォンソがカーテンのかかったクローゼットに向かって唱える場面から始まります。一体中には何が入っているのでしょう?いち、にい・・・
さん。アルフォンソ!クローゼットのカーテンをめくると、いつの間にか赤と白の服を着たアルフォンソが立っています。どうやってこんなに素早く着替えたのでしょう。次をめくればわかるそうですよ。さあ、いち、にい・・・
さん。消えた!アルフォンソはどこへ?
めくればめくるほど、ヘンテコな奇術師の小道具ばかりが出てきます。何が起きているのか分からなくなってきた頃、気になる手品の結末へ・・・?アルフォンソの表情にも注目です。
イタリアのアーティスト、ブルーノ・ムナーリが5歳になる息子のためにと手がけた「ブルーノ・ムナーリの1945」シリーズは、どれもシンプルながらも「絵本」という作りの面白さを最大限に生かした、大胆でワクワクするしかけばかり。物語と美しい色彩と形とめくる楽しみがぴったりと重なった時の感動が味わえるのです。こんなセンスを子どもの頃から味わえる子たちがうらやましい!
5歳の子ども向けといっても、決して媚びる事のない軽快でちょっぴりスパイスの効いた文章は、日本語版では谷川俊太郎さんの翻訳で楽しむことができます。
一点困ることは、シリーズどれも魅力的な絵柄と内容ばかりなので、1冊と言わずシリーズ全巻揃えたくなってしまうこと。全巻揃うと背表紙にムナーリのサインが浮かびあがるみたいですしね、困った(笑)。
(磯崎園子 絵本ナビ編集長)
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